最新! 予防接種&感染症情報~ワクチンの変更点・感染症対策・病気のときの食事まで~

2012年12月27日更新

気になる最新の予防接種情報や、最近のワクチンの変更点、感染症の流行時期と予防をまとめました。
もし感染してしまった場合の、症状別食事のヒントも。
※2014年10月時点での情報です。(監修:小児科医 二瓶 健次 先生

2013最新予防接種情報

何が変わったの?

予防接種の種類が増えたり、統合されたり。変化が激しい予防接種の最新情報です。

【2014年の予防接種の変更点】

水痘(みずぼうそう)ワクチンが定期接種に。

2014年10月、水痘(みずぼうそう)ワクチンについて、定期接種化が開始されました。定期接種の対象期間:1歳~2歳(3歳未満)。
1歳を過ぎたら1回目、その後3カ月以上あけて2回目を接種。

【2013年までの予防接種の変更点】

ポリオワクチンとDPTが混合ワクチンに(定期接種)

2012年9月に単独の不活化ポリオワクチンが、11月にはジフテリア・百日ぜき・破傷風との4種混合ワクチン(DPT-IPV)の接種が開始されました。
初回接種を生ワクチンまたは単独不活化ワクチンで受けた場合は原則、途中で4種混合に切り替えることはしません。
詳しくは「別ウィンドウが開きます厚生労働省ポリオワクチン情報」をご確認ください。

ロタウイルスの5価ワクチンも接種開始(任意接種)

冬に流行するロタウイルスによる嘔吐・下痢を予防するためのワクチンは、2011年11月から開始された1価(人に感染するメインの1種類のウイルス株の弱毒化ワクチン)に加えて2012年7月には5価(人に感染する5種類のロタウイルス株)も接種が開始されました。
いずれも接種できる期間が短く、1価は4週間隔で2回を生後24週まで、5価は4週間隔で3回を生後32週までに完了します。

B型肝炎のワクチン接種が一般的に(任意接種)

もともと、母子感染予防のため赤ちゃんは定期接種として無料、それ以外の赤ちゃんは任意・有料で接種可能なワクチンでしたが、任意での接種はほとんど行われていませんでした。2011年に日本小児科学会がすべての乳児と思春期のお子さまへの接種をすすめたことから、検討するご家庭が増えています。生後すぐから接種可能ですが、母子感染予防以外の場合は接種時期はお医者さんと相談を。

小児用肺炎球菌とヒブが定期接種に(定期接種)

小児用肺炎球菌とヒブは、2013年3月まで“ワクチン接種緊急促進事業”の対象となっていましたが、2013年4月から、定期接種になりました。変更のお知らせや接種票の送付・受け取り方法などは、自治体によって違うので、詳細はお住まいの地域に問い合わせを。

予防接種の気がかりQ&A

Q.通院回数は減らしたいけど同時接種は心配

さまざまな研究、統計から、同時接種によって副作用の発生率が上がることはないとされています。また、同時接種は免疫がつきやすくなり、早期に複数の免疫が得られるというメリットがあるため、日本小児科学会でも一般的な医療行為としてすすめています。ただ、実際には同時接種に積極的なお医者さんも、慎重なお医者さんもいるので、よく相談してみましょう。

Q.新しいワクチンの安全性が気になります

どんなワクチンも副反応のリスクがゼロということはありません。その病気にかかったときの負担とあわせて、接種するかどうか考えてみてください。副作用の軽減のために予診票の記載と接種前の診察を受けるようにしてください。接種後は副反応が出る可能性の高い30分程度は念のため接種場所の近くにいるようにしましょう。

Q.優先順位をつけるとしたら?

