
「本当の学力、考える力を付けるためには、自分なりに自分にあった勉強方法を身に付けること」。自らも灘の出身である和田孫博校長は考えます。その結果が高い進学実績につながるのでしょうか。個性の芽を摘み取らないという灘の教育方針を和田校長の話から探ってみました。
灘中学校の建学の精神について教えていただけますか。
本校が昭和2年に酒造家の篤志を受けて創立された際の顧問であった嘉納治五郎が講道館の創立者であったことから、「精力善用」「自他共栄」という柔道の極意がそのまま校是になりました。
「精力善用」とは、小さな体でも大きな体の人を投げ飛ばす柔道では、自分の力を良く知ってそれを最大限に活用するという意味です。「自他共栄」は自分ひとりでは伸びて行けない、つまり、ライバルがいたり、指導者がいたり、保護者がいたり、応援してくれる人がいたり、そういうことを忘れずに、他者への目配り、他者とともによくなっていこうということです。
従って、個性を伸ばす、個性の芽を摘み取らないということにかなり力点をおいているように思います。
たまたま最近は、偏差値が高い生徒も入学して来ますが、本校の場合、それだけでなく、各人が本当に豊かな個性をもっています。その個性を摘み取ってしまうような管理教育はしないということが一番です。
かなり変わっているように見える個性豊かな人も、のびのびと過ごせる、それが本校の誇りの一つですね。また、学校とは別の世界をもって両立している人もいます。レゴが趣味で世界大会に出ていたり、鉄道マニアだったり、音楽が玄人はだしだったり……。彼らは実にイキイキとしていますよ。
受験時にそれぞれの生徒の個性もご覧になっているのでしょうか。
受験時に特に調べているというわけではなく、結果としてそういう生徒が多いということです。
もし、個性という点が試験につながるのだとしたら、できるだけ、暗記問題だけでなく、発想力を見られる問題、あるいは自分で内容をまとめる力を見られる問題を意識して出題しているところがありますね。
たとえば算数なら、一日目には演算能力を、二日目は発想力や説明力を見るために2種類の試験を用意しています。
国語も同様に、一日目は語彙や語法などの基礎能力を、二日目は長文読解のなかで内容を理解する能力を見ています。