「なぜ、お酒を飲んではいけないの?」と聞かれたら

子どもがお酒を飲むのはいけないとわかっていても、「ちょっとだけなら……」、そんな気持ちに、大人がなっていないでしょうか。未成年者の飲酒は、れっきとした法律違反であるだけでなく、成長期の体に悪い影響があります。大人になって楽しくお酒と付き合えるようになるためにも、子どもは飲んではいけない理由をきちんと伝えられるようにしたいものです。

飲ませた大人が責任を問われる

お祭りやキャンプなどで、大人がお酒を飲んでいる姿を子どもが見る場面も多いでしょう。しかし、20歳未満の未成年者がお酒を飲むことは「未成年者飲酒禁止法」という法律で禁止されています。保護者は子どもがお酒を飲むのを止める義務があり、止めなかった場合は罪に問われます。コンビニエンスストアなどでお酒を買うときに販売員が年齢確認をするのは、販売業者が未成年者にアルコールを提供することが、この法律で禁じられているからです。

お酒を飲んだからといって、子ども本人が罰せられることはありません。しかし、アルコールは成長期の子どもに悪影響を及ぼします。脳や性腺機能、肝臓や膵臓(すいぞう)などの障害を引き起こす原因になります。お酒に慣れていない子どもの場合、「急性アルコール中毒」にもなりやすいのです。
このような認識が広まるにつれて、未成年者の飲酒傾向は減少しています。厚生労働省の2014年度調査によると、1か月間で1日でもお酒を飲んだことがある子どもの割合は年々減少し、中学生男子で5.5%、中学生女子で5.2%、高校生男子で11.5%、高校生女子で8.1%となっています。でも、高校生の約1割が月に1度ぐらいはお酒を飲んでいると考えると、どうでしょうか。

子どもを守るための「断り方」を学ぼう

中学校や高校では、「未成年飲酒防止教育」の授業が広まっています。将来、お酒が飲める体質かを判定する「アルコールパッチテスト」を生徒に体験させる積極的な学校もあります。
メーカーも、率先して未成年者の飲酒防止キャンペーンに力を入れています。ビールメーカー5社で構成する「ビール酒造組合」が作成した「ビールすごろく」は、未成年者飲酒の危険性を呼びかけるだけでなく、20歳を過ぎても適量を守る飲み方を学べるポジティブな内容になっています。

ただ、いくら学校で教育を行い、保護者がお酒を飲ませないようにしていても、やっかいなのは「お祝いだから」「1杯ぐらい」などとすすめてくる周りの大人です。中高生の飲酒場面は「冠婚葬祭」や「家族と一緒」の場面が、「誰かの部屋で」「ひとりで」よりも多いというデータもあります。同組合のサイトでは、上手な断り方のトレーニングができるショートムービーを公開しています。子どもが直接言えないときに、保護者が代わりにやんわりと断るときの参考になりそうです。
このムービーを見ると、ほろ酔い気分でお酒を子どもに気軽にすすめてしまう大人側の「無責任な発言」にハッとさせられます。子どもに「お酒はまだ!」と注意する前に、大人が上手にお酒と付き合っているかも振り返りたいものです。

(筆者:長尾康子)

※ビール酒造組合「ビールすごろく」
http://www.brewers.or.jp/tool/index.html

※未成年者の健康課題および生活習慣に関する実態調査研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201508022B#selectHokoku

※未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201222027A

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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