高校教育と入試は、これからどう変化する?[高校入試]

学習指導要領の改訂により、特に高校教育は大きく変わるといわれています。
新学習指導要領の高校での実施は2022年度からですが、これに先立ち、すでにカリキュラムを見直している学校もあります。また、この動きと連動して、全国の公立高校の入試も変わりつつあります。

今回は、今後の高校入試に向けて、保護者のかたに注意していただきたいことについてお話しします。

ますます求められる「思考力・判断力・表現力」

2022年度以降、高校では科目再編により、選択科目に「古典探究」「世界史探究」「理数探究」など、「探究」のつく科目が多く導入されます。これに先立ち、「探究」系の学習をカリキュラムに入れ込む高校も増えています。
その背景として、大学入試改革があります。今後は、国立大学でもAO入試や推薦入試の比重をさらに増やし、高校時代に取り組んだ課題研究や課外活動の内容も積極的に評価していく方針が明らかになっています。大学志願者が、課題研究等の活動内容を自分で書き込むeポートフォリオの研究も進んでいます。

つまり、自分なりの問題意識をもって思考力・判断力・表現力を深めていくことが求められており、そのことが希望の大学進学にもつながるわけです。この流れを受けて、高校入試も変わってきています。公立高校の国語や英語の入試でも、文章を読ませ、それをふまえて自分の考えを書かせるといった記述問題を出題するところが増えてきました。

「読む」「考える」「書く」ことに慣れる

このような問題は、機械的な暗記やテクニックでは歯が立ちません。また、「自分の考えを書く」ためには、まず出題されている文章の趣旨を読み取り、それをふまえて考える必要があります。考えたことを人に伝わるように書くには慣れが必要ですし、英語の場合、さらに英作文の訓練が必要となってきます。
つまり、今後は「読む」「考える」「書く」作業に慣れることが、ますます大切になってくるのです。

高校入試にも、英語の外部検定導入が進む方向へ

英語の4技能重視が、高校入試でも進んでいます。たとえば大阪府では、2017年度から、TOEFL iBT、IELTS、英検の成績を教育委員会が定めた換算表に基づいて得点化し、英語の学力試験と比較して点数の高い方を採用することとなりました。福井県も、2018年度から外部検定の級に応じて加算をすることとなり、その他、東京都でも外部検定導入の検討を始めています。

このように、高校入試の時点で、どれだけ反映されるかは都道府県によって違いがありますが、今後英語4技能がさらに重視されるのは間違いありませんので、外部検定には積極的にチャレンジしておくとよいと思います。

「自分で決める」経験が思考力・判断力・表現力を磨く

思考力・判断力・表現力を養うために、まず必要なのは「自分で決める」ことだと思います。それには日常生活の中で「こうしたい」「自分はこう考えた」といった意見が、お子さまから出てくるまで待つことが、いちばん重要かもしれません。保護者のかたご自身の中に「こうすればいいのに」という考えがあっても、それを言わずに待つ。待つことにはエネルギーがいりますが、とにかく先回りして答えを出さないことが大切です。

また、思考力・判断力・表現力は、教科の勉強以外のシーン、部活や学校行事の中でも育まれていきます。好きなことに打ち込む時間を大切にし、思い切り楽しんだり悩んだりすることが、そのまま考え、判断し、表現する力につながるんですね。保護者のかたは、学校生活が幅広く様々なことにチャレンジする場となるよう、応援してあげていただければと思います。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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