「学力を伸ばしてくれる学校」の学びにはどんな特徴がある?[中学受験]

森上教育研究所では、首都圏の「学力を伸ばしてくれる学校」について毎年分析を行っています。これは入学時の難易度と大学合格実績を参考に、在学中にどのくらい学力が伸びたかの目安を分析するものです。今回は、学力をよく伸ばしている学校の学びの特徴について、お話ししてみたいと思います。

きめ細かなフォローで学習習慣をつけるしくみ

学力を伸ばすには、中1・中2の間にいかに学習習慣をつけるかがカギです。思考力が伸びるこの時期に、スポーツの基礎体力づくりと同様、誠実に学ぶ姿勢を身につけておくことが大切なのです。
特に積み上げ教科の数学は、授業の予・復習を行ってわからないところをなくしておく、英語は、学んだ構文を繰り返し使ってみるなど地道な学習がものをいいます。

学力をよく伸ばしている学校のほとんどは、家庭学習に対する指示が的確で、「どこまでやってきたか」「どこまでわかっているか」のフォローをていねいに行っています。
「どこからわからないか」に気づかせ、その部分はちゃんと時間をとって勉強させているんですね。それも、「やってきなさい」というだけでなく、「やらなきゃいけないな」と、自分で気づかせるのが上手なケースが多いと思います。「上」からの強制より、コツコツ英会話を練習してきたクラスメートがうまく話せるようになってきたなど、友達との「横」の関係の中ですべきことを自覚させるのが上手なやり方ですね。

生徒同士に発信させることで「言葉の力」を磨いている

大学入試は、今後AO入試の比重がさらに大きくなる見通しです。それに伴って、資料を読み込んだり、人の話を聞いたりして理解する、それを受けて考えたことを話す、書くといった「言葉の力」が、国語・英語を問わずますます重要になってくるでしょう。
一方で、近年子どもの読解力の低下が問題となっています。2016年4月~2017年7月、中高生を中心に約2万5千人に対して行われた国立情報学研究所の調査では、主語と述語の関係など、文章の基本的な構造が理解できていない子どもが多くいることがわかったといいます。

先日、新学習指導要領に基づいて国語の教科書改訂を行っている先生方と話す機会があったのですが、やはり生徒たちの読解力や語彙力の低下は問題とのことでした。
言葉の力を磨くためには、生徒同士で話し合ったり、自分の考えを発信させる機会を多くもつことが大切だといいます。話し合いの中では、相手と自分の意見のどこが同じで、どこが違うのかを正確にとらえる必要があり、語彙力や言葉のセンス、思考力も磨かれていきます。相手の言葉に「自分とはちょっと違うな」などと小さな違和感を感じた時、そこを掘り下げていくと大きな発見があったりもします。
学力をよく伸ばしている学校は、アクティブ・ラーニングや課題研究と銘打った授業に限らず、ふだんから生徒同士の意見交換が活発な傾向があると思います。

留学やコンテストなどの行事を目標に学ぶ機運が盛り上がっている

学力をよく伸ばしている学校では、短期留学やディベートコンテスト、研究発表会などの行事がさかんで盛り上がっているケースが多くあります。
留学を目標に、生徒たちが一生懸命英語検定取得に取り組んでいたり、研究発表に向けて熱心に調べ学習に励んでいたりと、独自の熱気が感じられるんですね。国際部で模擬国連に挑戦するなど、高校生の先輩とチームで学んだり、先輩の優れたパフォーマンスを目にしたりと、上からの刺激を受けられるのも行事の良さです。学力を伸ばしてくれる学校には、年に数回、このような行事を通して学ぶ仕掛けを取り入れているところが多いようです。

わが子の力はどんな環境で伸びそうか、実際に足を運ばなければわからない点も多いものです。ぜひ、お子さまと一緒に学校を訪れて、各学校の取り組みを肌で感じていただければと思います。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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