吉祥女子中学校2年生 N・Hさんとお母さま

6年生で東京に引っ越されましたが、すぐになじめましたか?

Nさん

移っていきなりスランプに陥りました。実は、5年生のときに中だるみで、あまり勉強に身が入っていなかったのです。それで、引っ越しをきっかけに「もう6年生だし、転校もしたし、気持ちを切り替えてがんばろう」と思っていたのですが、そう簡単にはいきませんでした。


お母さま

広島と東京で、レベルが極端に違うということはなかったのですが、東京は人数が多いし、やり方もずいぶん違っていました。広島は地元の学校の受験に対応しているので、宿題の範囲も限定されていたのですが、東京では、もっと広範囲にこなさなければならないので、移った当初は、負担が全然違うと感じました。


Nさん

4月に移ってきたときは、上から2番目の応用クラスに在籍していたのですが、5月に成績がガタッと落ちてしまったのです。


お母さま

塾だけでなく、学校も変わったわけですから、両方ともうまくなじめるか、とても心配していました。そんな矢先に、成績が下がったので焦りましたね。

これまで、中だるみといいながらも一定の成績を維持してきたのでとてもショックでした。しかし、塾の室長先生に「今は学校になじむことのほうが大切だから、焦らないように」と言っていただいて、精神的に助かりました。その先生は本当にすばらしく、まめに手作りの通信を出してくださったり、相談に乗ってくださったりと、親子共にとてもお世話になりました。


Nさん

実は、転校してすぐ合唱団に入り、さらにピアノ伴奏者に選ばれたことで、周囲から意地悪をされたり、「いい子ぶっている」と悪口を言われたりして、精神的に動揺していたことも影響していたと思います。

お母さま

なんでも積極的にやるほうなので、やっかみを受けたのだと思います。 幸い、内にため込まずなんでも話をしてくれるので、「あなたは悪くないから、気にしなくていい」と言って励ましていました。でも、内心はとても心配で、他のお母さんに相談したりもしていましたね。


Nさん

でも、そういうことがあって逆に強くなれました。新しく仲良くなった友達も以前は意地悪をされていたらしいのですが、「慣れているから平気」と動じない姿を見て、私も「別にいいや」って思えるようになりました。




学校見学は、集中的に13校を訪問。見比べることで、子どもに合う学校というのがわかるようになった。

志望校はいつ頃決めましたか?

Nさん

豊島岡女子学園はいとこが通っていたこともあって、気になる学校でした。それ以外では、渋谷教育学園渋谷が気になっていました。


お母さま

豊島岡については、娘の思いが強かったし、実際いい学校だと聞いていたので、志望校のひとつになるかもと思ってはいました。けれども、とにかく広島では何も決められなかったので、東京に来てから、具体的に探し始めたというわけです。

学校選びに関しては遅いスタートをせざるをえませんでしたが、まず私が、同じ時期に東京に転勤になり、子どもが日能研で一緒だった友人と「まるで学校荒ら しだね」と言いながら、集中的にいろいろな学校を見に行きました。時間がないので、学校見学会の日だけではなく、直接問い合わせをして見学できるところには行きました。5月から、休みの日は全部学校回りに充てて、全部で13校訪ねました。

どの学校も、突然のアポイントにもかかわらず、好意的に対応してくださり、学校によっては、個別対応で授業見学をさせてくださったところもありました。

集中して見たことで、それぞれの学校の違いや、子どもに合う、合わないというところもわかりました。Nには、活発なタイプの学校のほうが合うのではないかと思いました。

一緒に学校見学をした友人とは、互いの感想を話し合ったり、いろいろと情報交換して助け合いました。下の子どもも同じ年なので、今も情報交換し合っています。


Nさん

私も、何校か見に行きましたが、在校生が先生と気楽に話ができるような、活発で自由な雰囲気の学校がいいと思いました。そんななかで、豊島岡は、生徒も先生も礼儀正しく、落ち着いていて賢そうな人が多い学校という印象で、自由で活発という雰囲気とはちょっと違っていたのですが、あこがれの学校ということは変わりませんでした。


お母さま

豊島岡に関しては、娘の希望が強かったですね。私ももちろんいい学校だと思いましたが、校舎がビルのような印象で、そこはちょっと残念でした。しかし、娘の意志が固かったので、第一志望は最後まで変わりませんでした。



吉祥女子はいつ志望校になったのですか?

お母さま

塾から吉祥と鴎友学園女子をすすめられて、比較的通いやすい吉祥の説明会に行きました。私はとても気に入ったので、娘を文化祭に連れて行ったのです。


Nさん

吉祥に関しては、それまで見に行っていなかったので、よくわからなくて。でも、実際に行ってみたら校舎がとてもきれいで、緑も多くてすぐに気に入りました。レンガの校舎が好きだったので、好きなイメージどおりだと思いました。


お母さま

校舎もきれいですが、それ以上に、キャリア教育に力を入れている点、生徒が元気で、しっかりとあいさつができるところ、それもさせられているという雰囲気ではなく、自然な感じが好印象でした。明るく元気な校風が、さっぱりしている娘の性格に合うのでは、とも思いましたね。



