「自分が好き」な子どもは成績が上がる

コーチングのプロ、石川尚子さんが子育てに役立つコーチング方法を伝授いたします。

先日、学習塾の先生に、とても興味深いお話を伺いました。
「子どもたちを見ていて思うのですが、やっぱり、自分のことが好きな子はどんどん成績が上がっていきますね。単に、『自分はできる!』と信じているから伸びるという話ではないんです。
自分が好きな子は、考え方の方向が違うんですね。それは、やっぱり、家庭でかけられてきた言葉の違いなのかなと思います」。さて、どういう意味なのでしょうか?

「自分が好き」な子どもは自分の価値と結果を分別できる

「『自分が好き』というのはですね、『自分は完璧ですごいでしょう!』という気持ちではなくて、『自分には良いところもあるけれど、ダメなところもある。それも含めて自分。そんな自分が好き』という感覚なんです。
こういう気持ちを持っている子どもは、テストの結果が良くなかったとしても、建設的に考えられるのです。『今回は良くなかった。ここの勉強が足りなかった。次はこうしよう!』と自分で考えます。ところが、自分が嫌いな子どもは、『どうせ自分にはできない。がんばっても無理』と否定的にとらえてしまうのです」

「自分が好きな子どもは、どうして、そういう考え方ができるのでしょう?」
「自分の価値とテスト結果を分けて考えられるんだと思います。『今回は、勉強が足りず、この結果だった。自分が至らなかった。けれど、それによって、自分の価値が下がるわけではない。またがんばればいい』と。実際、子ども自身がそんなふうに思っているかどうかはわかりませんが、そういう感覚が持てているんだと思います。
でも、自分の価値を感じられない子どもは、テスト結果が、自分自身の価値だと思ってしまって、ちょっと成績が下がると、もうあきらめてしまうのです」

大切な存在として接する

「家庭でかけられてきた言葉の違いとおっしゃいましたが、どんな違いがあるのですか?」
「テスト結果が悪かった時、『なんでできないの?』、『あなたががんばらないからでしょう?』と言われると、自分を好きにはなれません。これが毎回だと、子どもは、どんどん『自分はダメな子どもなんだ。成績が良くないと価値がないんだ』と思うようになっていきます。
一方で、自分が好きな子どもの家庭では、成績のことよりも、子どもを応援するような言葉かけが多いようです。例えば、『今日もお疲れ様!』とか、『テストが終わったから、おいしいもの作ったよ!』とか。中には、『身体が心配だから、そんなに遅くまで勉強しなくていいよ』とまで言っているご家庭がありますが、案外、そのほうが、子どもは勉強しますね。
テストの結果がどうであっても、『私はあなたが大切だ』という気持ちが伝わると、子どもは自分のことが好きになれるようです。自分はできないこともあるけれど、大切にされている存在だと実感できれば、『がんばろう』という気持ちも湧いてくるのでしょう」

存在価値を感じる声かけ

「ですから、うちの塾でも、子どもたちには、自分のことをもっと好きになってもらえるように関わっています。成績のことばかり話すのではなくて、まず、『今日も来てくれて嬉しい』、『あなたと一緒に勉強ができて楽しい』といった言葉を伝えるようにしています。これ、石川さんが話されていたI(アイ)メッセージという言い方ですね。私は嬉しい、私は楽しい、と自分の気持ちを伝えるんですよね。これは非常に効果的だと思います。『成績=子どもの価値』ではなくて、どの子にも、『存在しているだけですばらしい!価値があるんだ』ってことが伝わると、成績は勝手に上がっていくと思います」
とても興味深く、心が震えるお話を聴かせていただきました。日頃、私がお伝えしていることにもいっそう意を強くしたしだいです。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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