一度見だすと止まらない……動画サイトとの上手なつきあい方

小学生の5人に1人がスマートフォンを所有していることが、内閣府の調査(*1)から明らかになっています。緊急時や習い事の際の連絡手段としてスマートフォンを子どもに持たせたものの、「動画サイトを見てばかりいる」とお悩みの保護者のかたも多いようです。今回は、千葉大教育学部の藤川大祐先生に、動画サイトとの上手なつきあい方について、お話を伺いました。

長時間視聴している場合は注意を

スマートフォンの普及以降、小学生のインターネット利用が急速に広まっています。無料で遊べるゲームがたくさんあり、動画投稿サイトでいくらでも好きな動画を見ることができるため、年々利用時間が長くなっています。内閣府の調査(平成27年度)では、小学5・6年生のスマートフォンの1日の平均利用時間は、63.3分(*2)。2時間以上利用している子どもの割合は、17.4%でした(*3)。

小学5年生の場合、放課後自由に使える時間の平均は、4時間34分です(*3)。その中で、2時間以上スマホで遊んでいるのは、長すぎるといえます。他の時間が犠牲になっている場合が多いのではないでしょうか。例えば、勉強時間が少なくなったり、睡眠時間を削っていたり。家にこもってスマートフォンばかりいじっていると、運動不足も懸念されます。また、小さい画面を見続けることで、姿勢が悪くなる、視力が低下するなど健康面にも影響が出てきます。

子ども任せにせず、保護者が時間と内容の管理を

子どものスマートフォンの長時間利用を防ぐためには、ご家庭内で利用に関するルールをつくることが大事です。保護者がリードして、利用時間に関するルールを設定しましょう。例えば、「動画の視聴は、1日1時間まで」「夜9時以降は動画を視聴しない」といったルールです。利用時間の設定は、テレビやゲームなど他のメディアの利用時間を含め、トータルで考えたいですね。

また、時間の管理だけでなく、内容の管理も重要です。動画投稿サイトには、子どもに見せたくないわいせつなものや暴力的なものも含まれているからです。YouTubeでは、そういった子どもにとって不適切な動画を表示しない「セーフモード」を設定できます。フィルタリングに加え、この「セーフモード」を設定しておきましょう。設定にはパスワードが必要なため、子どもが勝手に解除することはできません。それでも不適切な動画を100%ブロックできるわけではありません。より安全に動画を楽しませたいという場合は、見せたい動画だけをピックアップして視聴できるアプリを活用すると良いと思います。

いずれにせよ、動画サイトを子どもに自由に視聴させることには、危険が伴いますので、内容の管理も十分に行ってほしいと思います。これらの時間や内容の管理が難しいと感じるならば、動画サイトは見せないことにしてDVDなどを見せるほうが良いのではないでしょうか。

短時間、視聴を楽しむ程度なら問題なし

特に幼いお子さまがいらっしゃる保護者のかたは、電車での移動中、レストランでの待ち時間……といったシーンで、スマートフォンの動画を見せる機会が多いかもしれません。そうしたシーンでスマートフォンに頼ってよいのかと、罪悪感を感じている保護者のかたも多いと思いますが、短時間利用するのであれば、リスクも少なく、問題ないと思います。

逆に、TVもスマートフォンも子どもに見せないようにしようとがんばりすぎて、保護者のかたがいわゆる育児ノイローゼになってしまったら、本末転倒です。子どもが電車内で騒いでしまって保護者のかたが肩身が狭いのであれば、音を消した状態で動画を見せて静かにさせておくのも、悪いことではないでしょう。小学生であれば、宿題も片づき、お風呂にも入って、明日の支度も終えているなら、自由時間に利用時間を守って楽しむのも良いと思います。

勉強、食事、睡眠、親子でのコミュニケーションなど生活全体を振り返っていただき、健全に過ごしている時間が多いのであれば、ときには子どもが動画を楽しむ時間もあって良いと思います。バランスのとれた子育てをすることが大事ではないでしょうか。

スマートフォンでの疑似体験より本物の体験を

ただ、動画視聴やゲームを楽しんでいるだけでは、小学生の子どもが得られるものはそう多くはないのも事実です。自由に使える時間が多い小学生時代には、ネット上の疑似体験ではなく、キャンプや昆虫採集、地域のお祭りに参加するなど、今しかできないリアルな経験をたくさんさせてあげて、子どもの興味・関心を伸ばしてあげてほしいと思います。

グローバル化が進み競争が激しくなるこれからの時代、他の子と同じことをしていては、社会では通用しなくなってくるでしょう。100人中1番や2番になれるものを子どもが1つでも小学生時代に見つけることができたら、きっと大きな自信になります。それは、その子のアイデンティティーとなり、自らが進みたい道を、自分で開拓していける子に育つことを可能にするはずです。

*1、*2、*3 平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)
*4 第2回放課後の生活時間調査 2013年(ベネッセコーポレーション)

プロフィール



千葉大学教育学部教授、教育学部副学部長。千葉市教育委員などを務めながら、携帯、ネットと安全に関わるための活動、発信を行っている。著書に『12歳からのスマホのマナー入門』『スマホ時代の親たちへ』(大空出版)など多数。

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