内申点とは? 入試ではどう活用される?

「内申点」は、合否にも影響する大切なものです。しかし、「調査書」(内申書)と「内申点」の違いや内申点のつけ方、入試でどう使われるのかなどは「よくわからない」というかたも多いようです。
そこで今回は、内申点の基礎知識と、保護者としておさえておきたいことについてお話しします。

「調査書」(内申書)・「内申点」とは何か?

「調査書」とは、生徒の学習や学校生活について中学が記載して高校に提出する文書のことで、俗に内申書と呼ばれ、入試の選考資料として使われます。調査書(内申書)の内容、主に教科の成績を点数化したものが「内申点」と呼ばれます。内申点は、調査書に書かれた各教科の「評定」(通知表に1~5で記される成績)を使って計算されますが、算出方法は各都道府県によって異なります。
なお、9教科の成績を単純に足し合わせた数値(オール5なら45点)を素内申、各都道府県の算出方法に従って算出した数値を換算内申などと呼んで区別することもあります。

いつの成績が対象・実技4教科の扱いは?

たとえば、東京都の算出方法(換算内申)を見てみましょう。

3年のみの評定(成績)を使い、5教科は1倍、実技4教科は2倍して合計します。

たとえば評定がオール5だった場合、
5×5教科+5×4教科×2=25+40=65 
この65点が満点となります。

このように、東京都では3年の評定のみが対象ですが、「中1~3すべての成績を対象とし、中3の成績は2倍にする」県もあるなど、都道府県によって扱い方が異なります。
また、東京都で実技4教科の評定を2倍にするのは、一部の専門学科を除き、入試ではテストが行われない実技の成績も公正に評価するため、という考え方に基づいています。このように実技4教科の評価に配慮する都道府県もあります。

都道府県・学校で異なる「調査書」:「学力検査」の比率

公立高校の一般入試は、基本的に学力検査(入試の点数)と調査書(内申書)で合否が決まりますが、その比率も各都道府県によって違いがあります。たとえば東京都の場合、2016年度から全校一律で学力検査7:調査書3となりました。神奈川県等では比率が学校によって異なり、学力検査重視の学校、調査書重視の学校などがあります。一般的には、内申点が高ければ、調査書の比率が高い学校のほうが有利といえます。

私立高校の推薦入試を受ける場合は

私立高校の推薦入試を検討する場合は、早めに志望校の推薦基準を見ておくようにしましょう。
たとえば、「3年5教科の合計が23以上、9教科の合計が39以上で2以下の評定がゼロ」など、学校ごとに推薦入試を受けられる出願基準が決まっています。
ちなみに、「私立A高校の推薦基準は内申点39以上です」という言い方をした場合、この「内申点」とは基本的に素内申(9教科の成績を足し合わせたもの)を指します。つまり、内申点が高いほど、推薦入試で受けられる私立高校の選択肢が広がるといえます。

内申点のもとになる「評定」と観点別評価

内申点のもとになる「評定」(成績)は、「観点別学習状況の評価」(観点別評価)に基づいて決定されます。観点別評価は、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の観点から、学習指導要領に示されている各教科の目標に照らして、A、B、Cの3段階で評価する方法です。「評定」は、観点別評価を総合して決めた成績です。
保護者のかたが高校受験された時代は、「評定」は相対評価でつけられていましたが、現在は全都道府県が絶対評価となりました。

相対評価は、集団内における位置で評価を決める考え方で、「5」がつくのは全学年の7%、などと集団内で割合が決まっています。一方、絶対評価では、目標に対する個人の到達度で成績が決まります。「5」の人数に制限はないので、「観点別評価がすべてA」など、学校が定める目標を達成した全員が「5」となります。
絶対評価の導入とともに、評価が恣意的にならないよう、観点別評価の考え方が徹底されています。例えば定期テストでも、どの問題でどの観点を見るかを明確にするなど、評価の根拠を示すことが求められるようになりました。
なお、絶対評価により、「5」「4」の評定が増え、「2」「1」は減る傾向にあります。成績の平均値は「3」ではなく「3.5」くらいと考えるとよいでしょう。

内申点を上げるには——次の定期テスト対策は万全に!

内申点を上げるためには、定期テストはもちろん、授業には積極的に参加する、提出物の期限を守るといった基本的なことが大切です。特に実技教科は、それぞれ得意・不得意があると思いますが、例えば美術が苦手であっても、作品の制作に真剣に取り組んで期限内に提出し、定期テスト対策をきちんと行えば、一定の評価は期待できます。前述のとおり、苦手だからといって実技教科をおろそかにしていると、入試の際、非常に不利になる場合もあります。
内申点の計算方法や、学力検査:調査書の比率は各都道府県の教育委員会のホームページなどで確認できますので、ぜひ、お子さまと一緒に、今の成績で仮の内申点を計算してみてください。学校の成績が志望校の受験にどの程度影響するか、実感できるでしょう。その上で「次の定期テスト、どんな目標と計画を立てた?」などと声をかけて、本人の自覚を促してはどうでしょうか。特に中三2学期の定期テストは、内申点アップにつなげる最後の大きなチャンスといえますので、万全の準備で臨んでほしいですね。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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