算数の苦手を防ぐ3つの習慣とは?[中学受験 4年生]

4年生の秋は、算数の得意な子と苦手な子の差が開き始める時期です。通信教育や塾などによってカリキュラムは異なりますが、つるかめ算、和差算といった特殊算など、学校の授業より難しい内容を習い始め、学習範囲も広くなっていくためです。
今回は、中学受験の算数を苦手にしないために、4年生の時点で身につけておきたい3つの習慣についてお話しします。

習慣1 「どうしたら簡単に計算できるか」をまず考える

計算は、算数の基本です。ただし、計算練習をやみくもにこなすより、「どうすれば簡単に、効率的に計算できるか」をまず考えることが大切です。
例えば、たし算とひき算がまざった計算の場合。前から一つひとつ計算していくより、「たす数」と「ひく数」をそれぞれまとめてたし合わせ、「たす数」の合計から「ひく数」の合計をひくほうが速くできます。
抽象的な言葉では子どもに伝わりにくいので、たす数を「うさぎ」、ひく数を「かめ」などとし、「うさぎさん集まれ、かめさん集まれ」と説明するのもよいですね。

1-0.1-0.01-0.001-0.0001-0.00001

例えばこんな問題。頭から一つずつひき算していたのでは、どこかでまちがえてしまいそうです。「かめさん」(「ひく数」)を全て集めてみましょう。

=1-(0.1+0.01+0.001+0.0001+0.00001)
=1-0.11111
=0.88889

これなら簡単にできますね。

以下の問題はどうでしょうか。

6.54×438+24.3×65.4+3.19×654

見るからに面倒な計算に見えますが、似た数字があることに注目。「分配法則」や「倍数」といった用語を使うとわかりにくいかもしれませんので、6.54を「小さいくまさん」、65.4を「中くらいのくまさん」、654を「大きいくまさん」など、お子さまの好きなものに例えて説明するとよいでしょう。
「小さいくまさん」に単位をそろえます。

=6.54×438+6.54×10×24.3+6.54×100×3.19
=6.54×(438+243+319)
=6.54×1000
=6540

こうすると、驚くほど計算が簡単になりますね。

計算を工夫することで、速く正解できるだけでなく、数を操作する感覚が身につき、思考力がついてきます。

習慣2 考え方を式や図・言葉にして人に伝える

算数の学習において、「考え方のプロセスを説明できる」ことは非常に大切です。
途中式を書くことも、図や言葉で表すことも、自分の考え方の筋道を人に伝えるためのコミュニケーション手段です。
算数が苦手な子のノートを見ると、式をきちんと書かずに、隅にちょこちょこ筆算だけしてあるというケースがよくあります。これは、自分に向かって「たぶんこうかな?」とつぶやき、自分だけが自己了解している状態です。この状態だと、頭の中が整理されないままで、考え方の筋道をたどることも、どこからまちがえたか認識することもできません。答えだけ合っていても、人に説明できなければ、本当はその問題が「できた」とはいえないのです。

ただし、いきなり「式を書きなさい」と言っても、子どもにはどうしていいかわからない場合があります。まずは「お母さんに説明して」などと声をかけて、考えたことを図や言葉で表させましょう。数の規則性の問題なら、数字を書き出してみるだけでもかまいません。お子さまと対話しながら、頭の中の考えをアウトプットして整理させる習慣をつけてあげてください。

習慣3 ノートはたっぷり使って思考のプロセスを明確に

自分の考え方のプロセスをたどれるよう、ノートはたっぷり使う習慣をつけさせてください。=を行頭に書き、1行ずつ空けて式を書きましょう。計算問題なら1ページに2問書ければ十分。文章問題や図形問題であれば1問に1ページ使ってもかまいません。
なお、4年生の今こそ、疑問に思ったことはすぐおうちの人や塾、家庭教師の先生などに質問する癖をつけておきましょう。「なんとなくもやもやしている」状態をそのままにせず、人に説明できるように自分の思考プロセスを明確にすること。それが算数を苦手にしないために、最も大切なことです。

(筆者:金廣志)

プロフィール


金廣志

悠遊塾主宰。森上教育研究所スキル研究会講師。<武久鴻志会>の渋谷教室教務責任者を経て、悠遊塾を設立。一人で4教科を指導、塾生全員を全国の超難関校に合格させカリスマ講師として一躍有名になる。異色の経歴から発想されてきた学力向上の方法論は他に類例を見ない説得力で多くの保護者に支持されている。著作に「まとめ これだけ!算数(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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