【4年生】 「おでかけ」「遊び」で苦手予防! [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第54回]

保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生の1月~3月に行われる入試に対応するために、毎年の受験生活は○月にはこれを、と目標とするべきスケジュールがあり、それは歳時記のようにも感じられます。
このコラムでは、4年生から6年生のお子さまと保護者のかたに、毎月特に取り組んでほしい重点事項を紹介していきます。
前回までに続き、今回は、4年生を対象に、11月に取り組んでほしい課題について取り上げます。



芸術・科学に触れて身に付く力

4年生は、感情や感性が発達してくる時期です。芸術の秋でもありますので、ぜひお子さまを水族館や美術館、博物館、あるいは劇場やコンサートホールなどに連れて行ってあげてください。本物の美術品に触れることで、ものをよく見る「目」が養われますし、音楽や舞台芸術に触れることで、さまざまな感覚や感情が刺激され、いきいきと動きだします。動物園や水族館もいいですね。水族館で泳いでいる姿を見た魚を夕食に食べる、といった体験も面白いと思います。たとえば「月に3回」というようにスケジュールを組んで、さまざまなおでかけプランを立ててください。

「見聞を広める」という言葉がありますが、よいものを見たり、聞いたりして視野を広げるとともに、ボキャブラリーを増やすことが大切です。言葉だけの知識はあまり身に付きません。「言葉」と「もの」をつなげる体験が必要なんですね。



大人も「学び直し」を楽しんで

どこにお子さまを連れて行くか迷うかもしれませんが、ポイントは「保護者のかたご自身が楽しめるところへ行く」ということ。保護者のかたが興味を持つものには、お子さまも興味を持つことが多いためです。「今週はお父さんと動物園」「来週はお母さんとコンサート」というように、興味・関心に応じて分担を決めるのもおすすめです。
生き物のプロが里山を案内してくれる自然観察ツアーや、美術館が主催するものづくりのワークショップなど、子ども向けのイベントでは、子どもだけでなく、保護者のかたが目を輝かせて楽しんでいる姿をよく見かけます。自分が小学校で習った時は興味を持てなかった科学や歴史も、「最先端の学説に触れて面白くなった」とおっしゃるかたがたくさんいらっしゃいます。大人が一緒に「学び直し」を楽しむことで、子どもたちの興味・関心も育っていくのです。



「わからない」ことより「苦手意識」が問題

4年生のこの時期になると、少しずつ教科の好みも分かれてきますし、理解できない単元や解けない問題も出てきます。たとえば理科の「てこ」「てんびん」、天体の動きなどの理屈がなかなか理解できないお子さまは多いのですが、そのこと自体はさほど問題ではありません。「いつかはわかるよ」と、脇に置いておけば大丈夫です。お子さまの中の「わかろう」という意欲が高まるのを待って、よい先生に教えてもらえばそこですべて解決します。ところが、保護者もかたがその場で理解させなくてはと焦って、繰り返しやらせたりすると、かえって苦手意識が生まれがちです。「わたしにはわからない!」と、自分に繰り返しおまじないをかけているような状態になり、思考停止に陥ってしまうのです。「理解できない」ことより、「苦手意識」のほうが大問題です。

ですから、お子さまが不得意な分野については、「おでかけ」や「遊び」と結び付けて興味をつないでおいてください。たとえば理科の力学分野であれば、動きの感覚がつかめるおもちゃや工作を楽しむといった方法があります。算数は、パズル的な問題がよいですね。パズルのよいところは、常に「解けそう」という予感があり、難しくても「解きたい」と思えることです。自分の能力に対する肯定感が自然に育つのです。難問でも「自分には無理」と思わず、向こう見ずに取り組んだら「いつの間にかできちゃった」といった経験もできます。そんな時はぜひ「すごいね!」と少し大げさに驚いてあげてください。



今こそ、家族の思い出づくりを

勉強とは関係ないと思われるかもしれませんが、この時期いちばん大切なのは、家族で豊かな時間を過ごすこと。ほのぼのと温かな、よい思い出をつくり、親子の愛情を深めることです。家族との思い出は、その子の感じ方や考え方の原点となります。家族で美術館や博物館などに出かければ、そこにある世界の豊かさや不思議さが、保護者というフィルターを通して伝わります。お父さん、お母さんについて行くと楽しいな、よいことがあるな、と思ってもらえたら、それはすばらしいこと。家族との思い出を通して意欲や好奇心を育てるのは、受験勉強がまださほど忙しくなく、思春期が始まる前の、今しかできないことです。今こそ、お子さまと大いに遊び、たくさんの思い出づくりをしてください。それが今後の学びの土台になるのです。次回は5年生を対象に、この時期によく見られる不調の乗り越え方についてお伝えします

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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