増加する特別支援学校・学級 充実が急務‐渡辺敦司‐

少子化により児童・生徒数が減り、学校も一部の地域を除いて統廃合や学級減が進んでいることは、多くの保護者の方々も実感しているところでしょう。一方で特別支援学校や、通常の小・中学校に置かれている特別支援学級の数は年々増え続けていることが、文部科学省の学校基本調査で浮き彫りになっています。

それによると今年度(数値はいずれも5月1日現在<外部のPDFにリンク>)の特別支援学校の数は、前年度比21校増の1,080校。それまでの「特殊教育」が特別支援教育に衣替えした2007(平成19)年度)(外部のPDFにリンク)は1,013校でしたから、6年で67校増えました。児童・生徒数でみると、今年度は13万2,568人で、2007(平成19)年度の10万8,173人と比べると22.6%(2万4,395人)増。同様に特別支援学級の数も、小学校で29.8%(7,828学級)増の3万4,128学級、中学校で34.1%(3,970学級)増の1万5,612学級となっています。
これに伴って、教員数も増えています。2007(平成19)年度と比べると、特別支援学校の本務教員数(兼務を除いた人数)は16.2%(1万854人)増の7万7,664人になりました。小学校が0.2%(645人)減、中学校が1.9%(4,648人)増であるのと比べると、突出しています。

特別支援教育は、児童・生徒一人ひとりの障害の種類や程度が違っていることを考慮して、特別支援学校は1学級6人(重複障害の場合は3人)、特別支援学級は同8人で編制されています。国の標準で35人ないし40人で編制される通常学級に比べ、ほんの少しの児童・生徒数の増加でも学級増につながり、それだけ担任する教員も増えるわけです。
特別支援教育を受ける児童・生徒数が増加しているのは、「特殊教育」時代の障害種別(盲、ろう、養護)が一本化されたことで、より一人ひとりにきめ細かな教育が行われるようになったこと、発達障害も対象となったことなどで特別支援教育への理解が進み、子どもの可能性を伸ばせる手厚い教育を求める保護者が増えてきたことなどが考えられます。
しかし、そのような保護者のニーズの急増に学校などの整備が追いつかず、教室不足などが続いていることは、3年前の記事で紹介した状況とそれほど変わっていないかもしれません。一刻も早い整備が求められます。

さらに課題なのが、教員の免許です。特別支援学校教諭等の免許状を持って教えている特別支援学校の教員(外部のPDFにリンク)は、昨年度で71.1%でした。30%近くは小・中学校など通常学校の免許状だけで教えていることになります。特別支援教育は通常の学校に「準ずる教育」を行うとされているため、特別支援の免許がなくても法的に問題はありませんし、教員も異動後に特別支援教育について十分な研修を受けているはずですが、特別支援教育は高い専門性が求められるものであり、やはり免許状の取得は急いでほしいものです。特に発達障害を持つ児童・生徒は、通常の学級にも在籍しています。特別支援学校や特別支援学級の整備はもとより、高い指導力を持つ教員の養成・研修をいっそう充実することが望まれます。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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