あと1年! どんな力を伸ばすか [中学受験 5年生]

中学受験において保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。5年生を対象に、今後の入試の変化を見据え、「あと1年でどんな力を伸ばすか」について述べます。

■入試説明会で動機付けと情報収集を

この時期、数多くの塾で入試報告会が行われます。5年生には、先輩の体験談の事例が肌身に感じられるでしょう。難関校に合格した先輩でも、もともと4教科ともバランスよくできるという子は少ないはずです。成績の低迷や苦手教科など、自分と同じような問題を抱えていた先輩たちが、がんばって志望校に合格したエピソードを聞くことは、学習へのよい動機付けになりますし、基礎・基本の大切さも先輩の口から聞けば腑(ふ)に落ちることと思います。

また、中学入試の選抜法も多様化しつつあります。入試報告会は、お子さまに合った学校や選抜方法を見つけるための情報収集にも役立ちます。

■公立高・中高一貫校の変化を見据えて

新6年生の保護者のかたに注目していただきたいのは、ここ数年の公立高校・中高一貫校の大きな変化です。たとえば東京都立校では、2015年度から富士高校、八王子東高校、南多摩中等教育学校が理数イノベーション校に指定されました。また、既にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として高い評価を得ている小石川中等教育学校にも、さらに大学や研究機関との連携を強める動きがありますし、戸山高校では医学部を目指す学科をつくることが検討されています。また、立川国際中等教育学校は、2022年度をめどに小中高一貫化すること、さらに新しい国際高校を都心部につくる構想もあります。

■私立入試の多様化と高大連携の動き

公立校の変化に伴い、私立の学科や選抜方法にもドラスティックな変化が見られます。インターナショナルスクール化する、理数教育に特化したコースを設けるなど、特色あるカリキュラムを組むと同時に、中高一貫校で行われるような適性検査や面接、プレゼン能力を見る入試も増えてきていますし、英語だけの入試を行うところも増えています。

また、今年度は大学附属校に数多くの受験生が集まりましたが、近年、高校が大学と連携を強め、附属校でなくても、成績に応じて提携大学に進学できるようにする「高大連携」の動きが活発化しています。この傾向は、近年希望者が減少傾向にある女子校で特に顕著です。高大連携は、今後公立でも私立でも拡大していくでしょう。高大連携が進むと、高校生活も変化し、「大学入試のため」ではなく、「自分のため」、自分に合った分野で身を立てるために学ぶ場という意味合いが強くなると考えられます。

■入試に向けて、何に力を入れるべきか

このように、学校や入試が変化しつつある今こそ、お子さまがどんな分野に向いていて、どんな入試なら最も力を発揮できるかを考えて、あと1年で何に力を入れるべきかの方針を立ててください。公立中高一貫校を受けるなら、1年間かけて段階的に記述力を伸ばす必要があります。そのかわり、理科や数学などの教科の学力は基礎に絞られますので、もともと記述や作文が得意なお子さまなら、より展望が開けてきます。その方針に合わせて、ゴールデンウイークや夏休みに力を入れて学ぶべきことも決まってきます。

なお、小学生のうちから、子どもの適性など見極められないと考えるかたもいらっしゃると思いますが、とりあえずご本人が興味を持っている方向に進ませてあげればよいと思います。路線変更はいつでもできます。要は「いかに子どもの可能性を狭めないか」です。

また、勉強に本腰が入り、急激に学力を伸ばすのは夏休み以降という子が多いことも頭に入れておきましょう。お子さまにはまだまだのびしろがあることを信じ、ご本人の努力が見えた時に、タイミングを逃さずほめてあげてください。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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