国語で難しい長文の問題を速く読めるようになるには、どうしたらよいでしょうか[中学受験合格言コラム]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


【質問】

国語の読解問題で、学校なら満点をとれるのですが、塾などで難しい長文の問題が出るといつも時間切れになり、解答できずよい点がとれません。速く読めるようになるにはどうしたらよいでしょうか。

相談者:小4男子(論理的・大ざっぱなタイプ)のお母さま



【小泉先生のアドバイス】


精読と速読の練習で難しい長文に挑む


●難しい長文を速く読むための2つのアプローチ
中学入試では、学校で扱う問題文よりもはるかに難しい文章が出題されます。特に、論説文ではそのような傾向が強いと思います。そうした文章を時間内に読み、しかも合格点の答案を仕上げるためには、読解力を強化する練習として精読と速読の両方が必要です。まるで英文読解の勉強のようですが、読解力が未熟な小学生にとってはそのくらい難しいチャレンジだと思ってよいでしょう。

●精読ではやや難しい短文を読ませる
まず精読は、300潤E500字程度の本人にとってやや難しい文章をじっくり読ませましょう。ゆっくりでよいですから、段落と段落、文と文の関係をしっかり意識させ、各段落での中心文を見つけて線をひきながら読んでいきます。ちなみに、文には次のような役割があることを、塾では勉強しているとは思いますが、お子さんに再確認させることは必要かもしれません。



〔文の役割〕 文の役割としては、次のようなものがある。

【A. 中心的な役割】
(1)問題・話題を示す文 
(2)結論・まとめを示す文

【B. 詳しく説明する役割】
(1)具体例を示して説明する文 
(2)引用(他の人の話や文章を持ち出すこと)して説明する文 
(3)原因・理由を示して説明する文 
(4)対照的なことと比べながら説明する文 など。

※これらの中でも、「問題・話題を示す文」と「結論・まとめを示す文」はとても大切。
「問題・話題」と「結論・まとめ」をつなぐと、筆者がその文章を通じて最もイイタイコトである「要旨」になる。



●速読はやや長いが易しめの文章から始める
速読は1000字以上の長文でよいと思いますが、内容的には易しめの文章を選ぶ必要があります。文章の難易は、テーマ、文章の構造、語彙(ごい)の抽象度などによって決まりますが、選ぶのに苦労する時はテーマで決めるのがいちばん簡単でしょう。中学入試における説明的文章の頻出テーマは、易しいものから順番に、動植物、自然環境、言語・コミュニケーション、文化習慣、文芸論などが一般的です。お子さまの現在の読解力に合わせて、易しい話題の文章から始めましょう。

なお、一つの話題を始めたら、その話題の文章がある程度読めるようになるまでは同じテーマの文章を読み続けてください。同じテーマの文章には、同じような内容、展開、考え方のものが少なくありません。そうした同じような文章を繰り返し読むことで、その話題に関する知識が培われて楽に読めるようになってくるのです。

●速読での読み方
長い文章を読む時のポイントは、筆者のイイタイコトを一文にまとめるつもりで文章を読むことです。「その文章は何の話か?」「イイタイコトはどのようなことか?」に関して、30字くらいでまとめられるくらい理解することが大切です。なお、筆者のイイタイコトは「話題」と「まとめ」を合体すればよいのですが、最初のうちはなかなか難しいと思いますので、「テーマは何か」から考え始めるとよいでしょう。

読み方でいちばん大切なことは、最初のほうをしっかり読むことでしょう。最初の段落を読み終えたら、「その文章は何の話なのか?」「次はどのような展開になるか?」などを自分なりに想像することです。想像するということは、少なくともそこまでの内容を理解したということです。そして、もし理解できていない、何の話かわからない場合は、もう1回、2回読み直してみましょう。それでも理解できなければ、その文章は難しすぎると考えて、易しいテーマのものにすべきでしょう。しかし、動植物などのテーマなら学校でも読んでいると思いますので、十分に読めるとは思います。

最初のほうを読めたら、さらに読み進めていきます。その時も、「何の話か?」「立てた推測と外れていないか?」などを考えながら読んでいきます。そして、外れている場合は修正しつつ、さらに読み進めていきます。そして、文章の最後までたどりつき、しかも最初から最後まである程度の一貫性があれば、それは一応読めたということになります。文と文、段落と段落の関係を細かく意識して読んでいないし、何がどこに書いてあるか詳しく覚えていないかもしれません。しかし、とにかく意識を集中させて最後まで読めたということがまずは大切なのです。

●読むための集中力を養う
長文が読めない人の典型は、最初の部分を読んで何がなんだかわからず、しかし目だけは文字を追って最後までたどりついたが、やはり何が書いてあるかよくわからないという具合でしょう。最初のほうの内容がわからないのだから、全体がわからないのも当たり前です。目で文字を追うだけで、内容が頭に入ってこなければ意味がないのです。そして、こうした読み方をいくらやっても、文章を読むことが嫌いになるだけで読めるようにはなりません。

読めるようになるには「こんな話じゃないか」という推測や修正を続けながら最後まで読むこと、読みきる集中力を養うことが大切です。その際、保護者のかたが一緒に読み、必要に応じて理解するための手助けをしてあげるとさらによいでしょう。

●精読と速読は読解の両輪
精読と速読は読解の両輪ですから、どちらも重要です。交互でもよいですから、毎日時間をとって勉強していきましょう。なお、こうした読解の練習をする場合は、問題(問い)はやらなくてよいでしょう。もし問いをやるなら、問題演習として別に時間をとるべきだと思います。なぜなら、問いを解く時間をつくるとそれだけ勉強時間が長くなるため、読解の勉強を毎日やるというわけになかなかいかなくなるからです。

こうした難しい文や長い文を読み続けることで、漢字や慣用句などの語彙が増えます。また、そのテーマ特有の知識や考え方が身に付いてきます。そうした複合的な知識が身に付くことで、読み手としてもさまざまなテーマに関して自信や興味がわいてくるでしょう。そして、ある程度読めるようになったら、次の段階としてより難しいテーマに挑戦してください。なお、中学入試にはもちろん頻出テーマ以外のテーマも出題されますが、頻出テーマをいくつか得意になると説明的文章の展開に慣れてきて、あまり身近でないテーマでも読めるようになると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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