「いよいよ受験本番!」の子どもにかける言葉は?[やる気を引き出すコーチング]

「もし、全部落ちたら、何て声をかけてやったらいいんでしょうか? それを考えると、もうドキドキして……」 お子さんの中学受験を控えたお母さんから、いきなり、相談されました。お気持ちはわからないでもないですが、お母さんが、最初から「全部落ちたら」などと思わないでいただきたいです。「あなたならきっと大丈夫!」と、本人以上に信じてあげてほしいなあと思います。

そのうえでさらに、お子さんが本番でより力を発揮するために、こんな対話、言葉かけをしてみられてはいかがでしょうか。

■「感謝」の気持ちは力を引き出す

ある学習塾の先生に伺ったお話です。受験直前のお子さんたちには、こんな話をして送り出すそうです。 「いよいよ受験の日が近づきました! 君たちがこうして受験をさせてもらえるのは、日頃の親御さんたちの理解と応援があってのことです。だから、当日の朝は、ちゃんとお父さんお母さんにお礼を言ってから受験に臨んでほしいと思います」

素直な子どもは、「今まで塾に行かせてくれてありがとう」「送り迎えをしてくれてありがとう」とお礼を伝えるそうです。当然、言われたほうは感激します。思わず、涙ぐむ親御さんもいます。そんな様子を見て、「心から応援してもらえているんだな」と子どもたちはいっそう感謝を覚えます。そうやって入試に臨むと、本番に弱い子どもでも、かなりの率で合格していくというのです。緊張や不安以上に、感謝の気持ちを持って臨むことが、どんなに力を引き出すかというお話です。

だからといって、家庭内で、「親に感謝しなさい」と言うのは、なんだか押しつけがましい感じがしますね。別に、「親に」と言わなくてもいいのです。

「ここまでよくがんばってきたね。あなたがここまでやってこられたのは、本当にいろいろな人のお世話になってきたからだよね」という話を、受験前にちょっとされてみてはどうかと思います。「あの先生にもお世話になったよね」という対話の中で、子どもは自ずと、親の存在にも気付くのではないでしょうか。照れくさくて、面と向かって、「ありがとう」とは言ってくれないかもしれません。それでも、感謝の気持ちを抱いて試験に臨むことはできます。

■プラスの言葉で思考も活性化

コーチ仲間のHさんは、大学合格を目指す高校生に対して、勉強を教えながらコーチングをしていました。受験直前に伝えたメッセージは、「ここまで勉強してきたことは、ちゃんと頭に残っているから、あとは、本番でわからない問題が出ても『わからない!』って思わないことが大事。『わからない』って思った瞬間に、考えたらわかる問題でも、思考回路がシャットダウンしてしまう。『わかる、わかる』『勉強してきたことだから思い出せる』って自分に言い続けてね」。

素直な生徒さんだったのでしょう。センター試験当日、たしかに、わからない問題もあったそうですが、Hさんから教わった「わかる、わかる、思い出せる」を自分に言い聞かせながら解答しました。自信がない問題もたしかにありましたが、なんと、得意科目では満点がとれていたそうです。ウソのような本当のお話です。

実際、言葉は、私たちの思考や感情に大きな影響を与えます。直前だからこそ、「大丈夫だよ」「できる、できる」「楽しんでいこう!」などのプラスの言葉を家庭内で増やしてあげてください。

そして、たとえ、どんな結果であったとしても、これで「人生が終わり」などということは決してありません。お子さんの将来には、まだまだ無限の可能性が広がっています。第1志望に進まなかったからこそ得られることも必ず待っています。親のほうが、「全部落ちたら」などと心配しないで、「どんな結果でもOK! あなたはきっと大丈夫」という気持ちで、どん!と構えていてあげてください。陰ながら応援しています!

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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