文部科学省は先頃、今年4月に43年ぶりに実施した「
全国学力・学習状況調査(以下全国学力テスト)」の結果を発表しました。ここでは、「知識」に関してはおおむね良好な成績だったものの、「活用」には課題があることが浮き彫りになったといいます。
ところで、この「活用」とは、いったい何でしょうか。「応用」とは違うのでしょうか。この欄でも折に触れて取り上げてきた問題なのですが、次の学習指導要領でも重要なキーワードとなってくるものなので、この機会に改めて確認しておきましょう。
今回の全国学力テストでは、国語、算数・数学ともに、主として知識に関する「A問題」と、主として活用に関する「B問題」の、2種類が出題されました。このうち「活用」について今回の発表資料(調査結果概要)を見ると、「知識・技能等を実生活のさまざまな場面に活用する力や、さまざまな課題解決のための構想を立て実践し評価・改善する力などにかかわる内容」であると定義しています。
ここでは、学んだ知識を「実生活」に結び付けることまで求めている点がポイントです。つまり、ただ定期テストや入学試験で良い点数を取れる力にとどまってはいけない、ということです。そこが、単なる「応用」問題との大きな違いと言えるでしょう。
ちなみに「知識」についても、発表資料では「……実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など」としています。
どうやら、ここで言う知識とは、あくまで実生活で「活用」することを前提とした知識であり、これまで伝統的に学校で教えられてきた学習事項と必ずしもイコールではない、という意味まで込めているようです。
では、「知識」と「活用」には、どういう関係があるのでしょうか。発表資料によると、「B問題(活用)」の成績が良い子どもは「A問題(知識)」の成績も良かったのに対して、「A問題」の成績が良かったからといって「B問題」も成績が良いとは限らない、という傾向が現われたといいます。
この結果をどう見るべきでしょうか。
学力低下の不安が叫ばれて以来、全国的に学力向上の取り組みが盛んになりました。朝15分のドリル学習なども、今や多くの学校で実施されています。
しかし、これはあくまで「知識」を高める取り組みです。「活用」の力を付けるには「知識」が不可欠ですが、「知識」だけを一生懸命付けても、「活用」の力につながるとは限らない、ということです。
今回の全国学力テストにしても、結果に一喜一憂するのではなく、結果を基に、各学校で授業をどう改善するかを考えることが求められているのです。
<参考>
「知識」「活用」の定義(
小学校/
中学校)
「知識」「活用」の関係(
小学校/
中学校)