周囲で急激に流行している感染症は最優先です。次に、合併症が重篤で、感染頻度が高い、はしか、インフルエンザ、ポリオなど。期間が短いものも受けそびれないよう注意が必要です。お子さんの体質、持病によっても緊急度や優先順位が変わってきますので、お医者さんと相談しましょう。 乳児期にかかると、母親からの免疫も落ちているので、重症になる感染症もその時期に済ませましょう。

Q.決められた予定よりも間隔があいてしまいました

指定の間隔を過ぎたからといって、すぐに効果が下がっていくわけではありません。とはいえ、あまりあきすぎるのもよくないので、早めに接種するようにしましょう。

手感染症の流行時期と対策

幼児期の感染症

幼児期に気をつけたい感染症はいろいろ。季節によって感染しやすい病気をまとめました。

冬の感染症

<なぜ? どうやって?>
主に低温低湿度の環境で活発になるウイルスが原因
体温が低下して免疫力が落ち感染しやすい
乾燥した空気の中でのくしゃみやせきで広範囲に飛散する

<主に冬に流行る病気(冬に流行しやすい病気)>
ノロウイルス・ロタウイルス(激しい下痢、嘔吐を伴う胃腸炎)
インフルエンザ
RSウイルス
風邪

【関連情報】特集「<知って守る>最新!冬の感染症情報~冬に流行る感染症は?

夏の感染症

<なぜ? どうやって?>
主に高温多湿の環境で活発になるウイルス、細菌が原因
プールに入る機会が増える季節のため、プールの水を介して感染することがあるのでプール熱とも言われています。プールからだけでなく接触によることが多いです。
(鼻水や目やにからのウイルス感染・水疱の中身からのウイルス感染)
夏の疲れや食欲の低下から免疫力が落ち感染しやすい

<主に夏に流行る病気(夏に流行しやすい病気)>
咽頭結膜熱(プール熱)
伝染性紅斑(りんご病)
ヘルパンギーナ
急性出血性結膜炎
手足口病
食中毒(大腸菌、サルモネラ菌など)

【関連情報】特集「夏本番! 元気いっぱい過ごすために~夏に流行する病気に注意!~

そのほかの季節や一年を通して流行る病気

<なぜ? どうやって?>
季節、気候によらず一年を通してひそんでいて不定期に流行が拡大する

<そのほかの季節や一年を通して流行る病気>
麻疹(はしか)
溶連菌感染症
突発性発疹
風疹(三日ばしか)
おたふくかぜ(ムンプス)
百日ぜき
マイコプラズマ肺炎

感染症の予防と対策

予防と対策の基本情報をまとめました。

季節にかかわらず家族で衛生習慣を

帰宅時の手洗い、うがいは感染症予防の基本です。子どもよりも、行動範囲の広い大人が外からウイルスを持ち帰るケースが多いので、家族全員で一年を通しての衛生習慣をつけて。 また、冬は乾燥対策に加湿器を利用したり、ウイルスが増殖しないようにときどき換気を。夏はプールのあとにしっかりシャワーをあびる、タオルは共用にしないなどして皮膚を清潔に保ちましょう。

毎日の健康的な生活で免疫力をキープ

疲れや睡眠不足などで免疫力が低下すると感染症リスクが高まります。毎日のバランスのよい食事と十分な休息で病気の予防を。また体温が下がると免疫力も下がるといわれるので、体を冷やさないよう、 適度な運動を心がけたり、ゆっくりお風呂に入ったりしましょう。食事ではビタミン、鉄分、きのこ類も免疫力を高めるといわれています。

集団生活のスタートとワクチン接種の検討

園生活や習い事、育児サークルなど、同年代の子どもとふれあう機会が増えると感染症のリスクも高まります。多少の病気は子どもの体を強くしますが、 重症化しやすい病気には予防接種も有効な対策。定期接種の受け忘れがないか確認し、任意接種について検討する場合は早めにお医者さんや家族と相談して、スケジュールを立てましょう。 できれば集団生活に入る前に主要な接種が終わっているのが理想です。

