親子の衝突タイミングNO.1は、なんと秋!? 解決法は?

中学生の秋は、定期テストに運動会や文化祭といったさまざまな行事等で忙しい時期です。やることが多く忙しい秋は、実は親子間で衝突しやすい時期。秋に親子の衝突が増えてしまう理由と防止策を臨床心理士の高木紀子先生に聞きました。

秋は親子のギャップが広がる時期

私は臨床心理士として、中学生や高校生、および保護者からの相談を受けていますが、9〜10月は、1年間のなかで4〜5月と同じくらい保護者のかたからの相談件数が多い時期です。春は「子どもが新しい学校やクラスにうまくなじめない」といった環境への不適応に関する相談が多いのですが、秋は「親子間のギャップ」に関する相談が多くなります。

子どもにとって長い夏休みを経た秋は、学習や生活のペースがなかなか取り戻せないうちに、学校行事や部活等で忙しくなり、からだや気持ちがついていかずに気持ちがしずんだり、イライラしたりしがちな時期です。一方、保護者のかたにとっては、「夏休みに充電したはずだから、学校行事や部活、そして勉強も頑張ってほしい」と期待をかけがちな時期なのではないでしょうか。そのため、子どもがいつまでも家で机に向かわずにダラダラしている姿を見て、つい小言が増えてしまうかたも多いようです。

ポイントは、子どもの気持ちへの共感です

子どもが中学生になると思春期を迎え、保護者のかたに反抗的な態度をとるようになります。ただ、子どもの態度で気になることがあっても、「どうして勉強しないの!」「いつまでダラダラしているつもりなの!」などと、頭ごなしに叱ったり、責めたりしないことが大切です。一方的な決めつけや、強制したりするような言い方では、かえって子どもは「自分の気持ちや状況を理解してくれない」と感じ、保護者に反発するようになり、ますますやる気をなくしてしまうからです。保護者の思いを子どもに伝えるには、下記の2つをおさえることがポイントです。

1)まず“子どもの思いを聴く”ことからはじめよう
保護者のかたが子どもに言いたいことはたくさんあると思いますが、ぐっとこらえまずは子どもの思いを傾聴するようにしましょう。例えば、運動会の練習で忙しそうだけど、定期テストに向けて勉強を頑張ってほしい場合は、「今日も運動会の練習、頑張っているね。運動会の準備はどんな感じなの?」と聞いてみましょう。すると、子どもは「練習がハードで疲れちゃってさ〜」「でもテストのことも気になっているんだよね」と自分の抱えている不満や気がかりを口にし始めるかもしれません。子どもが話したくなるような雰囲気で問いかけをして、子どもの思いを聴く。その気持ちに共感することがスタートです。

2)保護者のかたの気持ちは「Iメッセージ」で伝えよう
その上で、保護者の考えを子どもに伝えたい場合には、「Iメッセージ」で伝えます。「Iメッセージ」とは、「私」を主語にして、自分自身がどう感じているかを伝えることです。例えば、「テスト勉強をしなさい」ではなく、「お母さんは、今のうちからテスト勉強しておくと、テスト直前で焦らないと思うけどな」と伝えます。伝えるタイミングも大切です。親子共にイライラがピークのときは避けたいですね。保護者は感情的になってしまいますし、子どもの耳にも届かないので、親子共にコンディションの良いときに伝えたいもの。また、自分の感情が爆発する前に、小出しにして自分の気持ちを子どもに伝えるのも良いと思います。先の例で言うと、テスト直前ではなく、テストの3週間前くらいから数回に分けて声かけをしておくのです。

中学生だからこそ、コミュニケーションの「種まき」が大切です

気になるときだけ行うのではなく、日頃から良い親子関係を築くための「種まき」として、上記のポイントを意識してコミュニケーションをとることをおすすめします。例えば、子どもの進路が気になっているなら、「◎◎高校は英語の授業に特色があるんだよね。私は英語が得意なあなたに合うと思うけど、どう?」と聞いてみてはいかがでしょうか。子どもがリラックスして心を開いているなと感じたときに、進路や勉強、部活、人間関係について、話を振ってみましょう。そして、子どもの声に耳を傾けるのです。「いつも自分の話を聞いてくれる」と子どもが感じとることで、保護者の問いかけにも反応し、本当に困っているときには、自分から保護者を頼ってくれるはずです。

時には保護者のかたから「私、変わったの」宣言を!

とはいえ、突然優しく問いかけたとしても、子どもに見向きもされない可能性があります。その場合は、思い切って、保護者のかたが、「私、変わったの!」と宣言してみてください。例えば、「このあいだ、友だちに『そんなキツい言い方だと、子どもに嫌われるよ』って注意されちゃった。だからこれからはあなたへの態度を改めようと思う」と伝えます。子どもがちらっとでも自分を見てくれたら大成功。子どもは「『変わる』って言ったけど、本当かな? ちょっと様子をみてみよう」と思って、今までよりも保護者の言うことに耳を傾けるようになるはずです。

継続的に保護者の声かけや態度を変えると、反抗的だった子どもの態度もきっと変わっていくはずです。行事や部活で忙しくなる秋だからこそ、子どもへの声かけのトーンを柔らかくしていただき、子どもの声にたくさん耳を傾けるように心がけてほしいですね。

プロフィール


高木紀子

臨床心理士。清泉女子大学非常勤講師。2男1女の母。カウンセリングセンターのほか、小学校、中学、高校でもカウンセリングを行い、長年保護者の子育て相談を受けている。

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