忙しすぎる先生の残業半減に「外部委託」

学校現場では今、先生が忙し過ぎて子どもと接する余裕のないことが、大きな問題となっています。そうしたなか、文部科学省は、教員の「子どもと向き合う時間の拡充」事業を、2008(平成20)年度から3年計画で実施する方針を決めました。教員の仕事の一部を非常勤講師や学校支援ボランティアなど外部の人材に委託することで多忙化を解消し、教員が子どもと向き合える時間を増やすことが狙いです。

文科省の調査によると、公立小・中学校の教員の残業時間(持ち帰り残業は含まず)は、通年で月平均34時間に上っています。ただしこれは夏休みなど長期休業期間中も含めた計算で、通常の学期中に限って見ると、月平均40時間近い残業が常態化しています。
さらに、情報公開や説明責任などへの対応で、子どもの指導と直接関係ない書類作成事務も増加しており、多忙化により日常的に教員が子どもと接する時間が減少しているというのが、学校現場の実情と言えるでしょう。いじめなどの多発の背景には、教員が忙しすぎて子どもたちに目が届かないことも原因の一つである、という指摘すらあります。

このため文科省は、3年計画で教員の月平均残業時間を34時間から17時間に半減させ、教員が子どもと接する時間を確保することにしました。
その具体的な方法は、(1)教職員定数の増加(2)小学校への非常勤講師の配置(3)小・中学校での学校外人材の活用(これのみ4年計画)……で、文科省は2008(平成20)年度分として合計433億円の予算を財務省に要求しています。このうち教員定数については、既に本コーナー(「公立小・中学校の先生は増やせるのか」)でも紹介しているので省略します。

小学校への非常勤講師の配置は、高学年の理科・体育・音楽・家庭など実技を必要とする専門性の高い教科に非常勤講師を導入したり、幼稚園から小学校に入学した段階で問題を起こす「小1プロブレム」や不登校児童への対応のために非常勤講師を配置したりするもので、3年間で公立小学校の約7割に当たる1万5,000校で実施する計画です。
一方、学校外人材の活用では、全国の中学校区ごとに「学校支援地域本部(仮称)」を設置して、退職教員・地域住民・スポーツ指導者などに「学校支援ボランティア」になってもらい、授業の補助、部活指導、学校図書館活動の支援、登下校時の安全指導、校庭や施設など校内環境の整備などをしてもらいます。

これらは、外部の人材に授業の補助や授業以外の仕事を担ってもらい、教員の負担を軽減しようというもので、いわば授業以外の仕事の「外部委託化」とも言えます。文科省は、教員が子どもたちの指導に専念できる時間が増えることで、学校現場のさまざまな問題を減らすことができると説明しています。ただ、学校関係者の間では、それよりも正規教員をもっと増やすべきだという声も、一部に根強くあります。


<参考>
文科省2008年度概算要求資料(教職員定数、非常勤講師)
文科省2008年度概算要求資料(学校支援地域本部)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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