子どもが昆虫と触れ合ううえでの疑問Q&A

昆虫は子どもにとって、最も身近に自然環境を感じられる存在です。しかし、近年では自然が身近になく、昆虫と触れ合う機会がないケースも少なくありません。また、保護者のかた自身が、昆虫が苦手で、子どもに昆虫との触れ合いをどう促してよいかわからないケースもあるでしょう。
そこで今回は、ぐんま昆虫の森の筒井学さんに、子どもが昆虫と触れ合ううえでの疑問点を伺いました。

Q.子どもが「虫は怖いもの」と思って近付きません。どうしたらよいでしょうか?

A.テレビなどでは注意が必要な昆虫のことをよく取り上げますから、子どもがそうした情報を見て昆虫を過剰に警戒してしまっていることも少なくありません。確かに、ハチや毛虫など害を及ぼす昆虫については注意を促すべきです。しかし、そうした昆虫はごく一部。多くの昆虫には害がないという知識を持つことが大切でしょう。

また、注意が必要な昆虫についても、「どういった時に攻撃的になるのか」といったことを知ることで、適切な対応ができるようになります。たとえば、ハチはエサ場にいる時にはほとんど刺しません。一方で、巣に近付くと途端に攻撃的になるのです。ハチがいまどういう状況なのかを見て判断すれば、対処の方法が見えてくるものです。

多くの場合、無知からむやみに昆虫を恐れ過ぎてしまいます。それは非常にもったいないことだと感じます。昆虫の生態を知っていくことで、昆虫をやみくもに遠ざけようとはしなくなるのではないでしょうか。

Q.子どもが昆虫へ残酷なことをしてしまいます。どのように注意をしたらよいでしょうか?

A.子どもは弱いものに対し、自分の力を誇示しようというあからさまな部分があります。時に、そうした性質が現れて、昆虫を痛めつけてしまうことがあるかもしれません。

一方で、「小さくて弱いものを守りたい」という優しさも子どもには備わっています。昆虫に残酷なことをしてしまったあとには、「どうしてあんなことをしてしまったんだろう」「こんなにすぐに死んでしまうなんて」と後悔をしているかもしれないのです。多くの子どもは、こうした自分の中にある気持ちに揺さぶられながら過ごし、幼児体験のなかで、人間性を築いていくともいえます。

そのため、子どもが昆虫に対して残酷な行為をしているのを見た時には、「虫にひどいことをしてしまった時、どう思った?」「虫の気持ちになってみたらどうかな?」と思考を促してみましょう。そうすることで、自分の優しい心と向き合い、「もうひどいことはやめよう」と考え、命の尊さを学んでいくはずです。

Q.保護者自身に虫への苦手意識があり、子どもに虫と触れ合うことを促せそうもありません。どうしたらよいでしょうか?

A.昆虫への苦手意識を一気に拭い去ろうと思っても難しいものです。人間にはそれぞれ好き嫌いがあるものです。そのため、保護者のかたが、「子どもに昆虫と触れ合える機会をつくることができない」と気に病む必要はありません。

最低限、子どもの昆虫へ向かった好奇心や関心を妨げるようなことはしないようにしましょう。子どもは保護者の価値観をまねるものです。保護者のかたが、「昆虫には近付いてはダメ」「昆虫は怖いもの」と教えていけば、子どもも多くの場合、「虫嫌い」になっていきます。その点を十分に理解して、子どもが学校で学んだ昆虫の話などをゆっくり聞いてあげてください。保護者のかたが、子どもの関心事の理解者である前提に立っていただけるとよいと思います。

もし、保護者のかた自身が「昆虫のことをよく知らないから苦手意識を持っているだけかもしれない」ということでしたら、子どもと一緒に自然や昆虫について調べることを楽しんでみてください。実際に昆虫と触れ合うことに抵抗があれば、図鑑を眺めることから始めてみてもよいでしょう。また、地域の自然科学教室などのイベントへ家族で参加して、子どもと一緒に新たな知識を学んでいくのもよい手法ですね。

何かに興味を持って突き詰める姿勢は、これから子どもが成長していくなかで経験する学習や仕事のうえで不可欠な要素です。「虫が好きで将来何の役に立つのだ」という見方をするのではなく、子どもが探究心や思考を深めるきっかけとなるものとして昆虫への興味を捉えていくとよいでしょう。

プロフィール


筒井学

1990(平成2)年から東京・としまえんのもり昆虫館に勤務。1997(平成9)年よりぐんま昆虫の森建設に寄与後、勤務。主な著書に、『はじめてのむしのしいくとかんさつ』(学研プラス)、『小学館の図鑑NEOの科学絵本 セミたちの夏』(小学館)などがある。

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