「アイツなんかいなくなっちゃえばいいのに」と言う子に共感する? [教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
子どもが「○○君が絵のこと下手って言ってきた。アイツなんかいなくなっちゃえばいいのに」と言いました。よほど悔しかったのだとは思いますが、これに対して何と返せばいいのでしょうか?共感した方がいいのでしょうか?「そんなこと言っちゃダメだよ」と言った方がいいのでしょうか?

相談者・りおでじゃあね さん (小1 男子)

【親野先生のアドバイス】
りおでじゃあねさん、拝読しました。

「いなくなっちゃえばいいのに」などという言葉を聞けば、親としては「そんなこと言っちゃダメでしょ」と言いたくなると思います。

こういう言葉を軽々しく口にしていいはずがありませんから、そのことを子どもにわからせたいと思うのは当然です。

ただ、今の子どもの状態は、そういう正論をそのまま言っても受け入れることができない状態です。
悔しい気持ちでいっぱいだからです。

それに、子どもも本気でいなくなっちゃえばいいと思っているわけではありません。
そう言いたいくらい悔しかったということなのです。

ですから、まずはその気持ちに共感してあげることが大切です。
「そんなこと言われたの?イヤだったね」「そんなこと言われたら悔しいよね。頭に来ちゃうよね」と共感してあげてください。

悔しかった気持ちにたっぷり共感してもらえれば、子どもは「自分がどんなに悔しかったかわかってもらえた」と感じて、気持ちが安らかになります。

そんなことを言ってはいけないということは、頭ではとっくにわかっているので、気持ちが安らかになれば言わなくなります。

ただし、このとき「そうだよね。いなくなっちゃえばいいよね」と言ってはいけません。
これは共感ではなく安易な同調です。
付和雷同と言ってもいいでしょう。

この区別はとても大切です。

大辞林によると、付和雷同とは「自分にしっかりした考えがなく、他人の意見にすぐ同調すること」です。

ここで大事なのは、安易な同調(付和雷同)ではなく「和して同ぜず」という態度です。
「和して同ぜず」とは「君子は人と協調するが、安易に同調したり雷同したりすることはない。主体的に人とつき合うべきであるということ」です(デジタル大辞泉)。

もう一度言いますが、「そんなこと言われたら悔しいよね」は共感ですが、「そうだよね。いなくなっちゃえばいいよね」は安易な同調です。

このような同調をされると、子どもの気持ちは安らかになるどころか、火に油を注がれたようになって余計に激しくなってしまう可能性があります。

共感のつもりが安易な同調になってしまうと、親が願ったのと反対の結果になってしまいます。

いくつか例を挙げて、その違いを見てみましょう。

例えば、子どもが「○○先生に叱られた。悪いのは私だけじゃないのに…。先生、何もわかってない。あんな先生、もうイヤ」と言ったときはどう返せばいいでしょうか?

「そんなこと言うもんじゃありません。先生はあなたのことを思って叱ってくれてるのよ」は正論の押しつけであり、共感はゼロです。

これだと、子どもは「ママは何もわかってくれない。正直に話せばお説教されるから、もう何も言わないようにしよう」と思うようになります。

「悪くないのに叱られたなんて、イヤだったね。ママも子どもの頃そういうことがあったよ。そういうの悔しいよね」などは共感です。
これなら、子どもは悔しい気持ちがわかってもらえたことで安らかになります。

「悪くないのに叱られたなんて、イヤだったね。確かにあの先生は変だわ。だって、着てる服も話し方も変わっているし。ママも大嫌い。あんな先生なんか早くいなくなればいいのに」などと言ってしまえば、これは安易な同調です。

それを聞いた子どもは、火に油を注がれた結果、「ママもそう思っていたのか。私だけじゃないんだ。言われてみるとたしかにあの先生、着てる服も話し方も変わっているな。ママの言う通りだわ。あ~、やだやだ。ホントに早くいなくなればいいのに。友達みんな誘ってシカトしようかな」など、より激しい気持ちになってしまう可能性があります。

また、例えば、「7歳から遊べます」という張り紙がしてある遊具を見て、6歳の子どもが「やりたい。やりたい」と言ったときはどう返せばいいでしょうか?

「ダメなものはダメ。何をわがまま言ってるの。わがまま言ってると、もう連れてこないよ」は正論の押しつけであり、共感はゼロです。

「確かにやりたいよね。おもしろそうだもんね……。でも、7歳からだって……。7歳になったらすぐにやろうね」は共感です。

「確かにやりたいよね。おもしろそうだもんね。じゃあ、やっちゃおうか」と言ってやらせてしまったら、安易な同調です。

これでは平気でルールを破っていいと教えているようなものです。
「やりたいね」と共感しつつもやらせてはいけないのです。

ということで、共感と安易な同調の区別をつけるようにしてください。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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