【5年生】 学習法のセカンドオピニオンを取る [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第58回]

保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。このコラムでは、4年生から6年生のお子さまと保護者のかたに、毎月特に取り組んでほしい重点事項を紹介していきます。
前回に続き、今回は5年生を対象に、「学習法のセカンドオピニオン」について述べます。



学習法について具体的なアドバイスをもらう

第55回「学習法の見直しと意欲の回復を」では、学習法の見直しについて取り上げましたが、今回はそこからさらに進んで「セカンドオピニオン」についてお話しします。病院の診断や治療法に疑問がある時、他の医療機関に意見を聞きに行く、医療における「セカンドオピニオン」はすっかり市民権を得ましたが、学習法においてもセカンドオピニオンを聞く機会を持つのはよいことだと思うのです。そのタイミングとして、6年生になる前の今がベストです。

学習の成果が思うように上がらず、今通っている塾や家庭教師の先生に相談しても事態が改善しない場合、他の家庭教師や個別指導塾の先生に、苦手教科の答案を見せてアドバイスをもらうか、一度「お試し」という形で苦手単元の指導をお願いするのがよいでしょう。その際、お子さまが「どこでつまずいているか」「どこに力を入れて勉強すればよいか」といった具体的な指示をもらうことが大切です。



苦手教科だけ個別指導を利用する方法も

たとえ一度、ある教科が苦手になったとしても、ずっとそのままということはまずありません。なかなか治らなかった病気が、薬や生活習慣を変えたら見違えるほどよくなることがあるように、苦手もちょっとした学習法の改善で克服できることも多いのです。その教科に精通したプロの目で子どもを見てもらい、その方法を早く見付けることがセカンドオピニオンの目的です。

優れた先生の指導を受けていると、不安げで反応が薄かった子どもの表情が「これならできる!」「わかった!」といういきいきとした表情に変わることがあります。その瞬間を見逃さないようにしてください。セカンドオピニオンの先生の指導がよいようなら、苦手教科や苦手単元だけピンポイントで個人指導をお願いする方法もあります。



塾を変える場合は、「縦」と「横」の関係に注目

近年の研究から、知識は指導者から学習者へと自然に「移っていく」ものではなく、学習者が意欲を持ってとりに行かなければ定着しないことがわかっています。意欲は、学習者が指導者に「認められたい」という気持ちを抱くことでわいてきますし、学習者どうしの横のつながりの中でも生まれてきます。競争し合ったり、教え合ったり、励まし合ったりできる仲間がいる場なら、学習効果も上がるのです。転塾を考えるなら、先生や仲間との間にいきいきと刺激し合える関係が生まれているかに注目してください。先生との間に、常に叱られていて認めてもらえていないような関係が固定してしまっている場合、あるいは塾の友達との関係がうまくいかず、通うのがつらそうな場合は、転塾を検討したほうが賢明です。



最も大切なのは「子どもが楽しく学べる」場か

なお、塾の先生や仲間となんとなく「なあなあ」の関係が成立していて、居心地がよく、お子さまは続けて通いたいと言っているけれど、学習効果に物足りなさがあるといったケースもあると思います。ご本人にとって楽しい「居場所」というものはとても大切なので、できればとっておいてほしいものです。その塾の先生に相談してがんばっていただくか、他の指導法をプラスする、あるいは転塾するけれど「時々遊びに行く」という方法はいかがでしょうか。

学校が終わったあと、さらに勉強しに行くのですから、ご本人にとって楽しい場所でなければ続きません。先生や仲間から認められて自己肯定感が得られ、学習意欲がわく場であれば二重丸です。

苦手な単元ができるようになった、問題が解けるようになったという体験を持つと、子どもたちはさらに前向きになります。6年生になる前に、ぜひそのようなよい体験ができる場を見付けてあげてください。

次回は6年生を対象に、12月に取り組むべき課題について取り上げます。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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