2018年度中学入試 受験校選びのポイント 『ベネッセ進学フェア2017』

2017年5月、東京国際フォーラムで、中学受験を検討している保護者のかたやご本人向けに『ベネッセ進学フェア2017』が開催されました。
同フェアでは、中高一貫校約180校が一堂に会し、直接先生に質問することもできるほか、学校選びの相談ブースが設置され、専門家による講演会も開催されます。
今回はその中から、私学教育研究の第一人者である森上展安氏の講演を抜粋でお届けします。

■「後悔したくない」からこそ心配性に!?

日本人は心配性と言われています。最近の研究では、特に神経質になりやすい「SS型」という遺伝子タイプの人が、日本人には世界的に見ても突出して多いのだそうです。特にお子さまの受験校選びともなると、「後悔したくない」という思いが強いからこそ、心配事が多いことと思います。難易度、大学進学実績、校風がわが子に合うかなど、考えることが多すぎてなかなか受験校を絞れないというかたも多いのではないでしょうか。
ここでは、後悔しない学校選びのために、考える切り口をいくつかご紹介します。

1 2017年度入試状況 附属志向と共学志向をどう見るか

2015年以降、中学受験生の全体数は増えています。
難易度が高いほうからA~Eのグループに分けると、B(いわゆる上位校)とC(いわゆる中堅校)で志望者が増える傾向にあります。
2017年度入試では、大学附属校と共学校の志望者が増えました。ただし、中学受験生の進学先のおよそ8割は進学校であり、全体から見れば、附属校は増えたといっても少数派です。共学校に志望者が集まる傾向は続いていますが、これは様々な見方ができます。

たとえば、首都圏の2017年2月1日午前入試のAグループ校(難関校)の倍率を、男子校、共学校男子、女子校、共学校女子で比べてみると、男子校2.56、共学校男子3.65、女子校2.31、共学校女子3.74となっており、男子校・女子校より共学校の倍率が著しく高くなっています。特に女子トップ層で共学校を選ぶ傾向が強く、たとえば女子最難関の桜蔭と渋谷学園幕張を併願し、最終的に渋谷学園幕張を選ぶ、といった受験生が多かったようです。
逆にいえば、男子校・女子校の伝統校が比較的入りやすくなっているといえます。

2 入りやすいが、学力を伸ばしてくれる学校に注目

いわゆる難関校ではなく、比較的入りやすくても、高い大学進学実績を出している学校も数多くあります。たとえば、昨年は27名、今年は15名の東大合格者を出した埼玉県の栄東、早慶や有名国公立大学への合格実績の多い都市大附属など、入学時の偏差値は決して高くありません。
「学力が伸びない」と悩んでいる保護者のかたは、お子さまの学力に見合い、その学力を伸ばしてくれる学校を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。

ぜひ、こちらの情報も参考にしてください。
http://oya-skill.com/useful/
お役立ち情報 2016年『学力を伸ばしてくれる学校』その2

3 良い意味での「同調圧力」ーー学校文化を見極めて

お子さまを私立中高一貫校に入れたい理由として、各学校独自の文化や学習環境を挙げるかたも多いかと思います。先日、開成と女子学院の校長先生と座談会をやらせていただいたのですが、お二方のこんなお話が印象的でした。たとえばdiscoverという言葉を、周囲に帰国子女やネイティブが多い環境であれば、だれもがごく自然に英語らしく発音するでしょう。
しかし、ネイティブのいない環境なら、子どもたちは「英語っぽい発音はカッコ悪い」と感じてカタカナ発音をするのではないでしょうか。周囲と同じであろうとさせる「同調圧力」は、良い方向にも悪い方向にも働きます。良い意味で圧力のある環境を与えられる点が、私学の良さだというのです。
お子さまにとって良い刺激となる環境かどうかは、学校選びの大きなポイントになると思います。

4 子どもがのびのびとリーダーシップを発揮できるか

自分らしさを生かして自主的に動き、人と共に何かをやりとげる力が、広い意味でのリーダーシップといえます。生徒会活動などでクラスや学年の意見をまとめることも、小さなクラブで、少人数の仲間と協力して好きなことに思う存分打ち込むこともリーダーシップです。中・高時代にのびのびとリーダーシップを発揮して持ち味を生かせた経験ができた子は、その後大きく伸びることが多いのです。
好きなクラブや行事、NGOやNPO活動など、お子さまがリーダーシップを発揮できそうな場や文化があるかどうかは、学校選びでとても大切です。

5 よそではできない実体験ができるか

『インターネットの次に来るもの』(ケヴィン・ケリー著、服部桂訳)という本があります。この中で私が膝を打ったのは、「体験の値段がどんどん高くなっている」という一説でした。今は、ICT技術を通じて、あたかもそこへ行ったかのような映像をたくさん見ることができますが、五感で受け止める実体験にはかないません。農業や漁業などの職業体験、登山や自然観察、発展途上国への研修旅行など、貴重な実体験のできる学校は、子どもたちに非常に人気があります。

(筆者:森上展安)

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(1977年に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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