算数の文章問題が苦手[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
算数で、計算はまあまあなのですが、文章問題が苦手です。何算でやればいいのかわからない、式が書けない、どの数をどこで使えばいいかわからない、などなど。苦し紛れに、文章問題に出てくる数を適当に当てはめて式をつくったりするので、りんご1つの値段を求める問題で2000円などというありえない答を平気で書いてしまいます。

相談者・ミカンレモンさん(小学6年生女子)

【親野先生のアドバイス】
ミカンレモンさん、拝読しました。

机上だけで算数の勉強をしていると、こういうことになりがちです。
私がお勧めしたいのは、実際の生活の中で算数に親しむことです。
言い換えると、日頃から「算数のある生活」を心がけることが大切です。

例えば、スーパーマーケットで買い物をしているとき、「10個90円のチョコレートと15個で120円のチョコレートではどちらが安いかなあ?」と一緒に考えてみてください。

「90÷10=9」と「120÷15=8」で1個あたりの値段が出ます。
すると、1個8円の後者の方が安いことがわかります。

これは、5年生で勉強する「単位量あたりの大きさ」の内容です。
この勉強は子どもたちにとってとても難しく、授業についていけない子がたくさんいます。

教室で教科書の文章を読みながら考えるので、文章問題の場面がよくイメージできず、式も浮かんでこないのです。
そういう子でも、スーパーマーケットで実際に目の前にチョコレートがある状況ですと非常に考えやすくなります。
しかも、お金の損得がかかっているので一生懸命考えます。

なお、こういうときいちいち筆算をやらせると、子どもは嫌がります。
ですから、電卓で計算させましょう。

また、例えば、家でホットケーキを作るとき、「4枚のホットケーキを作るには、ホットケーキのもと200gと牛乳150ccを混ぜます。では、同じ味のホットケーキを2枚作るには、ホットケーキのもとと牛乳をいくつずつ混ぜればいいのかな?」と一緒に考えてみます。

これは6年生の教科書に載っている比の問題ですが、授業で扱うと問題の意味すら理解できない子がけっこういます。
ところが、実際に目の前にホットケーキのもとと牛乳がある状態で考えるとわかりやすくなります。答えは、ホットケーキのもとが100gで牛乳が75ccです。

また、例えば「定価850円から40%引き」がいくらで、「定価850円の40%の値段」がいくらか、なども子どもがよく間違える問題です。
「40%引き」と「40%の値段」の違いがわからない子が多いからです。

これらもスーパーマーケットで実物を見ながら、あるいはチラシ広告を見ながら考えるとわかりやすくなります。
答えは前者が510円で後者が340円です。

また、買い物をするときに、だいたい何円買ったかを概数で計算しながら買うと、すばらしい勉強になります。

「1束297円のほうれん草なら約300円、鮭の切り身が419円なら約400円、今のところ合計が約700円…」というように十の位で四捨五入しながら計算していきます。

概数の計算は4年生の勉強ですが、これも非常に苦労する子が多いです。

浴室にいろいろな量のペットボトルを置いておくのも効果的です。
ペットボトルには、油性マジックで、2リットル、1リットル、500ミリリットルなどと、大きく書いておきます。

ペットボトルをカッターで切るなどして、1デシリットルの容器を作っておくと便利です。
これで1リットルのペットボトルに水を入れると10杯入ります。

「500ミリリットルのペットボトルには1デシリットルの水が何杯分入るかな?」「2リットルのペットボトルには250ミリリットルの水が何杯分入るかな?」などと予想してから、実際にやってみます。
楽しい遊びとしておこなっているうちに、水のかさの単位の変換に慣れてきます。

2年生で、「1リットル=10デシリットル」「1リットル=1000ミリリットル」「1デシリットル=100ミリリットル」などの単位変換について学びますが、これが非常に難しくてなかなか身につきません。

でも、実際の生活の中で楽しく遊びながら単位変換に親しんでいれば、苦労しなくてすみます。

また、日頃から次のように、パーセント、分数、何倍などを入れて表現するようにしてみるといいでしょう。

お父さんの体重はお兄ちゃんの体重の200%だ。
夕飯前に宿題を70%やっておこう。
冬休みの2/5(5分の2)が終わってしまった。
早くも1年の3/12(12分の3)が終わってしまった。
弟は10歳だから40歳のお父さんの0.25倍の年齢だ。

以上、いくつか実例を挙げました。
これらを参考にして、実際の生活の中で算数に親しむ機会を増やしてください。

最後にもう一つ私がお勧めしたいのは、文章問題を考えるときには図を描いて考える習慣をつけておくことです。

例えば次のような問題があったとします。
「バスが6台あります。35人乗っているバスが2台、34人乗っているバスが1台、30人乗っているバスが3台です。全部で何人乗っているでしょうか?」

文章問題が苦手な場合、このようにたくさんの数字が出てくると、何をどうしていいかわからなくなってきます。
文章が表している状況がイメージできないからです。

そこで、バスを表す四角を6つ描いて、その中に「35,35,34,30,30,30」という数を書きます。

この図が描ければ、式も自然に浮かんできます。
このように、頭の中だけではイメージできないことも、図で表せばイメージできるようになります。

でも、テストのときだけ図を描いて考えさせようと思ってもできません。
日頃から図を描いて考える習慣をつけておくことが大切です。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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