聖光学院中学校1年生 T・Oさんのお母さま

得意科目をもつことで大きく伸びた。できることを徹底的に伸ばすことで他の教科の勉強にも余裕が生まれる。

成績が伸びたきっかけは何ですか?

好きな算数に自信をもてるようになったことが大きいと思います。その塾は、特に算数を重視していて、「特別算数」という演習の時間があるのです。これは、問題を解き終わった順番に帰ることができるサバイバル方式なのですが、5年生の2学期からいつも5~6番で帰れるようになり、テストでも150点中120点はとれるようになって、安定して上位にいられるようになったことで自信がつきました。
実は、これが家庭学習の成果だったのです。5年生の夏休みに、塾で算数を勉強してきた日は、家に帰ってきてから必ず2時間、塾のプリントのやり残しをきっちりとやらせました。
次男は、勉強することはいやがらない子だったのですが、自分から計画を組み立ててやる子ではないので、親が中レベルの問題を選んでやらせていました。
これをひと夏やり続けることは大変でしたが、コンスタントに学習をすることによって、夏休み明けには成績がぐんと伸びました。このことが自信になったと思います。
3人の子どもを見ていて実感するのですが、子どもにはそれぞれ必ず伸びる時期があります。親がそこまで待てるかどうかということが大事ですね。
上の2人は、そこまで親がかかわらなくてもよかったのですが、次男は親のフォローが必要なタイプ。子どもによって性格も違うので、そこを見極めて対応することも大事だと思います。
その後は順調に算数の成績がとれるようになって、6年生の秋には、塾内で総合点では5、6番につけられるようになり、模試でも算数に限っては偏差値70くらいがとれるようになりました。
塾も、教科別のクラス編成だったので、他の教科が悪くても、得意科目をもつことで自信をもてたのがよかったです。


では、その後は順調だったのですね。

それが、6年生の最後になってスランプがあったのです。
そもそも、次男は算数が良くても他の教科は点数がとれなくて、過去問を解いても国語がとれない。特に小説などの長文読解は苦手でした。
四谷大塚の模試では算数が偏差値70でも他の教科が偏差値40台をとることもあって、伸び悩みました。通っていた塾では、過去問の点数をデータ化して、合格の可能性を判断する指標にしていたのですが、栄光と聖光の過去問を何年分か解いていくうちに、12月上旬には、栄光は難しいけれど、聖光なら大丈夫と言われるようになりました。
本人は内心、兄も通っているので栄光に行きたいと思っていたようですが、栄光の問題は傾向が定まっていなくて、その時によって成績も不安定でしたし、難問が多いけれど傾向がつかみやすい聖光の方が努力家の次男には向いていたのですね。
偏差値だけでなくて、学校ごとに問題にも特徴があるので、そういう点でも相性を見ることは大事だと改めて思いました。そこで、第一志望を聖光に定めました。
ところがその後、12月中旬になって大丈夫と言われていた聖光の過去問の成績がとれなくなってしまったのです。理科や社会がとれないのに加えて、得意なはずの算数もそれまで150点中130点はとれていたのが、100点しかとれなくなってしまいました。
理科や社会で50点から70点がいいところなので、あとは国語でカバーするしかないのですが、国語はもともと苦手なので、カバーするのは難しい。入試間近になってのスランプだったので、本当に慌てました。
よく考えてみると、本人はそれまでそれほど受験を意識していなかったのですが、いよいよ本番が迫ってきて、過去問を解くときに初めてプレッシャーを感じたのでしょう。合格ラインの点数をとらないといけないと意気込むと反対にミスをしてしまう。要するにメンタルの問題だったようです。


最初からトップ校をめざしたわけではない。子どもの様子を見ながら伸びる時期まで我慢強く見守り、それに合わせて高みをめざさせたのが勝因。

そのスランプからどうやって抜け出したのですか?

