「我が子に合った学校」とは何か? [中学受験]

大手塾でも、最近は偏差値で志望校を選定するのではなく、「我が子に合った学校」を志望校にしたいという受験生の保護者が増加しているようだ。受験者数が減少していることが中学入試の難易度を下げ、間口が広くなったことで選択の幅が広がった結果と思われる。しかし、「我が子に合った学校」という言葉はあいまいで、保護者の価値観によって意味合いが異なるのではないかと考えた。そこで「我が子に合った学校」とはどのような学校かを既に中学に入学した生徒の保護者にアンケートをとって調べてみた。



「我が子に合った学校」とは何か? [中学受験]


保護者が入学前に思った「我が子に合った学校」とは? どのような学校か、下表の選択肢から選んでもらった。その結果「2.我が子が苦労しても学力・資質の強みを伸ばし、弱みを改善してくれる学校」が最も多く、24%を占めるが、他の選択肢に比べてもやや多い程度であった。予想していたとおり「我が子に合った学校」は保護者の価値観で異なっていることがわかった。このことから、受験生の保護者と「我が子に合った学校」について相談を受けた時に、話がかみ合わないことがあるが「我が子に合った学校」が保護者ごとに違うのでは当然の結果だったと納得した。


具体的には、アンケートの選択肢の1と2は、我が子が苦労しても、性格・能力の長所・強みを伸ばし、短所・弱みを改善してくれる学校だ。また、3と4は、我が子が無理せずに済む、我が子の性格に近い校風や我が子の資質が生かせる教育方針の学校で、「我が子が苦労しても」「我が子が無理をしないで済む」がほぼ同じパーセントとなっている。「我が子が苦労しても」で子どもを成長させてくれる学校が、我が子に合っていると考える保護者と「我が子が無理をしないですむ」のは、我が子に合っているからであると考える保護者に分かれていることが興味深い。また「我が子が苦労しても」では、性格よりも能力を身に付けさせたい保護者が多いことが分かる。能力の中でも学力を伸ばし、少しでもレベルの高い大学に進学して欲しいというのが保護者の願いであろう。結果的に、大学合格実績の優れた学校に人気が集まり、受験者数が増えて、偏差値が上がることになる。


「学力を伸ばしてくれる学校」が「我が子に合った学校」であると考えている保護者は合理的なのかもしれない。というのも他の選択肢の学校を見極めることは困難だが、「学力を伸ばしてくれる学校」は大学合格実績で見極めることができる。さらに、保護者の「我が子に合った学校」の定義は違うかもしれないが、我が子が成長できる環境のある学校ということでは一致している。生徒がイキイキと学校生活を送り、「我が子が無理をしないですむ」環境では、学力も伸びる可能性が高い。「我が子に合った学校」を探している保護者は、結果として我が子の「学力を伸ばしてくれる学校」を探しているのではないだろうか。


入学前に思った、「我が子に合った学校」とは?


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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