失敗を悔やみ続ける子を励ますには?[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
中2の娘は陸上クラブに入っていて、地区の大会にリレー選手として出場しました。ところが、走っている最中にバトンを落としてしまい、そのせいでチームは優勝を逃して4位になってしまいました。自分の失敗を悔やみ、「みんなに申し訳ない」と落ち込んでいます。どうやって励ませばいいでしょうか?

お茶の香 さん(中2 女子)

【親野先生のアドバイス】
お茶の香さん、拝読しました。

こういうとき、子どもはつらいでしょうね。
大人なら既に何度か失敗の経験があるものですが、子どもにとっては初めてという場合が多いと思います。
落ち込んでいる姿を見ている方も、さぞつらいことと思います。

このような場合、親は次のような言葉をかけてしまうことが多いと思います。

「失敗は誰にもあるよ。一生懸命にやったんだから、仕方ないんだよ」
「みんなも許してくれてるよ。誰もあなたを責めてなんかいないよ」
「これで終わりじゃないから、この次がんばればいいんだよ」
「そんなに気にしなくていいんだよ。元気を出して」
「大丈夫。大丈夫。いつまでも後悔してないで。次の大会目指してがんばれ」
「今度はバトンを落とさないように握力も鍛えよう」

親は、子どものことを思って励ましたりアドバイスしたりしているのですが、言われた方は次のように感じます。

「わたしがどんなにつらい気持ちでいるか、お母さんにはわかってもらえないんだな」

「そんなに簡単なことじゃないよ。みんなでどんなに一生懸命練習してきたか、お父さんにはちっともわからないんだ」

「この人たちに何を言ってもムダだ。どうせわたしの気持ちなんかわかってもらえない」

ですから、いきなり励ましたりアドバイスしたりするのではなく、その前に共感してあげることが大切です。
つまり、その子のつらい気持ちをわかってあげて、一緒に悔しがってあげることです。

「本当に悔しいよね。お母さんも悔しいよ。一生懸命練習してきたのにね…」
「チームのみんなに申し訳ないって気持ちなんだね。わかるよ。これが一番つらいよね」

また、「お父さんも子どもの頃こういうことがあってね。ずいぶん落ち込んだものだよ」と話しかけ、自分の失敗談を話してあげるのもいいですね。

このように言ってもらえると、子どもは「自分のつらい気持ちがわかってもらえた」と感じます。
それによって気持ちが少し軽くなります。

自分の気持ちをわかってくる人がいる…。
自分に寄り添ってくれる人がいる…。
落ち込んでいるときには、これが本当に心の支えになるのです。

そして、たっぷり共感してもらって、自分の気持ちがわかってもらえた後でなら、だんだん励ましやアドバイスの言葉に耳を傾けることもできるようになります。

ただし、すぐには無理で時間がかかる場合もあります。
ですから、相手の様子をよく見ている必要があります。
まだ無理なようなら、励ましやアドバイスはやめて、しばらく見守ってあげることが必要です。

子ども自身が前向きな気持ちになってきたら、そのときは励ましとアドバイスをしてあげてください。
ここはマニュアル化できない部分であり、相手の様子をよく見て判断する必要があります。

でも、とにかく大切なのは、「励ましとアドバイスは共感の後」ということであり、ここはマニュアル化できると言っていいのではないかと思います。

最後に注意点です。
共感は大事ですが、次のように言いすぎてはいけません。

「悔しいよね。あなたがバトンを落とさなければ優勝だったのにね。ホントにあなたのせいで負けたんだよ。あなたがみんなの足を引っ張ったんだよ」。

「あなたはここぞという本番に弱いよね。情けないよね。これからもっとしっかりしなくちゃダメだよ」。

これはもう共感ではなく、必要以上に責め立てているだけです。
共感のつもりだったのが、いつの間にかこのような傷口に塩を塗る言葉になっていたということがないように気をつけてください。

最後の最後にもう一度大切なことを押さえておきます。
何事においても、いきなり励ましたりアドバイスしたりしてはいけません。

それをしてしまうと、相手は「この人は私がどんなに苦しいかわかってくれない。軽く考えているんだ」と感じてしまうからです。

とにかく初めは共感!
そして、様子を見ながら励ましやアドバイスをしていくようにしましょう。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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