【回答:若泉 敏】適性検査・受検対策<その1>

「中学受検は親子の受検」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受検準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

漢字検定は、内申書で評価されますか?

1年生からできる、公立中高一貫校受検対策は?

6年生になってからの公立中高一貫校の受検対策は?

漢字検定は、内申書で評価されますか?

娘は、漢字検定3級をもっています。中学受験でも、高校受験のように、内申書での評価に有利になるのでしょうか。
東京都の公立中高一貫校の場合、漢字検定3級は、内申書での評価に有利にはならない。2級以上で特別枠の受検資格が得られる学校も

検定資格や「内申書」の取り扱いは、各私立学校および各自治体により異なりますので、志望する学校や各教育委員会に直接問い合わせをしてご確認ください。なお、「内申書」は俗称であり、正式には「調査書」または「報告書」となっています。

以下は、東京都(公立中高一貫校)の取り扱いについて回答いたします。
結論から申しますと、「漢字検定3級」の資格は、「内申書での評価に有利」に働くことはありません。つまり「日本漢字能力検定(以下漢検とします)3級の資格」は評価対象としては「無」です。これまで努力して検定合格を積んでこられたのでしょうが、残念ながら東京都の公立中高一貫校受検に際しては「報告書の評価」としては、意味のないものになります。漢検3級の実力が、一般受験で適性検査問題の解答に役立つように働くことを祈るばかりです。

ただし漢検2級以上をもっている場合は、都立白鴎高等学校附属中学校の特別枠受検資格に該当します。特別枠A区分で「卓越した能力の分野および資格等」の資格基準は漢字検定2級以上となっています。検定合格証明書(検定協会発行のもの)の写しを添付して受検の申し込みをします。たとえ漢検1級をもっていたとしても、それだけで合格とはなりません。あくまでも「特別枠A 区分の資格基準」をクリアするにすぎません。小学校からの「5、6年の報告書」換算100点と「面接」300点の合計400点満点の総合評価により合否が決まります。
なお、報告書では「各教科の学習の記録」の評定を点数化するものであって、「総合的な学習の時間の記録」や「特別活動の記録」等その他の欄については点数化されません。

※2009年9月現在の情報に基づいた回答です。

1年生からできる、公立中高一貫校受検対策は?

娘の通う小学校は、中学の受験率がかなり高く、そんな影響を受けて1年生の娘も受験したいと言いだしました。まだ5年以上先のことなので、気が変わる可能性もありますが、勉強に取り組もうという姿勢は大事にしたいので、今からできることや始めておいたほうがいいことを教えてください。公立中高一貫校の小石川中等教育学校を志望しています。
家族のつながりを大切にして、低学年のときからいろいろなことに疑問をもち、探究していく姿勢をつくることが大事

小石川中等教育学校を志望する場合には、入学後、学校の指導体制にかなう学力と生活態度を形成することが大切です。
しかし、適性検査は知識を暗記して解答するような問題は皆無ですから、受け身で暗記型の知識の詰め込みでは小石川にかなう学力はつきません。つまり、知識を中心とした受験学力ではなく、論理的な思考力が、私立中学受験以上に求められています。読書量が多いことは有利にはなりますが、自分の好きな物語などを多読しても、必ずしも適性検査をクリアする読解力が得られるわけではありません。
小石川中等教育学校が求めているのは、自ら進んで課題を見つけ、課題解決のために根気強く取り組み、自分なりの課題解決方法を探って他と協調して解決を図るといった、学習上、生活上の力をもつ生徒です。親や塾の指導にただ従って受け身の姿勢で学習した子どもは、たとえ合格しても、小石川中等教育学校ではつまらない生活になるでしょう。

そのようなことを考えると、小学校1年生からしておくべきことが見えてきます。低学年段階では、多様な人と交わり、一緒に行動し、工夫してより良い生活を送ることが大切です。そのなかで、豊かなコミュニケーション力を育くみ、知的好奇心と多様な関心、豊かな心情などを養っていくようにしたいものです。
この点で親はもちろん、祖父母も含めた家族のつながりが非常に大切でしょう。つまり安心して巣立つことのできる家族関係があって、初めて子どもは家族外の多様な人と交わり、社会的なかかわりをもつことができるのです。

また、低学年の時から、いろいろなことに疑問をもち、探究していく姿勢をつくることも大事です。子どもが疑問をもたない場合もありますが、そのときは親が多様な見方、考え方を伝えていくことが重要になります。計算や漢字・英語のドリル学習を早期に与えて、親が怒りながら進める生活では「勉強ってつまらない」と子どもに思わせることになり、小石川受検から遠ざかることになるでしょう。

6年生になってからの公立中高一貫校の受検対策は?

現在、進研ゼミの小学講座のみで塾には行っていません。6年生の女の子です。
今年11月頃に主人が東京へ転勤になる予定です。今まで中学受験は考えていなかったのですが、東京に引っ越すにあたり、公立中高一貫校の受検を検討しています。
現在住んでいるところにはそのような学校がなかったので、何から手をつけてよいのかわかりません。
今から準備するにはどうしたらよいでしょうか。
ひと口に公立中高一貫校といっても、学校によって求められることが変わるので、情報収集が大事。まずは親が過去問を解いてみることから始めよう

東京都立の中高一貫校は、平成22年度新規開設の4校を加え10校になります。千代田区立九段中等教育学校を含めた計11校は、東京都民の小学6年生であれば、どの学校でも受検が可能です。志望する学校を11校の中から選んで、その学校の過去問題を学校のホームページからダウンロードし、親がまず問題を解いてみましょう。また学校の育てたい生徒像、教育目標、出題の基本方針なども東京都の場合はたいへん重要です。ホームページに出ていますから読んでおきましょう。

東京都の場合には、小石川中等教育学校、両国高等学校附属中学校、武蔵高等学校附属中学校の問題レベルは難度が高く、高い論理的思考力が問われます。他の都立(区立)の適性検査問題は、若干取り組みやすいものの、適性検査らしい良問が多いですから、志望校にかかわらず、他の学校の問題も当たったほうが良い対策になります。適性検査問題だけでなく、家族間のコミュニケーション能力を高め、学校の勉強以外の諸活動も積極的に行い、結果に至る過程を大切にする学習を心がけましょう。

なお、2008年度都立(区立)中高一貫校適性検査の難度の高い問題については、拙著『公立中高一貫校・合格への最短ルール~適性検査で問われる「これからの学力」』(WAVE出版)の中で、親子のかかわり方と共に、具体的な問題解説と対策を詳しく記しておりますので参考になさってください。

※2009年7月現在の情報に基づいた回答です。

プロフィール

若泉 敏

学習塾「スクールETC」代表。思考力を問う公立中高一貫校の適性検査対策に、若泉式の読解力・記述表現力の指導法が注目を浴びる。適性検査問題分析研究の第一人者としても活躍。著書に『公立中高一貫校 合格への最短ルール 』(WAVE出版)などがある。

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