算数の文章題で、必要な部分がどれなのかを抜き出すことが難しい[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4女子(性格:論理的なタイプ)のお母さま


質問

算数の文章題が苦手です。問題の中の必要な部分がどれなのかを抜き出すことが難しいようです。国語の説明文の読解が苦手なことと、関係があるのかと感じる時もあります。書かれていることを図に表してごらん、とアドバイスしても、図にするのは苦手なうえ、面倒だと感じてしまうようです。


小泉先生のアドバイス

できなかった問題や手こずった問題を絵や図を使って解く。

まず、算数の文章題と国語の説明文では何が違うかを考えてみましょう。
算数では問題文中に書かれているものは「条件」「目的」です。「条件」とは、答えを導き出すために必要な部品であり、数値(Aくんは分速60メートルなど)や状態(三角形ABCで角A=角Bなど)の形で書かれています。問題を読んですぐわかるものもあれば、ちょっとわかりにくいものもあります(例:「線分AB上の中点Cをとる」とは、「AC=BC」という条件を示す)。

そして、これらの条件を適切に組み合わせて答えを導き出すわけですが、何を導き出すかを示しているのが「目的」です。たとえば、「4年生はみんなで何人いますか」という表現から、「何人いるか」を計算することが目的であることがわかります。


さらに、問題によっては公式や特別な解き方など別の要素が必要な場合もあります。もちろん、公式や解き方は問題文には書いてありませんから、解答者が自分の知識から引っ張り出してくる必要があります。イメージにすると図1のようになります。

解答者は、問題文の条件と公式・解法を適切に組み合わせて答えを導き出します(図2参照)。ここで大切なことは、答えである「◎」は問題文にはないということです(当然ですが……)。

これに対し、国語の問題文には筆者のイイタイコト(要旨)と、イイタイコトをわかりやすく説明するための具体例、引用、あるいは補足説明などが部品として問題文に書いてあります。そして、国語における問いは問題文を理解できたかどうかを確かめるためにあると考えれば、国語でいちばん大切なことは、この問題文のイイタイコトをとらえることになります。筆者のイイタイコトがわかり、問題文のどこに何が書いてあるか、すなわちどこが具体例でどこが補足説明かがわかれば、問題はほぼ解けたと考えてよいでしょう。

つまり、国語で問題を解くということは、問題文を分解してイイタイコトを問題文の中から抜き出すことであり、イイタイコトと他の部品との関係を理解することです。(図3参照。たとえば、▼は具体例であり、○は補足説明など)。ここが算数の文章題を解く時とは、決定的に違うところといえるでしょう。

さて、ご質問の文面に、「問題の中の必要な部分がどれなのかを抜き出すことが難しい」とありましたが、以上のように考えれば、算数の文章題で必要な部分は数値や状態などの条件であり、問題文のほとんどすべてといえるでしょう。そして、大切なことは、これらの部品を抜き出すだけではなく、それらの関係を理解して組み立てるということです。

この時に威力を発揮するのが絵や図なのです。お子さまは「図にするのは苦手なうえ、面倒だと感じてしまう」ようですが、それは描き慣れていないために、どんなに効果があるものなのかをよく理解していないからでしょう。

たとえば、次のような文章題で考えてみましょう。


例題:貯金の半分を出して使い、1200円の本と250円のノートを買いました。
    最初の貯金はいくらありましたか。


本を△、ノートを○、最初の貯金を◎とすると、△と○を合わせたものは、◎の半分に同じであるということです。これを図にすると、以下のようになります。



△と○を合わせた1450円が◎の半分と同じですから、求める最初の貯金の◎は2900円になります。単純な問題ですが、それでも文章で書かれた問題は、読んで考えなければ意味がわかりません。それに対して、図のほうはより直感的に理解できます。そして、絵や図の効果は、問題が複雑になればなるほど発揮されるのです。

とはいっても、図や絵をかくのは、確かに最初は面倒くさいかもしれません。そんな場合は、お子さまができなかった問題、手こずった問題を絵や図を使って解いてみましょう。本当にわかりやすく解けるはずです。その便利さや、わかりやすさに納得できれば、どうにかしてこの便利な道具を自分で使えるようになりたいと思うはずです。あとは、やさしい問題から少しずつ描くことに慣れていけば、徐々に複雑な線分図やダイヤグラムなども描けるようになると思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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