「学力を伸ばしてくれる学校」とは? [中学受験 5年生]

有名難関校が、東大・京大、早慶など難関大学への合格者を多数輩出しているのは周知のとおりです。一方、入学時の難易度はさほど高くなくても、難関大学合格者が多い学校もかなり存在します。
ここでは、2016年度の大学合格実績を見ながら、お子さまに合った「学力を伸ばしてくれる学校」を見つける方法について述べます。

■今後問われるのは「基礎・基本に立ち戻って応用する力」

2016年度の実績を見ると、公立の進学高や公立中高一貫校が、難関国公立大学の合格者数を大きく伸ばしてきている、という印象を受けます。その要因として、リーマンショック以後、これまでは難関私立中学を受験していた層が、公立中高一貫校受験や公立高校受験に回ったことを指摘する声もあります。しかし私は、東大をはじめとする難関国公立大の入試問題が、より基礎・基本を重んじて応用力を見る方向に変わってきたことが大きいと考えています。今後は、解法テクニックを磨くスタイルの受験勉強より、常に基礎・基本に立ち戻る学び方がますます大事になってくるでしょう。

大学合格実績だけで学力の伸びを測ることはできませんが、東大合格者数は、ひとつの学力の指標としてとらえてよいと思います。

■学校の「入り口」と「出口」を見比べる

多くの公立中高一貫校では、国公立大と早慶の合格者が全体の4割程度を占めます。多くの公立進学校が2~3割であることを考えると、公立中高一貫校は「よく伸ばしている」といえます。首都圏の私立では、入学時の偏差値が50前後の昌平、宝仙学園、専修大学松戸などが複数名の東大合格者を出しました。また、埼玉県の栄東は、2016年度は27名の東大合格者を出しましたが、中学入学時の難易度はさほど高くありません。このように、入学時の難易度と大学合格実績、「入り口」と「出口」を見比べるということをぜひやってみてください。入りやすいけれど学力を伸ばしてくれる学校の中に、お子さまにぴったりの学校があるかもしれません。

■数字に表れていない「伸び盛りの学校」を見つけるには?

数字にはまだ表れていないけれど、生徒の考える力を引き出し、学力を大いに伸ばしつつある学校も存在します。そんな学校を見つけるには、まず学校見学に行ってみること。伸び盛りの学校はたいてい、生徒会活動や部活動が盛んだったり、学園祭などの学校行事にものすごいエネルギーが渦巻いていたりします。学力を伸ばすことは、生徒自身を伸ばすこと。ですから、伸び盛りの学校は授業にも学校文化にも勢いがあります。生徒は楽しいから伸びていくわけで、雰囲気が沈んでいる学校はあまり期待できません。

先生がたの雰囲気も大切です。中等教育は「独り立ち」のお手伝いですから、先生が生徒を押さえ付けるような雰囲気は望ましくありません。伸び盛りの学校には、質問が飛び交い、先生が間違えていたら生徒が指摘できるような風通しのよさがあります。

また、校長先生の人柄も大事です。校長先生は学校教育において大きな権限がありますから、情熱にあふれ、よいチームづくりのできるリーダーであることが望ましいのです。学校見学では、ぜひ先生どうしの関係や校長先生の人柄にも注目してください。

難関校には難関になるだけのよさがありますが、まだ注目されていないけれども、学力を伸ばしてくれる学校も数多くあります。ぜひさまざまな学校に足を運び、お子さまにぴったりの志望校を見つけてください。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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