頑張って入学した私立中学校で落ちこぼれてしまったら?[教えて!親野先生]

 

この春、息子が私立中学校を受験し、無事に希望の学校に入学しました。楽しい学校生活が待っているだろうと、本人も希望に胸を膨らませていたのですが、学校の勉強が難しく、極度に落ちこぼれてしまっています。それにプラスして、友達関係がうまく行かず、学校に行き渋ることが多くなり、体調不良も訴え、先月は7日ほど休みました。学校の先生に相談したところ、成績不振や授業態度の悪さ(集中力がなく私語が多い)を指摘されたものの、友達関係には問題ないように感じるとのこと。遠距離通学(片道1時間以上)も負担ではないかと感じています。別の私立か公立中学校への転校の道もあると話したところ、公立に戻るのも、別の私立を受験するのも気が進まない様子。現在、塾生活も加わり遠距離通学の分、受験時代よりハードです。公立に戻ればまた高校受験が待っているのも気がかりです。先生やクラスメートにも恵まれ、活躍の機会もたくさんあり、楽しんで元気に通っていた小学校時代の息子に戻してあげたいです。もしかしたら、思春期にさしかかっていて、無邪気さが消えてきたのかと思うこともあるのですが、アドバイスをお願いします。(みかん さん)

 

【親野先生のアドバイス】

みかんさん、拝読いたしました。

今回このご相談を取り上げましたが、これと同じような内容のものが他にもいくつか来ています。
そこで、最初に、それらに共通する問題について触れたいと思います。
その後で、このみかんさんの個別のケースについて考えたいと思います。

苦労して中学受験に合格したものの、入学後の勉強が始まるとさらなる困難が待っていた、ということはとてもよくあることです。
余裕をもって合格した子はともかく、合格者の半分近くは、多かれ少なかれそのような困難に直面することになります。

そこでほんの少しでもつまずくと、たちまちクラスの最後尾ということになってしまいます。
ほぼ同じレベルで競い合っていて、自分より明らかにできない子というのがいないからです。

一度つまずくと、精神的な面でも今までにない焦りを感じることになります。
小学生時代は、少しくらいサボっても大丈夫でした。
普通にしていてもクラスの良い位置にいたので、すべてにおいて余裕がありました。
ところが、私立中学校では、そのような余裕は消し飛びます。

また、クラスのなかには、ずばぬけて良くできる子たちもいます。
そして、一度つまずくと、周りの子たちがみんな自分より優れているように見えてしまいます。
この取り残されるような焦りは、小学校では感じたことのないものです。

友達関係も一からのスタートです。
うまく新しい友達を作れる子はいいのですが、時間がかかる子もいます。
勉強面と友達関係の両方で、大きなストレスを抱える子がたくさんいるのです。
これは子どもにとってはかなりつらいことです。
3年間ないしは6年間、悶々として過ごす子もいるのです。

このようなことは、本当によくあることなのです。
でも、事前にそれを教えてくれるところはあまりないようです。
このようなリスクを事前に教えてくれる受験塾や私立中学校の先生は、かなり良心的と言えます。
私立中学校のパンフレットや広告には、こういう話は一切出てきません。

ときには、たとえ誰かが教えてくれたとしても、親のほうがあまり真剣に聞かないこともあります。
親が既に受験や偏差値のことしか頭にない場合は、ほとんど耳に届かないようです。
小学校の先生がそれを言っても、「受験させたくないから言うのだろう」と受け取る親もいるくらいです。

この他にも、中学受験には、高校受験や大学受験にないようなさまざまなリスクがあるのです。
最もよくあるのが、第1志望校に入れず、仕方なく第2、第3志望、または公立中学校に入学した子の場合です。
一言で言うと、挫折感や失望感や恥ずかしさでいっぱいになり、なかなか立ち直れないという子も多いのです。

さて、ここまで、私が感じている中学受験のリスクについて書いてきました。
今まさに中学受験を控えている人や、これから考えるという人たちには、ぜひ頭に入れておいてほしいと思います。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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