家庭学習では、算数に特化して市販の問題集を解かせました。冬休みに入ってから1月にかけて、塾の前後の1~2時間、算数の学校別の問題集をピックアップしてやっていました。
なぜこの問題集をこの時期に家庭でやったかというと、算数でミスが多くなったときには、集中して時間内で問題を解く演習をすることが大事だからです。家庭でこの演習を実践することによって集中力を身につけ、ミスを減らす方向にもっていこうと思ったのです。
この問題集は全国の難関校向けの問題を入試のスタイルにまとめてあり、1校分を60分で解くという構成になっていて、10校分以上をやりこなしました。また、これ以外にも塾の先生にもお願いして、いろいろな学校の過去問を出していただき解いていました。
実は、長男は開成にも合格しているのですが、1月に入ってからやはり難関校の入試問題に次々に取り組んで、開成の入試でも算数で結果を出すことができました。
そして、「やればできる」ととにかく励ましました。メンタルの面では、男の子のほうが響きますね、長女のときにはこんなことはなかったですから。女の子のほうが精神的に強いと思います。


併願はどのように組まれましたか?

まず、1月に西大和を受験しました。実は発表の日が長女のセンター試験の前日で、私は長女と一緒に会場近くのホテルに行っていたので、郵送された結果は長男が受け取り知らせてくれました。結果を開示してくれたのでわかったのですが、合格ラインプラス3点だったそうです。危なかったですね。実は、塾の先生は1月受験をすすめなかったのですが、友人が受けるというのでなんとなくつられて受けたという感じです。

その後は
2月1日 サレジオ学院 合格
2月2日 聖光学院 第1回 不合格
2月3日 浅野 合格
2月4日 聖光学院 第2回 合格
という結果でした。

受験はしませんでしたが、5日鎌倉学園、6日に神奈川大附属、高輪(算数)などを考えていました。また、もし1日のサレジオがだめだったら4日はサレジオのB試験を受験する予定でした。
1日にサレジオに合格したので、入学金を納めました。
2日の聖光は、本人はできたと言っていたのですが、不合格。
でも「明日がんばる!」とすぐに気持ちを切り替えていました。次の日の浅野は、過去問では合格点がとれていたので、落ち着いてやれば大丈夫という自信もあったのだと思いますが、いつの間にか精神的に大人になってしっかりしていたのでびっくりしました。
実際に3日の浅野では、塾でやった問題が的中したらしく、手ごたえがあったようです。
そんなわけで、4日の聖光の第2回は、リラックスして受験をすることができました。今度は実力を発揮できたみたいで、算数はほぼ満点がとれました。算数で勝負がついたと思います。
その日は浅野の発表があり合格。親としては校風が合っていると思っていたので、内心サレジオもいいのではと思っていましたが、本人は聖光がだめだったら、浅野に行きたいと思っていたようで、結局浅野にも入学金を納めることにしました。


結果的に、うまくいった受験ですが、振り返ってみて何がよかったと思いますか? また、これから受験を迎えるかたにアドバイスをお願いします。

子どもの成長に合わせて徐々に目標校を変えていったことでしょうか。なんといってもまだ小学生なので、できないことを指摘して追い詰めてもしかたありません。
成績が伸び悩んだときにも、その段階でできることを80%やらせる。できないことはやらなくてもいい。やったとしても全体の10%くらいにとどめることです。子どもに寄り添って、その子の力の最低ラインを見極めて、そこでもいいんだよという気持ちのよりどころをつくってやることが、長い受験勉強の過程では重要な気がします。安心感を与えるといってもいいかもしれません。
具体的には、とれる問題をつぶしていく。算数もスペシャル問題がありますが、それより基本的な問題ができているか、一つひとつつぶしていくことです。
志望校についても、高い目標をもって伸ばすという考えもあるかもしれませんが、私は最初から難関校をめざすのではなく、段階を追って、子どもの器の容量を測りながら進めていくほうがよいと思います。がんばってください。


  • 入試直前、くり返し解いた算数の市販のテキスト。
    ※左のテキストは現在絶版です。
    後継商品として、『算数/合格へのチャレンジ演習』が(株)東京出版より2009年2月上旬に刊行予定です。


<取材後記>
さすが3人のお子さんの受験を経験されただけあって、お子さんの状況を客観的に見ることができていらっしゃいました。親として家庭でできることをきちんと考えて、それを実行する。そのためには、お子さんの学習内容もよく理解していたということです。やみくもにべったりするのではなく、子どもに寄り添う姿勢は多くの保護者のかたも参考になりますね。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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