応用力を付けるためのポイントとは? [中学受験 6年生]

2016年度の中学入試では、大学入試改革の方向性を踏まえ、基礎的な知識や原理・原則の応用力を問う出題が目立ちました。今後もこの傾向は続くと見られます。そこで、今回は応用力を付けるためのポイントについてお話しします。

テキストの例題、正答率50%以上の問題で基礎固めを

「応用」とは「使いこなす」こと。その知識やテクニックについて深く理解し、しっかりと身に付けなければ使いこなすことはできません。

たとえば算数の場合、塾や家庭学習のテキストには、基礎問題の次に例題がいくつか載っていると思います。例題は、いわば「基礎+α」の問題。例題レベルの問題を繰り返し、丁寧に解くことで、代表的な解き方の筋道や目の付けどころが身に付きます。一度解いたら、3日後、1か月後、3か月後……と、時間を置いて取り組んでください。その際、途中式や考え方は飛ばさずしっかり書くこと。途中で間違えたら、そこは目立つように印を付けて、しっかり復習してください。「間違い」は失敗ではなく、次の正解につながる「財産」です。

なお、応用力を付けるために、正答率の低い難問に取り組ませるのは逆効果です。もちろん、難問がすらすら解けるお子さまならどんどん解かせてかまいませんが、そうでないなら、繰り返し解くのは正答率50%以上の問題のみでOK。ご本人が「少し難しい」と感じるくらいがちょうどよいのです。

また、応用力を付けるには時間がかかることも、頭の隅においていただければと思います。飛行機と同じで、助走から離陸までには時間がかかります。なかなか成果が上がらないため、もっと難しい問題を解かせないといけないのでは……と心配になる保護者のかたもいらっしゃるかもしれませんが、「基礎+α」「正答率50%以上」の問題を目安に、根気よく取り組むのが早道です。

課題解決型の問題に慣れるには

近年、身近な社会問題を扱った、課題解決型の総合問題も増えています。課題解決型の問題では、分野を問わずさまざまな知識を応用する力や、他者の意見を踏まえて自分の意見を述べる力が問われます。

このような問題に実際に取り組んで慣れることも必要ですが、その前提として役立つのは、家族で議論することです。テーマは最近話題になっているニュースでもいいですし、学校や家庭内の話題、テレビドラマや映画など、おしゃべりが盛り上がりそうなものなら何でもかまいません。お父さま、お母さま以外に、おじさま、おばさまなど親戚のかたが加わると、なおよいですね。親戚は子どもにとって、保護者のかたとは違う身近な大人であると同時に、しばしば子どもの味方になってくれますから、面白い議論になると思います。

議論は、たとえばAが意見を述べ、Bが「それはわかるよ、でもね……」と反論し、Cが「私はAに賛成。なぜかというと……」と別の視点からAを支持する……、というふうに続きます。議論することで、人の意見を聞き、それを踏まえ、自分の視点を入れてさらに解決策を提案するという訓練ができるのです。これは、「主張とその理由→主張に対する反論→反論に対する答え・結論」といった、説得力のある文章を書くための訓練にもなります。

「手応え」「手がかり」を大切に

学ぶことに楽しさや手応えがないと、手も頭も活発に動かず、応用力を発揮することはできません。「この知識が使えるかな」と手がかりが見えたり、その問題に興味を持って語ったりできれば、それは応用力が働き始めているということ。反対に、問題が難しすぎて手が出ず、頭が真っ白になっているだけという状態は、応用力を付けるどころか、子どもを勉強嫌いにさせかねません。

お子さまがほどよい手応えを感じるような問題を見つけ、一緒に考えることを楽しんでいただければと思います。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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