独立を目指したスコットランドについて知る

2014年9月18日、スコットランドがイギリスから独立するかどうかの住民投票が行われました。およそ300年間という長い間、イギリスのもとにあったスコットランドが独立をめざした経緯や住民投票の結果などは、中学入試の時事問題として扱われる可能性もあります。
イギリスの成り立ちや周辺の資源事情などをもとに、その背景を探っていきましょう。



クイズde基礎知識

イギリスの位置は?/スコットランド独立に関する住民投票の結果は?/イギリスを形成する4つの国(地域)とは?/スコットランドで独立の機運が高まったきっかけとは?


時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

Q1

スコットランドが属しているイギリスの位置は?


A1 正解は 「A」 です。


イギリスは北西ヨーロッパに位置し、正式名称を「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」としています。「連合王国」というのは複数の国の連合によって形成される王国のことです。スコットランドはその連合王国を形成する国のひとつで、グレートブリテン島という島の北部の約3分の1を占めています。

スコットランドの面積は約8万平方キロメートルで、日本の北海道と同じくらいの大きさです。人口は約530万人でイギリス全体の8.5%程度、同じく日本の北海道の人口約550万人に近い数値となっています。

文化面では、伝統衣装であるスカート状のキルト、タータン、バグパイプ、スコッチ・ウイスキーなどが広く知られています。


Q2

2014年9月18日に行われたスコットランド独立に関する住民投票の結果は?


  A.賛成票が多かったのでスコットランドは独立する
  B.反対票が多かったのでスコットランドは独立しない
  C.賛成票と反対票が同数で結論が出ていない


A2 正解は 「B.反対票が多かったのでスコットランドは独立しない」 です。


2014年9月18日の住民投票はスコットランド在住の有権者約400万人によって行われました。これは有権者の約85%を占めており、過去最高の投票率となりました。独立に対するスコットランド住民の関心は非常に高かったことがわかります。

通常の選挙は18歳以上でないと投票できませんが、今回の住民投票では16歳以上が投票することができました。また、イギリスの政治体制は日本とよく似ていて、首相は下院議員(日本でいう衆議院議員のようなもの)の多数決によって選ばれます。つまり、国民ではなく国民の代表である議員が首相を選ぶ間接民主制なのです。しかし、今回の住民投票は、住民みずからが独立すべきかどうか票を投じ、直接民意が反映される形式がとられました。

「スコットランドは独立国家になるべきか」という問いに「賛成」か「反対」のどちらかを表明するもので、賛成が過半数を占めた場合は独立をすることが予定されていました。
しかし、結果は賛成票が約45%、反対票が約55%となり、独立を果たすことはありませんでした。


Q3

イギリスを形成する4つの国(地域)として、あてはまらないものは?


A.ウェールズ
B.アイルランド
C.北アイルランド
D.イングランド


A3 正解は 「B.アイルランド」 です。


イギリスは、イングランド/ウェールズ/スコットランド/北アイルランドの4つの国(地域)から成り立っています。スコットランドは構成国のいちばん北側に位置します。

今日はイギリスという国として維持されていますが、現在にいたるまでイギリスの地ではさまざまな民族による征服戦争が繰り返され、統廃合が行われてきました。

ウェールズは、1536年に「イングランドおよびウェールズ」として統合されました。スコットランドは、1707年にイングランドと連合して「グレートブリテン王国」を形成しました。そして、1801年にはグレートブリテン王国がアイルランドを併合しました。しかし、1911年にアイルランド独立戦争がおこり、1922年にはアイルランドが独立し、アイルランドの北部は北アイルランドとしてイギリスの一部にとどまりました。

このように、もともと独立した複数の国が存在していたことから、現在でもイギリスの各地で人々の間に独立の気風があるのです。


Q4

スコットランドで独立の機運が高まったきっかけとしてあてはまらないものは?


  A.北海油田の開発
  B.スコットランド民族党の第1党躍進
  C.イギリス政府による通貨ポンド使用の不許可


A4 正解は「C.イギリス政府による通貨ポンド使用の拒否」 です。


問題は「あてはまらないもの」を求めているので要注意です。

1960年代、スコットランドの沖合で北海油田の開発(A)が本格化し、ここから得られる収益をスコットランドが所有することで経済的に自立し、独立が果たされるのではないかという期待がスコットランドの人々の間におこりました。よって、Aはスコットランドで独立の機運が高まったきっかけのうちの一つといえます。

また、イギリスに統合されてから地方議会がなかったスコットランドに1999年、議会が復活し、自治に対する関心が高まってきました。景気の低迷などの不安より、スコットランド民族党が独立を提唱すると、多くの住民たちが支持し、スコットランド民族党が第1党(議会で最も議席数が多い党)へ躍進しました(B)。そして、今回の住民投票へこぎつけたという流れになります。よって、Bもスコットランドで独立の機運が高まったきっかけのうちの一つといえます。

スコットランド独立の機運が高まるなか、イギリス政府はスコットランドが独立した場合、スコットランドに対して通貨ポンドの使用を認めない(C)と宣言しました。ポンドの使用が認められないとなると、独自の具体的で安定した金融政策を打てないスコットランドに不利になります。よって、Cは独立不成立の要因のひとつであり、独立の機運が高まったきっかけとして「あてはまらない」ため、正解となります。

そのほか、さまざまな点から判断した住民たちによって、今回の独立は不成立となりました。



親子でやってみよう

世界で紛争や外交上の問題を抱えている国や地域の歴史を調べて、その背景を考えてみよう。


中学入試では、時事的な世界情勢にかかわるできごとを元に、その歴史上の背景を問う問題が出されることが多いので、紛争などがおこっている国の歴史を理解しておくことが大切です。国の合併や独立などの歴史、特に第一次・第二次世界大戦の頃の植民地支配の歴史は現在の世界情勢にも影響を残していることが多く、どの国がどういった国を植民地として支配していたのかをつかんでおくと、その国の文化を理解することにもつながります。

新聞やテレビのニュースなどで外国の国名が出てきたら、地球儀や地図帳でその国の位置を確かめたり、インターネットでその国の特徴を調べたりしてみましょう。国の成り立ちや歴史に関わることだけではなく、日本との食べ物や衣服の違いといった、身近な視点から調べていくと興味を持ちながら取り組むことができるでしょう。



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