専門家に聞く! ゲームはいつから? どんなルールを決めるといい? 【前編】

 スマホやタブレットの普及もあり、ゲームがより身近なものになりました。お子さまがゲームで遊びたがっているけど、どのような影響があるのかが心配……という保護者のかたも少なくないようです。テレビゲームなどのメディアが発達に及ぼす影響を研究しているお茶の水女子大学の坂元章教授に幼児期におけるゲームとの適切な付き合い方をお聞きしました。

幼児期に限らず、適切なルールの範囲内での使用が原則

 以前はテレビゲームをするのは、小学校に上がってからという風潮がありましたが、スマホやタブレットが浸透してゲームの低年齢化が進んでいます。一昔前と違って大人が家でゲームを楽しむようになったことでも、幼い頃からゲームに触れる機会が増えているようです。

保護者の皆さんの中には、ゲームがお子さまに与える影響を考えると気が気でないというかたも多いでしょう。本当はあまりさせたくはないけれど、家事などの時間を作るために、子どもにゲームを与えているケースもあるかもしれません。

私は、テレビゲームが家庭に浸透した1980年代後半から、ゲームが人の認知的、社会的な発達に及ぼす影響の研究を続けてきました。同様の研究は世界中で行われていますが、「○歳からならゲームをさせてもいい」といったデータに基づいた明確な目安はありません。個人的には小学校以降がベターと思っていますが、かといって幼児期にゲームをさせると心や脳の発達に良くない影響が生じるという確たる研究データがあるわけではありません。テレビやDVDの視聴など何事にも言えますが、適切なルールの範囲内であれば過度に心配する必要はないかと思います。

バランスの良い心身の発達のために過度のゲームは禁物

 ただし、ゲームは、テレビやDVDといった他のメディアと比べると、自分の操作に対する反応があったり、強い報酬が与えられたり、常に適度な目標が設定されたりといった「魅力」によって、お子さまが夢中になりやすい性質があります。そのため、幼児期に限りませんが、いつまでも止められず、次の行動に移りたくなくなるといった生活上の乱れが生じやすいことには十分な注意が必要です。例えば、お子さまが「ゲームをしたいから外で遊びたくない」と考えるようになったら、心身の発達に良くない影響が出ることが心配されますし、やり過ぎによる視力の低下なども懸念されます。

ゲームの内容がお子さまに与える影響を心配されるかたも多いでしょう。例えば、暴力シーンを含むゲームを繰り返すと、暴力的な人格が形成されたり、攻撃的な行動が増えたりすることは世界中の研究によって支持されています。もっとも、そうしたゲームを幼児期に与える保護者はいないでしょうが、小学校以降は対象年齢などを指定した「レーティング」を保護者がしっかりとチェックする必要も出てくるでしょう。

教育系ゲームは有効なものもあるが、過度の期待はしない

 最近は、文字や数を学ぶゲームアプリなどが増え、教育的な効果を期待してお子さまにゲームをさせる保護者のかたも多いと思います。もともとゲームは教育分野に導入されてきた歴史があり、教育用テレビゲームは学業不振のお子さまにとくに有効と見られますし、成人でもリハビリや認知症予防などに活用されています。

そうした経緯を考えても、しっかりと作られた教育系アプリには一定の効果が期待できるでしょう。ただし、こうしたゲームは、あくまでも「スキル」を習得するものと考えるのが無難です。例えば、ひらがなのアプリならひらがなのスキル、数のアプリなら数のスキルが身に付くということです。「思考力や創造力を伸ばす」といったうたい文句のゲームアプリはたくさんありますが、そうした効果が実証されているとはなかなか言えないのが実情です。絶対に伸びないと断言できるわけではありませんが、効果を期待して過度に遊ばせるのは勧められません。

後編では、具体的なルールの内容について解説します。

プロフィール


坂元章

1963年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学文学部社会心理学研究室助手などを経て、2004年からお茶の水女子大学教授。専門は社会心理学、情報教育。特に、メディアが人の認知的、社会的な発達に及ぼす影響を研究している。著書に『テレビゲームと子どもの心』(メタモル出版)など。

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