志望校への道が見えてくる「作戦会議」 5つのコツ

中学3年生の新学期は、一般的に子どもの学習意欲が高い時期です。保護者のかたにはそうは見えないかもしれませんが、「志望校合格に向けて頑張ろう」「部活などはまだ忙しいけれど、勉強もしっかりやろう」という気持ちになっているお子さまが多いようです。

とはいえ、勉強時間が取れなかったり、自分に合った勉強法がわからずに成績が伸び悩むケースもよく見られます。内申点に不安がある、初めて受けた模擬試験の成績が今一つだったなど、入試への不安を感じている保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、この時期におすすめしたい、今後の受験生活について親子で話し合う「作戦会議」についてお話しします。

1 作戦会議の前に「仕事」モードへの切り替えを

いきなり話がズレますが、「自分の親を介護するのは難しい」といいます。家族だからこそ、つい感情が入ってしまい「なぜ同じ話を何度もさせるのか」「どうしてこんなこともできないのだろう」とイライラしてしまいがちなのです。プロの介護士であれば、相手にできること、できないことを客観的に見極めて、何を手助けすべきか、どうすれば相手が自信や誇りを取り戻せるか、冷静に判断できるでしょう。

子どもに勉強についてアドバイスする場合も、これと似ています。自分の子どもだと思うとつい怒りたくなってしまいますので、まずはコーチとしてスポーツ選手にアドバイスする、あるいは会社で、ある製品の売り上げを上げる方策について提案するといった、「仕事モード」への切り替えが大切です。

2 まずは「良かった時」について聞く

作戦会議にあたり、最低限の材料となるのは学校の成績表です。お子さまと一緒に、学期ごとの成績を見比べてみてください。そして、まず「良い材料」を話題にすることが大切です。
成績が良かった時はどのように勉強したのか、何が要因で良かったのかについて話し合ってみましょう。定期テスト対策を早めに始めた、計画の立て方が自分に合っていた、興味のある単元が試験範囲で、あまり苦労せずに勉強できたなど、今後の受験勉強にも生かせるヒントがあるかもしれません。
お子さま自身が、自分にとってベストの状況を再現できれば、やる気にも弾みがつきます。逆に「悪かったこと探し」から入ると、子どもは「叱られている」とガードを固めてしまい、有意義な作戦会議になりません。

3 苦手は正体を見極めて「敵を小さくする」意識で

次に、やはり重要なのは「良くなかった」教科や単元を見つけ、その原因を探ることです。定期テストや実力テスト、模擬試験の成績表や答案は、そのための良い材料となります。ただし、誰でも良くなかった試験の答案は見せたくないし、自分でも見たくないものです。保護者はテストの結果だけを見て子どもを叱ってしまいがちですが、苦手克服のヒントは答案にこそ現れています。
たとえば、中2二学期の数学の成績が今ひとつだったとしたら、その原因を、その時期に習った単元について「思い出す」感覚で、お子さま自身に分析してもらいましょう。その時の定期テストの答案を、保護者のかたも一緒に見ることができれば、苦手の原因はよりはっきりします。
「このときは定期テスト対策の時間が足りなくて、この単元はまるまるやっていなかった」ならば復習しなおせばすみますし、「この単元はよくわからない」「わかった気がするけど問題が解けない」なら、学校の先生に質問する、塾や家庭教師の先生に相談するなどして解決する必要があるでしょう。

漠然と「理科が苦手」と思っていると、理科の勉強全般がおっくうになりがちですが、実際は物理・化学・生物・地学の中のどれか、もしくは一つの単元の理解が足りないだけかもしれません。苦手の原因と、何から手をつければ克服できるかがはっきりすれば、気持ちは楽になるはずです。保護者のかたは、苦手という「敵」の姿を分解し、「小さくしてあげる」意識でアドバイスしてあげると良いでしょう。

4 内申点について知り、おおづかみな方針を提案

公立高校入試に、調査書(内申点)をどう反映するかは、都道府県や学校によって異なり、学力検査と内申点の比率も異なります。たとえば東京都の場合、内申点は3年次のみの成績を使い、実技4教科の成績は2倍して合計します。学力検査と内申点の比率は一律で7:3です。
お住まいの地域の内申点の算出方法について調べておき、ぜひ、2年次の成績表を使って、お子さまと一緒に現状の内申点を算出してみてください。内申点は定期テストの占める割合が大きいので、志望校に近づくには、定期テストでどの教科に力を入れるべきかが見えてくると思います。また、これまであまり成績がふるわなくても、中3の定期テストで頑張れば挽回の可能性はおおいにあります。
内申点の算出方法など客観的な材料を提示し、「1学期の定期テストで、苦手な○○の成績を1つ上げると、志望校の選択肢が広がるよ」などと前向きな方向でアドバイスしてあげてください。

5 本人のペースを生かし「志望校への前向きな気持ち」を盛り上げる

どんな時間、場所だと学習に集中しやすいかといったことも話題にしてみてください。たとえば、「部活から帰ってきて夕食までの1時間が集中しやすいから、夕食は何時にしてほしい」といった希望を聞くのも良いと思います。
中3生ともなると、自分がどうすれば集中できるか、ある程度つかめている子も多いでしょう。お子さまのペースを生かしつつ、入試への前向きな努力をどう盛り上げていくか。それを考えることがこの作戦会議の大きな目的です。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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