仕事が忙しいパパが育児を楽しむためのアドバイス【前編】

 育児をしたいという気持ちはあるのに、仕事が忙しくて時間が取れない父親が多いのが日本の現状です。それでも、子どもの成長を見られるのは一度きり。どうすれば、父親は多忙な毎日の中でも育児に関わることを諦めず、子どもと深い関わりをもてるのでしょうか。労働・子育てジャーナリストの吉田大樹さんにお話を聞きました。

もっと育児をしたいと願う父親は増えているが……

 私は2012年から2年間ほど、「笑っている父親」を増やすことを目的としてさまざまな事業を展開するNPO法人ファザーリング・ジャパンの代表理事を務めました。現在は、労働・子育てジャーナリストとして、そして3人の子どもを育てるシングルファーザーとして、父親の育児のあり方を考え続けています。

日々の活動を通して、20~30代を中心に「自分も育児をしたい」と願う父親が確実に増えていると感じます。これはとてもすばらしい変化だと思います。しかし一方では長時間労働の実態は変わらず、遅い時間まで残業を余儀なくされたり、有給休暇を十分に取得できなかったり、育児の時間をなかなか確保できない厳しい現実があります。さらに、子育てにもっと関わってほしいと願う母親からのプレッシャーにも挟まれて悩んでいる若い父親は少なくありません。

子どもの成長は待ってくれない。まずはできることから始めよう

 そうした父親がよく口にするのが、「少し落ち着いたら子育てをしたい」という言葉。しかし、子どもの成長は待ってくれません。あっという間に大きくなり、「幼い頃、もっと深く関わっておけばよかった」と後悔しないためにも、働き方を見つめ直してワークライフバランスを実現する努力をすることが大切だと思います。

といっても、「じゃあ明日から残業はやめよう」と決めて実行できる人はごく少数にすぎないでしょう。ですから、少し長い視点で働き方を見直す努力を続けつつ、多忙な毎日の中でも育児をすることを諦めず、日々どうすれば子どもと深く関われるかを考えることも大切ではないでしょうか。些細(ささい)なことであってもよいので、父親として自分ができることを考えて最初の一歩を踏み出せば、次の一歩が見えてきます。その積み重ねによって親子の信頼関係は育まれていくものだと思います。

父親らしさに答えはない。自分らしく振る舞おう

 子どもにあまり関わってこなかった父親がいざ育児をしようとすると、理想の父親像にこだわってがんばりすぎてしまうことが少なくないようです。真面目なかたほど、育児書をしっかりと読んで「こうあるべき」という考えをもって子どもに接しようとします。確かに子育てに関する知識をもつことは大切かもしれませんが、父親らしさに決まった答えはありません。100人の父親がいれば、100通りの父親らしさがあると私は思います。

私自身がそうでしたが、最初から父親という深い自覚があったわけではなく、目の前にいる子どもをどう喜ばせようか、どう成長させようかと奮闘するうちに、どんどん愛情が深まり、気づいたら父親としての意識が高まっていました。ですから肩肘を張らずに、まずは子どもに対して素の自分で向き合ってみてください。すると、子どもに反応や変化があり、それに対して父親がまたアクションをすることで、父子の関係性が形づくられていきます。そうなると、これまでは何事も「ママじゃなきゃイヤだ」と言っていた子どもが、「この遊びはパパ」というように変化し、家庭内での父親としての役割が増え、存在感が高まっていくでしょう。

後編では、父親の最初の一歩として吉田さんがオススメする「父子旅行」について説明します。

プロフィール

吉田大樹

吉田大樹

1977年東京生まれ。「労働安全衛生広報」「労働基準広報」(労働調査会発行)記者を務めた後、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事や、内閣府「子ども・子育て会議」委員を歴任。現在は、労働・子育てジャーナリストとして活動するかたわら、グリーンパパプロジェクト代表を務める。厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会」メンバー。3人の子どもを育てるシングルファーザーでもある。

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