「正解のない時代」を生きる子どもたちへのアプローチ [やる気を引き出すコーチング]

今さらですが、最近、時代は変わったなと感じることが多々あります。まったく何の接点もない大学生から、SNSを通して直接連絡が来ます。
「石川先生の本を読み、私の夢はコーチングができる教員になることだと気づきました。コーチングをさらに詳しく学ぶ機会について情報をいただけないでしょうか」と問い合わせが来たりします。
また、先日は、「オランダの教育現場へ視察に行ってみたいがお金がない」という学生たちが、クラウドファンディングによって、わずか3日間で目標金額を集めてしまいました。私が学生の頃には、とても考えられなかったことを簡単にやってしまいます。やろうと思えば、何でも実現できるツールにあふれている時代だと感じます。

■「答えは一つではない」と気づく効果

コーチングに出合うことで、夢に向かって主体的に行動し始める学生たちの言葉は、非常に印象的です。
「小学生の頃から、テストに出される問題に、いかに正しい答えを書くかが大事だと思ってきました。正しい答えは一つしかなく、それは必ず先生が持っている。それを言い当てられなければ、自分はダメな人間だと思っていました。でも、やりたいことをやるための『答えは一つではない』、そして、その『答えは自分の中にある』と思ったら、すごくやる気が湧いてきました。初めて自分に可能性を感じました」。

 クラウドファンディングを成功させた学生はこう言っています。
「お金がなくても、『どうすればできるか?』と可能を探っていくのがコーチングだと学び、いろいろ方法を考える中で、今回のチャレンジを思いつきました。最初は、企業が企画したツアーに参加する方法を考えていました。しかし、これは自分たちの夢だから、完成されたツアーに参加するのではなく、自分たちで一から企画し実行したいと考えました」。彼らの夢に、多くの学生、大人が触発され、出資しました。
 夢を叶える方法や「答え」は一つではないんだと気づいた時に、一歩踏み出す勇気と行動が湧いてくるのです。その効果には、非常に驚かされます。

■「正解」がない質問を投げかけ続ける

 このように、「自分がやりたいことを可能にしていく力」こそ、幸せな人生を生きるために必要な力ではないかと私は思います。この力を子どもの中から引き出すために、私たち大人ができることは何でしょうか?「こうしなさい」と、こちらが持っている過去の体験に基づく「答え」を子どもに与えることではありません。「正解」がない質問を投げかけ、自分で考える力を育むことではないでしょうか。

 例えば、
「10年後、どんな大人になっていたい?」
「大人になった時に、どんな気持ちでいたい?」
「どんなことができたら幸せだと思う?」
「人生でこれだけはやってみたいと思うことは?」
「それをやるためにはどうすればいいと思う?」
「どんな方法が考えられるかな?」
「他に方法があるとしたら何だと思う?」
「今、できることは何だと思う?」

 これらの質問の「答え」は、すぐには引き出されないかもしれません。大人でも答えられない質問かもしれません。それは、これまでこんな質問をされてこなかったので、考えてみる習慣がなかったからに過ぎません。単に慣れていないだけです。
 「答え」が出たとしても、途中で迷いが生じるかもしれません。「答え」が変わるかもしれません。それでも良いと思います。価値観が多様化し、「正解のない時代」において、大切なことは、唯一絶対の「正解」にたどり着くことではなく、自分なりに「答え」を探求し、チャレンジし続ける習慣を身につけることだからです。
 これからますます、子どもたちには、「答えは一つではない」ことを伝え、どんどん「正解」のない質問を投げかけていこうと思います。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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