「なぜ?」と「歴史」を考えるとニュースの見え方が変わる!

2018年6月3日、東京国際フォーラムで「ベネッセ進学フェア2018」が開催されました。私立中高一貫校約180校が一堂に集まり、各学校の先生方に直接質問できるほか、学校選びについて専門家に相談できるコーナーの設置や講演会の開催もあり、中学受験を考えている保護者のかたや子どもたちで賑わいました。

同フェアで開催された、早川明夫先生の時事問題特別授業の内容から、今回は時事問題に強くなる方法について取り上げます。

「なぜ」を考えると、勉強がおもしろくなる!

時事問題に強くなるために、大切なことが二つあります。一つは「なぜ」「どうして」をつねに考えること。そうすることで、物事に興味・関心がわきます。謎解きの答えを探すように、物事の背景を探るのがおもしろくなるコツですね。おもしろくなると、自分で勉強するのが楽しくなる。そうなるように仕向けるのが親の役割かもしれません。
中学入試の問題を見ても、ほとんどの学校が「なぜ~」と理由を問う記述問題を出しています。「なぜ」は勉強の出発点といえるでしょう。

私は文教大学付属小学校で、毎年行われる弁論大会の審査員を30年ほど務めていますが、今も忘れられないスピーチがあります。発表者は小学4年生の男の子でした。ある時、彼がお父さんと上野動物園にいったら、ライオンが檻にいませんでした。そこで動物園の事務所に行って、「どうしてライオン、いないんですか?」と尋ねたところ、絶滅危惧種の動物は、種ごとに一つの動物園でまとめて飼育し、そこで計画的に繁殖を進めていることを説明してくれたそうです。その子は、どんな生き物が絶滅危惧種に指定されているのか、さらに調べあげました。素朴な疑問に始まり、大きな広がりをもつこのスピーチに、私は感銘を受けました。子どもと動物園の事務所に行って、一緒に話を聞いてあげたお父さんも素晴らしいと思いましたね。

このように、「なぜ」には大きな力があります。保護者のかたは、ぜひお子さまの疑問を大切にしてあげてください。

「歴史」を考えると、物事が違って見えてくる!

もう一つ、大事なのは「何にでも歴史がある」と意識することです。歴史のないものはないんですね。

たとえば「名字」について。私は「早川」で漢字二文字ですね。クラスのお友達の名字を考えてみてください。おそらく、漢字二文字の方が圧倒的に多いと思います。全国的に見ても、二文字が9割以上で、一文字や三文字以上は合わせて3%程度です。なぜだと思いますか?

そう、地名と関係があります。名字の9割は地名から来ており、地名も漢字二文字が多いんですね。その起源は701年の大宝令の時代にさかのぼります。この頃、中国にならって国の名前を漢字二文字にすることが決められたのです。中国の地名も、漢民族が支配していたところは「長安」「上海」など二文字になっていますね。
日本の国名には、「泉」「紀」「上毛野」「下毛野」など、一文字や三文字もあったのですが、それぞれ「和泉」「紀伊」「上野」「下野」と二文字に改められました。また、年号が本格的に使われるようになったのも大宝からです。年号も「昭和」「平成」など二文字ですね。年号をつくったのは漢の武帝といわれ、土地や人だけでなく、人々の時間までも支配するためといわれています。年号を使うことは、年号を定めた人に従うという意味があったのです。

歴史を知ると、物事の別の面が見えてきます。「いつからこうなんだろう」「昔はどうだったのかな」などと考える癖をつけると、さらに興味がわきますよ。

家族で新聞を読もう!

新しい学習指導要領は、「思考力」「判断力」「表現力」を求めていますが、これらの大前提として、「読解力」を養うことが重要だと思います。それには新聞がうってつけです。新聞を読むことで、論理的な文章やデータを読み解く力がつきますし、語彙も豊富になります。できればご家族で新聞を読み、マンガでも写真でも、その日いちばん興味がわいたところについて話題にされるといいですね。時事問題の対策になりますし、親子の絆も強くなると思います。時間がないときは、見出しに目を通すだけでもかまいません。小学生向けの新聞や雑誌もいろいろと出ていますので、ぜひ利用してください。新聞やテレビのある部屋には、ニュースに出てきた地名やわからない言葉をすぐ調べられるように、地図帳や国語辞典などを置いておくとよいでしょう。

欧米では、家庭内で政治や社会の話をよくします。日本だと「生意気」だといわれがちですが、ふだんから日本や世界で起きていることを知り、話題にする習慣がないと、本当の民主主義は育たないのではないかという気がしてなりません。
社会科は、国の政治の主人公としての基礎的な知識やものの見方、考え方を培う教科です。これからの日本を担う子どもたちには、ぜひ時事問題を通して自ら考える力を養っていただきたいと思います。

プロフィール

早川明夫

早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学生涯学習センター講師。『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』などテキストや参考書の監修・執筆多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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