症状の変化が早いので注意が必要

小さな子どもほど体の機能が未熟なため、体調が短時間で変化しやすいです。微熱と思っていたら高熱になっていた、突然激しい吐き気や下痢などの症状が現れたということも珍しくありません。 また、夜は熱が上がったりせきがひどくなったりしやすいので、体調が悪い日は、軽い症状でも、できるだけお子さまのそばで様子を見てあげて。一度受診して診断を受けていても、明らかに悪化しているときは再度受診しましょう。

【関連情報】病気・トラブル「感染症(1) 予防と情報収集」

症状別・食事のヒント

与え方のポイントQ&A

体調が悪いときの食事について迷うこと、困ることを専門医にお聞きしました。

嘔吐があって食べられません

吐いているときは食事は止めます。水分補給が大切ですが、それが刺激になって吐いてしまうこともあるので、吐いたあと30分くらい時間をあけて、母乳・ミルクや幼児用イオン飲料などをひとさじから与えます。吐き気が治まったら、胃に負担のないものを少量ずつ与えてみて。水分も吐いてしまう場合は受診が必要です。

食べられなくても薬をあげてよい?

母乳・ミルクなど少量の水分で薬を飲ませましょう。少量の水分で薬を飲んで吐いてしまう場合、効果がありませんので、座薬や注射などほかの方法を考えます。また、薬を無理して飲ませなくてもよいかなどもお医者さんと相談します。

甘いものばかりほしがります

下痢のときには糖分が必要です。また、具合が悪くても甘いものなら口に入れやすいということもあり、エネルギーにもなるので、「今は特別」ということで与えてもよいでしょう。もちろん甘いものがくせにならないように、元気になったらきちんとルールを決めて与えるようにしてください。

離乳食はどうすればいい?

食べられないときは、一時的に母乳やミルクをメインにしたり、離乳食のレベルを一段階戻したりしてみましょう。せっかくすすめている離乳食ですが、病気のときは栄養をとることが最優先です。焦らずにしっかり治してから、再開してください。


症状別・おすすめ食材&メニュー

症状別の食事のポイントとおすすめのメニューです。

下痢

水分補給を心がければ、数回食事を抜いても大丈夫。食事が腸を刺激して、下痢が治まらなくなることもあるので、食事は調子が戻ってきてからにしてもよい。

NG(控えたいもの):牛乳、刺激物、柑橘類(ジュース含む)
OK:野菜スープ・みそ汁、おかゆ、にゅうめん、煮込みうどん、りんごジュースなど
★便がゆるいときはできるだけ消化しやすくやわらかく煮崩して。

嘔吐

水分補給が第一ですが、無理をするとかえって刺激を与えて吐いてしまうので少量ずつ様子をみながら。食事は吐き気が治まってから少量ずつ開始して。

NG(控えたいもの):油、繊維質
OK:幼児用イオン飲料、おかゆ、煮込みうどん、豆腐など ミルクは薄めて(母乳はそのままでOK)
★胃腸が弱っているので負担が少なく消化のよいものを。

発熱

体がほてっているので冷たいものを欲しがりますが、おなかを冷やすといけないので、少しだけにする。(特に下痢があるときは。)症状が落ち着いてきたら緑黄色野菜やおじや、 茶碗蒸しなど栄養のあるものをやわらかく調理して少しずつ。

NG(控えたいもの):のどが痛いときは熱いもの、酸味のあるもの、香辛料を使ったものは避けて
OK:幼児用イオン飲料、おじや、煮込みうどん、ヨーグルト、プリン、ゼリー、アイス

口内やのどの痛み

刺激のあるものや固いものは避ける。果物類(酸味の少ないもの)は食べやすい。デザートなどでも(食べ過ぎに注意)。

NG(控えたいもの):熱いもの、酸味のあるもの、香辛料を使ったもの
OK:ゼリー、アイス、温かめのみそ汁、スープ、おじや、煮込みうどんなど(薄味にする)。

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