夏休みに向けて 学力をどう底上げする? [中学受験 5年生]

5年生の夏休みは、しっかりとプランを立てて、お子さまの実力が伸びていることを実感できる夏にしたいものです。そこで、夏休みの学習について注意すべき点についてお話しします。

この夏の課題 弱点集中治療・体験学習・2学期の予習

この夏、力を入れるべき課題はこの3つです。夏休みに入る前に、ざっと日程を決めておきましょう。

◆弱点集中治療(7月中~)

5年生の1学期までに習った単元のうち、基礎ができていないものを洗い出し、丁寧に復習する時間をつくりましょう。単元数はできる限り絞り込むこと。算数で積み残している単元や、「てことてんびん」「天体」など、理科の理解しづらい分野について、基礎問題だけでもできるようにしておきましょう。国語が苦手な場合は、指示語や接続語など、読解の基礎に集中して取り組むとよいでしょう。社会で地名や地形が頭に入らない場合は、現地へ連れて行ってしまうのもひとつの手です。たとえば「日本アルプス」を机の上で覚えるより、雪をおおった山々の雄姿を自分の目で見るほうが、ずっと記憶に残りやすいものです。

弱点克服には、少なくとも10日はかかると思います。7月~8月初旬をめどに取り組んでください。

◆体験学習(8月半ば)

5年生は、心身ともに成長の著しい時期です。この時期に体験したことは、精神的な成長を促すきっかけになるケースが多いのです。

塾の夏期講習などで忙しいため、お盆の前後や週末など期間は限られると思いますが、キャンプや自然観察、子どもが尊敬する人と触れ合えるワークショップなどの体験学習を、お子さまがいちばん好きなことに絞って計画に組み入れてください。

◆2学期の予習(8月後半)

5年生の2学期からは、学習内容が格段に難しくなります。そこで、8月の最後の10日間は2学期の予習に充てましょう。

その際、できれば、保護者のかたが2学期に学ぶ単元を学び直し、お子さまの印象に残るように導入をしてあげていただきたいと思います。学校の教科書や塾のテキストでは、丁寧な解説はされておらず、それだけで子どもに理解させるのは難しいものです。参考書を活用し、図鑑や参考文献を図書館で借りてくるなどして、教科書の行間を埋め、内容をふくらませて興味付けをしてあげることが必要なのです。全教科が無理なら、家庭教師などのプロに任せてもかまいません。

夏期講習任せにせず「一緒に学び直す」つもりで

夏期講習に行かせる場合も、行かせているだけでは学習内容は身に付きません。最低1時間はその日に学んだことを復習する時間が必要です。とはいえ、塾でたっぷり勉強してきたお子さまに、すぐ復習しろといっても難しいでしょう。講習が午前中なら午後いっぱい遊ばせ、夕食後に復習させるなどメリハリが大切。余裕があれば、「明日の講習では、こんなことが大切だよ」と、さらっと翌日の授業の導入をしてあげられるとさらによいですね。予習で興味付けをし、復習で理解を深めて「難しいのに、よくできるようになったね」とほめてあげるのが最も効率的な方法です。

近年、よく引用されるベンジャミン・フランクリンの言葉に“Tell me and I forget. Teach me and I remember. Involve me and I learn.”というものがあります。「言われたことは忘れる。教わったことは一応思い出せる。体験したことからは自ら学べる」といった意味。involveは巻き込む、熱中させるといった意味もあります。学習に「巻き込む」ためには、保護者の関わりがとても大切なのです。

保護者のかたにとってもハードな夏ですが、お子さまと一緒に学び直しを楽しんでいただければと思います。成長の著しい時期ですから、勉強の合間には思いきり体を動かすことも大切。週末には近場の海や山に出かけるなどして、ご家族でよい思い出づくりができるとよいですね。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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