[速報]2018年 大学入学共通テストを意識した設問が増加!

2018(平成30)年の首都圏中学入試には、どんな傾向が見られたのでしょうか。
森上教育研究所による入試問題の分析から、特徴的なトピックをお伝えします。

増えている「立場を変えて考える」問題

2018年の首都圏中学入試では、2020年度(2021年1月)から実施される「大学入学共通テスト」を意識した問題が、数多くの学校で出題されました。よく見られたのが、グラフや表、図や絵、文章や会話文など、様々な資料を参照しながら、現実社会の問題について考える力を問うといった設問です。

たとえば開成の国語では、北海道の名産品を販売する会社の、カニ弁当の仕入れと売り上げに関する文章が、「売れ行き総数の推移」のグラフとともに出題されました。弁当は、新宿支店では売り切れ、池袋支店では20個の売れ残りが生じましたが、販売部長は売り切った社員を評価し、社長は売り残した社員のほうを高く評価します。社長の考えを、指定の接続詞を使って説明しなさいという問題です。
グラフからは、新宿支店では18時から19時まで弁当が欠品になっていたことがわかります。つまり、欠品によるお店の信頼性の問題がポイントになっているんですね。
小学生は基本的に消費者ですから、このように「供給者」「経営者」の立場で考えるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

これまで、中学入試の国語では、子どもが主人公で、家族や友情をテーマにした小説や、子どもにとっても身近な社会問題や環境問題を扱った説明文が多く出題されていました。もちろん、今回もそのような文章もたくさん出ていますが、この問題のように、自分とは離れた立場に立って考えなければならない問題がほかにも見られました。同じく開成では、キャリアウーマンの女性の視点から描かれた大人向けの小説が出題されています。この女性には子どもがいて、夫は家事一切をやっている主夫です。現実社会を反映した設定ですが、子どもが「お父さんが主夫である家のお母さん」の立場に立つのはかなり難しそうです。
このように「現実社会の問題を考える」「立場を変えて考える」力を問う設問は、今後も増えていくのではないかと思います。

算数では「数の性質」、理科では実験・観察の問題が頻出

新学習指導要領では整数論が一単元をあてて新設されました。これを先取りして、中学入試でも、連続した数字の中に、一定の決まりを見つけて解くような問題がたくさん出されました。このような問題には、事前の知識はあまり必要なく、その「数の性質」の場で「考える」力が大切です。様々な問題を解いてみて、どこに目をつければいいか見つけることに慣れておく必要があります。

理科では、実験や観察の問題が多く出題されました。これらの問題では、知識として暗記しているかというより、実際に実験を行ったか、自分でよく観察しているか、そこから何を理解したかといったことが問われています。たとえば、「クモの脚のつき方を作図する」といった問題は、クモをよく観察したことがあればわかると思います。
社会でも、グラフや表、図の読み取りはよく出題されました。第二次世界大戦に関連して、手塚治虫の漫画『アドルフに告ぐ』のコマを時系列順に並べる問題(東邦大学付属東邦)は印象的でした。

自分で考えて「目のつけどころ」をつかむ力を

全体として、大学入試改革の方向性を反映して、「自分で考えさせる」「教科の力を現実問題に反映させる」問題が多く出題されたと思います。国語や社会に、算数や理科の考え方を反映させるような問題も多く見られ、算数や理科に会話文などが出されてリテラシーを問う問題もよく見られます。また、「自分の考えを、自分の言葉で書く」タイプの記述問題も増える傾向にあります。必要な知識事項は、ほとんどが小学校の教科書に沿ったものです。小学校で習った基礎的な知識や考え方を組み合わせて「どう使うか」が問われているのです。

今後の中学入試対策としては、小学校で学ぶ基礎的な考え方をしっかり身につけること、そのうえで様々な問題を自分で解いて「目のつけどころ」「とっかかり」をつかむ経験、現実社会の問題に目を向け、自分なりに考える経験、考えたことを人に伝わるよう「話してみる」「書いてみる」経験が、ますます必要となってくるでしょう。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(1977年に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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