2018年度入試から見える私立中学受験の最新情報

2018年6月3日、東京国際フォーラムで「ベネッセ進学フェア2018」が開催されました。私立中高一貫校約180校が一堂に集まり、各学校の先生方に直接質問できるほか、学校選びについて専門家に相談できるコーナーもあり、中学受験を考えている保護者のかたや子どもたちで賑わいました。

同フェアで開催された、森上教育研究所の森上展安所長の講演「後悔しない受験校選びの秘訣」の内容をお届けします。

2018年度入試の特徴は「難化なき増加」
——男子校・女子校と共学校・付属校で倍率差が拡大

2018年度入試では、受験者数が前年の2~3%増加しました。通常は、受験者が増えて倍率が上がった学校は偏差値も上がるのですが、今年難易度が上がった学校はごく少数でした。具体的には早稲田実業など早大の系列校、巣鴨、鎌倉学園、明大中野、明大中野八王子、安田学園などが挙げられます。

その一方で、倍率の格差は非常に大きくなっています。男子校・女子校で、2月2日の午前や1日、2日の午後入試では、難関校であれ入りやすい学校であれ、倍率は2倍を切っています。難易度に関わらず、あまり倍率の出ない学校が多いのです。
これに対し、2月1日午前の共学校と付属校は4~5倍、中には6倍という学校もあります。とはいえ、前述のとおり難しくなっている学校は少なく、受験生の学力にはあまり差がないといえます。

系列大以外にも合格者の多い「半付属」に注目が集まる

東京23区内私立大学の定員厳格化により、私大の入試が非常に厳しくなったことが影響し、早慶、GMARCH系列の付属校はどこも倍率が跳ね上がっています。また、学習院、成蹊、成城など、系列大学への進学が可能な一方、他大への受験者も多い学校に人気が集まっています。また、生徒の約半数が推薦により立教大学に進学できる香蘭も、多くの受験生を集めました。

難関校は、倍率・難易度とも大きな変化なし

一方、卒業生の多くが東大・京大など難関国立大に進学する筑波大附属駒場、開成、麻布など難関校の倍率は、全体としてあまり変化していません。駒場東邦などは、倍率が2倍を切っていますが、偏差値には変化がありません。難関校には相応に学力の高い受験生が受けに来ているという印象です。
また、東日本大震災以降、神奈川県の受験生は東京や埼玉の学校を受験しなくなった傾向があります。そんな中、神奈川県の栄光学園、聖光学院は近年目覚ましい大学進学実績を出しています。
このような傾向は今後も続くと考えられます。

合否を分けるのは難問より「正答率の高い問題」

前述のとおり、高倍率となっている学校でも、受験者の学力にあまり差はありません。合格と不合格を分けているのは、難問ではなく「正答率の高い問題(正答率50%程度)」です。難しい問題をいかに解くかより、みんなが得点できる問題を「いかに落とさないか」が大切なのです。

1教科入試・適性検査型入試は「強み」を活かして

英語入試や算数1教科入試、適性検査型入試は年々増えています。特に1教科入試は、2019年度に多くの学校が取り入れる見通しです。
これらの入試の良さは、お子さまの強み、個性を生かせる点です。好きなことや特技があるお子さま、得意と苦手がはっきりしているお子さまには、1教科入試や適性検査型入試が向いていると思います。

私大の入試が軒並み厳しくなる中、早くから適性検査型・思考力型の入試を取り入れている宝仙や都市大等々力などは、早慶の合格実績を飛躍的に上げました。また、適性検査型、算数1教科、英語1教科入試を取り入れ、カナダの高校卒業資格も得られる「ダブルディプロマコース」を設置している文化杉並も、早慶やGMARCH、ICUなどの合格実績を上げています。
お子さまの強みを生かせば比較的入りやすく、学力を伸ばしてくれて、お子さまの希望の進路への実績もよい学校であれば、それに越したことはありません。
偏差値で学校を選び、そこの入試問題に合わせて勉強するのではなく、まずは「いかにご本人の強みを生かせるか」を考えて学校選びをすべきだと思います。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(1977年に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A