ふるさと納税について知る

2015年4月に税制が改正され、ふるさと納税がより利用しやすくなりました。少子高齢化や過疎化などを背景に地方創生が叫ばれるなか、地方の財源や行政のあり方について、中学入試でも扱われる可能性が高いと考えられます。今回のコラムで、ふるさと納税について基本的な知識を確認しておきましょう。



ふるさと納税について知る


クイズde基礎知識

ふるさと納税はどのようなお金?/ふるさと納税の目的は?/ふるさと納税をした人には、どのようなメリットがある?


時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

Q1

ふるさと納税はどのようなお金?


A.国による地方公共団体(自治体)への交付金
B.個人や法人による地方公共団体(自治体)への寄附金
C.使い道が特定されている、国による地方公共団体(自治体)への交付金


A1 正解は 「B.個人や法人による地方公共団体(自治体)への寄附金」 です。


ふるさと納税は、2008年の第一次安倍政権のときに創設された、個人が任意の地方公共団体を選んで金銭を寄附する制度です。生まれ故郷に限らず、自分の好きな地域を選ぶことができます。2000円を超える寄附を行うと、住民税の2割程度が還付・控除され、今現在個人が居住地に対して納めている県民税や市民税がふるさと納税の対象地域へ移転されることになります。あくまでも寄附金であるため「環境保全に使用する」「教育施設の拡充に使用する」といった税金の使い道を指定できる制度です。

A.の国による地方公共団体への交付金とは「地方交付税交付金」のことです。
C.の使い道が特定されている、国による地方公共団体への交付金は「国庫支出金」のことです。


Q2

ふるさと納税の目的は?


A.税収の地方格差を埋めるため
B.脱税行為を防ぐため
C.個人の所得格差を埋めるため


A2 正解は 「A.税収の地方格差を埋めるため」 です。


地方公共団体の行政は、住民税や固定資産税などといった地方が直接集める税金(地方税)や、地方交付税交付金・国庫支出金などといった国が国税を地方に配分して得られる収入源で支えられています。
多くの税収が保証されている地域がある一方で、地方によっては人口減による税収の低下などが原因で住民に十分な公共サービスを行えないこともあります。そのため、ふるさと納税によって全国にその地域の特産品情報を発信し、寄附をしてもらうことで、地方創生が期待されています。また、ふるさと納税をきっかけに、自然の豊かさ、風景の美しさ、その地方ならではの行事などを知ってもらい、観光客を誘致できる可能性もあります。

B.の脱税行為を防ぐための機関として、日本には国税局・税務署が各地に置かれています。
C.の個人の所得格差を埋めるために、日本には累進課税という方法で、所得が高くなればなるほど税率が高くなる制度があります。


Q3

ふるさと納税をした人には、どのようなメリットがある?


A.自分の住む地域に税金を払わなくてよい
B.地方の特産品などといったお礼がもらえる
C.自分の住む地域の公共サービスにも優待特典がつく


A3 正解は 「B.地方の特産品などといったお礼がもらえる」 です。


ふるさと納税では、地方公共団体から寄附金のお礼として特産品などを送ってもらえることがあります。都会や遠隔地で買うとかなり高価な海産物や果物が手に入ったり、宿泊券や施設優待券がもらえたりと、ふるさとに貢献しながら寄附した本人も特典を享受できることが注目されている理由のひとつです。

A.の自分の住む地域に税金を払わなくてよいは誤りで、Q1の解説にもあるように、自分の居住地域の税金の一部が地方へ移転されるのがふるさと納税であり、基本的には住民税等を自分の居住する地方公共団体へ納める必要があります。
C.の自分の住む地域の公共サービスにも優待特典がつくといった制度はありません。


Q4

2015年4月の制度改正で変わったこととしてあてはまらないことは?


A.ふるさと納税枠が約2倍になった
B.手続きが簡単になった
C.すべての利用者が確定申告をしなくてよくなった


A4 正解は 「C.すべての利用者が確定申告をしなくてよくなった」 です。


まず、確定申告とは、納税者が前年1年間の所得税を計算して、税金を納める手続きのことです。確定申告はサラリーマンなどといった給料から所得税が天引き・調整されている人は行わなくてよいことになっています。確定申告を行う必要があるのは
(1)給与の収入金額が2000万円以上の人
(2)不動産収入や配当、年金などの副収入が年間20万円以上ある人
(3)2つ以上の会社から給料をもらっている人
(4)退職所得がある人
(5)年の途中で退職して、年末調整が受けられない人
などといった人たちです。
原則的に、上記の確定申告を行うべき人たちは申請することによってふるさと納税の控除を受けることができるのです。
2015年度の制度改革では、2000円を除いて、控除される限度額であるふるさと納税枠が約2倍になりました(A)。

また、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設され、手続きが簡単になりました(B)。ふるさと納税を行う際に、納税先の地方公共団体に申請書を提出することで、確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられます(確定申告をする必要のない給与所得者等がふるさと納税を行う場合に、ふるさと納税先団体が5団体以内で、確定申告を行わない場合に限る)。このふるさと納税ワンストップ特例制度は、平成27年4月1日以降に行うふるさと納税が対象となります。



親子でやってみよう

ふるさと納税をすることでもらえるものを調べて、その理由を考えてみよう。


ふるさと納税を導入している自治体は、より多くの人々に寄附をしてもらえるよう、お礼として贈る品にも工夫をこらしています。そのため、ふるさと納税でもらえるものには、その地域で生産がさかんな農産物やその地域独特の伝統的工芸品など、その地域の特色があらわれているものが多くみられます。中学入試でも、その地方の気候や地形などの自然の特徴、歴史的な背景など、日本の地理・歴史と絡めて出題されることが考えられます。

ふるさと納税を導入している自治体について、お礼の品としてもらえるものを調べ、その自治体の位置する地域の自然の特徴、歴史上の背景などから、なぜその品が選ばれたのか、その理由も考えてみましょう。日本の各地域の特徴を、さかんな産業とその背景の因果関係を考えながら、身近な観点でつかむことができるので、日本地理の知識・理解がすすみます。



もっと知りたい

日本に関する最新のデータを集めた本/地図を中心に日本の地域の特徴を学べる本/ふるさと納税についての情報を網羅したサイト


Webサイト
『日本地理データ年鑑2015』『小学生のためのまるわかり日本地図帳』総務省 ふるさと納税ポータルサイト
『日本地理データ年鑑2015』
(小峰書店 刊/松田博康 監修/3500円=税別)
『小学生のためのまるわかり日本地図帳』
(メイツ出版 刊/社会科地図研究会 著/1500円=税別)
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
産業や文化などの、日本に関する最新のデータを集めた本。都道府県別のランキングも掲載されており、日本の地域ごとの特徴を、わかりやすくつかむことができます。
スポーツやゆるキャラなどについても扱われており、身近な観点から日本の地域の特徴をつかむことができます。
地図を中心に、日本の自然や産業、歴史や文化をわかりやすく解説した本。
大きな地図や図解で、日本の地域の特徴をさまざまな視点から、わかりやすく知ることができます。
ふるさと納税についての概要を網羅したサイト。
ふるさと納税の制度の仕組みや目的、また、自治体一覧も知ることができます。

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