受験勉強はどのようにしていましたか? 具体的に教えてください。

Nさん

6年生の2学期頃には、受験勉強も宿題もと、やらなければならないことがたくさんあるので、それを整理するためのスケジュール表を作って自分で管理していました。模造紙を縦半分に切って、「毎日やるべきこと、宿題、その他」という項目を作って、一覧表にして部屋の壁にはっていました。覚えられない言葉などを付せんに書いて、そこらじゅうにはって、覚えたら捨てるということもしていました。最後に残った付せんは覚えられなかったものなので、それを単語帳にはって集中的に覚えるのです。


お母さま

歴史年表も作ってはっていたわね。地図も拡大コピーしてトイレにはっていました。

余談ですが、それを見ていた弟が、いつの間にか都道府県の切り抜いた形を見て名称を当てられるようになっていたのは、驚きでした。


Nさん

塾の日曜特訓は豊島岡対策に通っていました。


お母さま

秋以降、過去問は豊島岡を5年分、吉祥は3年分解きました。その頃は娘のためにコピーばかりしていた記憶があります。



受験校はどのように決めましたか?

お母さま

豊島岡を第一志望にするというNの意志が固かったので、第二志望を吉祥として、両方だめだったときは、午後入試を行っている学校の中から選ぶことにしました。

実は、どの模試を受けても、豊島岡は合格ラインぎりぎりくらいという結果は同じでしたので、私は内心「厳しいかな」と思っていました。でも、塾の先生は「本人の行きたいという意志が大事」とおっしゃるので、そういうものかと思ったりもしました。


Nさん

塾で12月に一度だけクラスで1番の成績をとったことがあって、合格可能性80%と出ました。そのときは桜蔭の合格率を見てみたりもしました(笑)。


お母さま

実際には、1日吉祥女子、2日、3日、4日と3日連続で豊島岡を受けました。豊島岡を3回受けるという本人の意思を尊重したのです。もし、吉祥が不合格だったら、2日の午後、当日出願ができる大妻中野を受けようと思っていました。でも1日に吉祥に受かっていたので、出願はしませんでした。吉祥の発表のときは心配で、私はネットの発表を見られなかったです。


Nさん

最初に合格発表の画面を見たとき、想像していたより合格者の数字が少なくて、これは無理だと思いました。それからドキドキしながら探したら自分の番号があったので、思わず「ヤッター!」と大声を出しました。そのあとは豊島岡の試験を3回受けて、全部不合格だったときはショックで泣きましたが、すぐに吉祥のパンフレットを見て、気持ちを切り替えようとしました。


お母さま

娘は毎日前向きに試験を受けに行っていましたね。結局不合格という結果に、私のほうがしばらく引きずっていたかもしれません。でも、いつまでも親がこんな調子ではいけないと思い直しました。



学校によって出題の傾向は違ったと思いますが、実際の入試問題はどうでしたか?

Nさん

本番では吉祥は、私の得意な速さと平面図形の問題が出て、それができたのも勝因だったと思います。


お母さま

反対に豊島岡は問題との相性が悪く、社会はご当地問題のような問いが出て、地方にいた娘には不利でしたね。過去問でも吉祥のほうが点数がとれていましたから、問題との相性は大事ですね。



入学されてみていかがですか?

Nさん

とても楽しいです。陸上部に所属しているのですが、先輩がたも本当にすばらしいかたが多くて、充実しています。友達も皆、クラブもがんばるけれど、勉強もするのが当然、やる時はやるという人が多いですね。皆で一緒にがんばろうという雰囲気がある学校です。女子校は、男子がいない分、自分をさらけ出すことができるので、居心地がいいですよ。

また、吉祥には課外授業という時間があって、学校で放課後おけいこ事ができるのです。声楽・中国語会話・ピアノ・ヴァイオリン・茶道などから好きなものを選択できるのですが、私は声楽を習っています。毎日忙しいですが、とても充実していて、吉祥で本当によかったと思っています。



これから受験をするかたへのメッセージをいただけますか?

Nさん

スランプは誰にでもあると思うのですが、そこでがんばった人はその時以上に成長できます。あきらめたらおしまいです。あきらめずにがんばったら、ぜったいに結果が出ます。実は、これは塾の先生からいただいた言葉なのですが、私も本当にそうだと実感しています。がんばってください。


お母さま

受験を経験して、娘は成長したと実感しています。豊島岡をめざして、3回も受けて落ちたからこそ、今があると思います。よく受験の結果について「縁」という言葉を使うのを聞いていて、受験前は「そんなことはない、結局は実力でしょう」と思っていましたが、不合格も含めて本当にこれは縁だったと実感していま す。目標を決めたらあきらめずに最後までがんばる。そして、たとえかなわなくても、その結果を受け入れることも大切です。後悔しない受験をしてください。



  • 塾の室長先生が手作りで発行してくれた通信
    心に残る名言やメッセージなどに励まされました。
  • 母が作ってくれたお守りと、小さくなるまで使った鉛筆
    お守りには、受験する学校名が全部入っていました。
    鉛筆は夏休みにがんばった証です。
  • 今でも大切に持っている問題集
    これを完ぺきにこなせばOKと言われ、書き込みをしながら何度も解きました。
    ※日能研ブックス『社会メモリーチェック』『理科メモリーチェック』(みくに出版)


<取材後記>
はきはきと自分の言葉でしっかりとお話をしてくれたNさん。ご自身の感情も客観視されながら、上手に受験に対応されたお母さま。その時その時を一生懸命やり通してきたから、今も前向きにがんばれているのだなと思いました。楽しい取材でした。(教育ジャーナリスト 中曽根 陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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