我が子を加害者にしない! 安全に自転車を楽しむには(1)選び方編

自転車はお子さまでも気軽に乗ることができる便利な乗り物です。ただ、交通ルールやマナーを守らなければ交通事故に巻き込まれるだけでなく、事故の加害者になってしまうことも。今回は、自転車事故の現状と安全な自転車の選び方について、一般財団法人日本交通安全教育普及協会の彦坂誠さんに伺いました。



我が子を加害者にしない! 安全に自転車を楽しむには(1)選び方編


自転車事故の加害者の4割は未成年!

警察庁の統計によると、2012(平成24)年、自転車乗用中の交通事故件数は13万2,048件。前年に比べ減少しているものの、未だに全交通事故件数の約2割を占めています。特に注目したいのは、自転車事故の中でも自転車が交通ルール違反をして発生する事故で、対歩行者事故件数は全交通事故が減少しているにも関わらず横ばい傾向であるということです。
一般的に自転車は交通弱者、特に交通事故の被害者側として捉えられがちで、「子どもには交通事故被害者にならないように気を付けてほしい」と思われる保護者のかたが多いと思います。これはとても自然な考えだと思います。しかし実は、未成年者が自転車を運転して加害者になるというケースも多いのです。
2012(平成24)年中の自転車乗用者が第一当事者になった交通事故件数(2万891件)のうち約4割(8,289件)は、20歳未満の未成年者によるものなのです。家を一歩でも出れば、そこは紛れもない「交通社会」なのですが、交通ルールが十分に身に付いていないため事故を起こしてしまうケースが多いと言えるでしょう。さらに、成長とともに行動範囲が拡がることによって、通学では「遅刻する」などといった時間的制約による焦りが事故につながっていると言えます。

お子さまが自転車事故の加害事故を起こした場合、罰金刑などの刑事責任が生じます。皆さんが意外に意識されていないのが、将来、資格免許が取れない場合があるということです。一般的に「罰金刑以上」で医師、看護師、薬剤師、栄養士、調理師等の免許、「禁固刑以上」で教員、弁護士、公務員、公認会計士、建築士等の免許が与えられない場合があります。ほんのちょっとした気のゆるみから、その子の将来にも影響する自転車事故。お子さまが事故を起こさないよう、幼いうちから安全行動を習慣化させてください。



子どもに多い自転車事故の特徴

次にどのような形態の自転車事故が多いのかをご説明します。圧倒的に多いのは、出会い頭事故で、自転車事故(車両相互)の半数以上を占めています。また、未成年者の自転車乗用中の違反別交通事故件数(第一当事者)を見ると、安全不確認、一時不停止、信号無視が多いことがわかります。交差点で自動車も歩行者もいないだろうとスピードを落とさず走行し、横断歩道を横断中の歩行者と衝突してしまい死亡させてしまう、自動車と衝突し自分が大けがを負ってしまう、あるいはそうした自転車を避けようとした自動車がほかの重大な死亡事故を発生させる場合もあります。事故を起こさない、そして事故に巻き込まれないためには、安全確認や一時停止を習慣化させることが非常に重要だと言えます。

また、6歳未満の子どもが自転車事故を起こしてしまう原因の一つとして「ハンドル操作不適」があります。この年齢層の子どもは、まだ筋力が未熟であることが原因の一つに挙げられます。体格に合わない自転車を利用することによって、ちょっとした段差などで自転車を制御できずに事故を起こしてしまう危険があるのです。体格に合った自転車を利用させることも大切なポイントです。



「乗れる」ことよりも、「止められる」ことを重視して!

自転車を購入する前に保護者のかたにぜひ意識してほしいのは、自転車はおもちゃではなく、自動車と同様に「軽車両」であるということです。お子さまがルールを守って運転できるかどうかをしっかり考慮し、買い与えることが大切です。
お子さまの自転車を購入する際に、成長が早いといって、ついつい大きめの自転車を購入してしまいがちですが、体格に合ったものを選ぶことが事故を防ぐうえではとても重要な要素の一つです。なぜなら、自転車のサイズが大きくなればなるほど自転車の車重が重くなり、その分、停止させるためにより大きな力が必要となるからです。
また、体格に合わない大きな自転車では腕が伸びきってしまうとともに、上半身に体重がかかりすぎて、ブレーキはおろか、とっさの危険回避のためのハンドル操作も難しくなります。お子さまが自分でブレーキをしっかり握ることができ、しっかり自転車を止められるものを選んであげましょう。ほとんどの子ども用自転車は、小さなお子さまの手でもブレーキがかけやすいようにレバー幅を調整できるようになっています。実際に試乗するなどしてお子さまに合った自転車を選んでいただきたいと思います。


◎子どもの自転車選びのポイント◎
・サドルにまたがった時に、両足がしっかりと地面についている。
・ハンドルを握った際に、ひじが少し曲がるくらいがベスト。
 あまり前傾姿勢にならないようにしましょう。
・ブレーキレバーがしっかり握れること。

また、安全な自転車選びのためには、その自転車が安全基準を満たした製品であるかどうかも重要な点です。たとえば、「BAA(自転車協会制定)マーク」のついている商品は、独自に厳しい基準値を設け、より安全水準を高めたものとなっています。BAAマークのほかにも、JIS(日本工業規格)マーク、SGマークやTSマークもあります。これらの基準を満たすような安全性の高い自転車を選ぶようにしましょう。
そして必ずヘルメットはかぶらせるようにしましょう。自転車乗用中死者の約7割が頭部を損傷したことによるものです。できるだけ早い段階から、ヘルメットをかぶることを習慣化したいですね。お子さまだけでなく、保護者も手本となるようにヘルメットを着用することをオススメします。

次回は、実際にお子さまが自転車に乗る際に、どんなことに注意したら良いかお話をしていただきます。


プロフィール


彦坂誠

一般財団法人日本交通安全教育普及協会
内閣府の参加・体験・実践型交通安全教育事業の企画運営・講師をはじめとし、警察庁の交通安全教育事業や調査研究、自治体や学校などでの自転車安全利用講習会などを行うほか、テレビや雑誌で交通安全の正しい知識の普及活動を行っている。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A