医師不足なのに医学部が30年以上新設されないわけ

医師不足なのに医学部が30年以上新設されないわけ医師不足解消と東日本大震災の被災地復興目的で、東北地方の大学に医学部が新設される可能性が高まっている。実現すれば1979(昭和54)年以来の新設だが、日本医師会などは反対しているという。医師不足が深刻化する中、なぜ医学部は30年以上も新設されていないのか? 反対の理由は? 教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。

 

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医学部を持つ大学は国公私立合わせて79校ありますが、琉球大学医学部の設置以降、34年間も新設されていません。文部科学省と厚生労働省が、医学部の新設を認めない方針を取っているからです。

 

厚労省などは地域による医師の数に偏りがあることが医師不足の原因であるとして、医学部新設を認めないだけでなく、2007(平成19)年度まで医学部全体の入学定員を7,625人のまま抑制していました。しかし、さすがに深刻化する医師不足の現状に押されて、両省は08(同20)年度以降、地方で勤務する医師を養成するなどの条件付きで医学部の臨時定員増を認めたため、13(同25)年度の入学定員は全体で9,041人と過去最高となっています。

 

日本医師会なども医学部新設に反対しています。理由の一つは、医学部の新設で約300人の医師が教員として必要になり、逆に医療現場の医師不足を加速させるということです。また、現在までの医学部の入学定員増分は、既存医学部14校分に相当すると日本医師会は試算しており、これ以上の増員は将来の医師過剰を招くと主張しています。

 

実際に不足しているのは産婦人科・小児科・救命医療の医師であり、他の診療科は医師が足りている、あるいは医師が都会に集中する状況を変えない限り医師不足は解消しない、という声も医療関係者の間にはあります。

 

医師が不足するのは困りますが、安易に医師養成課程が増員されるのも不安。今後、医学部の新設は必要かもしれませんが、医師不足の実態と原因の究明、その対策の検討をあわせて行うことが求められます。

 

出典:医師不足でも医学部なぜ増えない? 東北地方での新設にも賛否両論 -ベネッセ教育情報サイト

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