男子校・女子校という選択2018[高校受験]

公立高校のほとんどが共学となり、私立の男子校・女子校も共学化が進む中、志望校として男子校・女子校を考えている中学生や保護者のかたは少数だと思います。しかし、近年は男女別学の良さを見直す動きもあります。

今回は、選択肢のひとつとしての、男子校・女子校の特徴についてお話しします。

「異性の目がない」からこその自由さ

男子校はバンカラで荒っぽい男子が、女子校はおしとやかでお嬢様タイプの女子が行くところ……といったイメージをお持ちのかたも多いかもしれませんが、近年の実態はむしろ逆だと感じます。
男子校にはおとなしめでやさしい男子が、女子校には元気で主張のはっきりした女子が多いという印象です。これは異性の目がないので、”らしくあらねば”と意識せずにすむからだと思います。

共学校の場合、理科の実験ではガスバーナーに火をつける、薬液を混ぜるといった実作業は男子が率先してやり、女子は記録係にまわるといった姿がよくみられます。これは実験を「仕切る」よりはフォローに回るほうが「女性らしい」という感覚が、今の日本の社会にはまだ根強いことと無関係ではないと思われます。女子校では実験の準備も、文化祭の準備などでの大工仕事もすべて女子がやります。

また、女子校の体育祭の多くは、共学校や男子校と違う意味でとても見応えがあります。面白いことに、女子校では学年縦割りのチーム戦ではなく、学年対抗のところが多いですね。女子の場合、そのほうが横の団結力を生かせて活気が出るのだそうです。
先日見学したある女子校は、赤、黄色、白など「学年カラー」が決まっていて、その色をテーマカラーとした学年ごとのエール交換など素晴らしいものでした。毎年、高3生が勝つことがほとんどだそうですが、各学年が団結して本気で戦い、清々しいまでの迫力がありました。これも男子の目を意識して「かわいらしく」振る舞う必要のない女子校ならではかもしれません。

好きを追及する「オタク」の時間が生み出す自信

男性は「つねにリーダーシップを取るべき」「強くあるべき」といった感覚も、やはり日本には根強く残っていると思います。本当はさほどスポーツが好きでない男子が「オタクっぽく見られたくない」「モテたいから」と運動部に入ったりするのも、こういった感覚と無縁ではないといえるでしょう。

異性の目を気にせずにすむ男子校、女子校は思う存分好きな趣味に打ち込み、「オタク」になれる環境ともいえます。長い人生を考えれば、「オタク」の部分は大きな強みになるので、存分に伸ばしたほうがよいと思います。
異性の前では自分らしさにブレーキをかけてしまいがちなお子さまは、一度異性のいない環境で、思い切りブレーキを外してみるのも良いのではないでしょうか。好きなことになりふり構わず打ち込んだ経験は、大きな自信につながりますし、一緒に濃密な時間を過ごした友達との関係は、一生の財産となるでしょう。

男女別学だからこそ、伸びる個性もある

男子と女子の考え方や感じ方にどれだけ違いがあるかは議論の分かれるところですし、個人差も大きいと思います。ただし、体育祭の例で述べたように、男子は競争しながら切磋琢磨するのが得意、女子は共感しながら横のつながりをつくっていくのが得意という傾向はあるようです。伝統的な「文武両道」をキーワードに、それぞれが好きな部活に打ち込み、切磋琢磨することで、学力だけでなく、様々な価値観のものさしを育てたいという、ある男子校の先生の言葉は印象的でした。
また、女子校の場合、進学だけでなくライフプランやキャリア形成についてしっかり考えさせるところが多いようです。それと関連してか、卒業後も強いつながりが続く学校が多いと感じます。

男子校・女子校には宗教系の学校も多く、「校則が厳しいのでは」「かたい雰囲気なのではないか」といったイメージがありますが、これは必ずしも正しくありません。むしろ、宗教系ならではの瞑想や礼拝といった時間を通じて「自分とは何か」を考える機会が多いのは、現代では貴重なことかもしれません。

共学校と男子校・女子校。どちらが優れているとはもちろんいえませんが、男女別学のほうが伸びるお子さまがいるのは確かだと思います。「男子校だから」「女子校だから」と敬遠せず、多様な選択肢のひとつとして、お子さまと検討してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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