学校外教育活動に関する調査

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解説・提言1
 子どものスポーツ・芸術活動の規定要因
 −親から子どもへの文化の相続と社会化格差−


駒澤大学教授 片岡 栄美

1.スポーツ経験と芸術経験の社会的意味

本稿では、子どもの学校外教育に焦点をあて、「子どもが1年間に定期的にしていた運動やスポーツ活動」(スポーツ活動と略す)と、「1年間に定期的にしていた音楽活動や芸術活動」(芸術活動と略す)を取り上げる。そして活動を経験する子どもと経験しない子どもの違いについて、その原因を家庭背景、ジェンダー差、文化の相続効果の視点から分析する。データは、2009年にBenesse教育研究開発センターが実施した3歳〜17歳(高2生)の子どもをもつ15,450名の母親へのインターネット調査による。

子どもはさまざまな場を通じて、スポーツ活動や芸術活動を経験している1) 。家庭教育、学校の部活動や放課後活動、そして学校外教育 2) などである。そのなかでも、今日の親たちは学校外教育を利用し、子どもたちにスポーツ活動や芸術活動を好んで経験させている。親の教育投資の多くが、学校外教育に対するものである。

日本の子どもたち(幼児〜高校生)のスポーツ活動、芸術活動の規定要因を明らかにすることは、親の教育投資の階層性を明らかにするだけでなく、子育ての階層性、すなわち子ども期の社会化経験の不平等の実態を明らかにするという意味ももっている。

近年、子どもと階層格差の問題は、親の経済力と学力の関連に焦点があてられてきた。しかし、子育ては学力や進学だけが重要なわけではない。何よりも教育経験の中身、つまり社会化経験としての文化活動・スポーツ活動の格差へも目をむけるべきであろう。この問題は、子育てと社会化の機会格差の問題であると同時に、文化の不平等問題へもつながっていく。

社会学的にいえば、子ども期のスポーツ活動経験は、いわば身体資本やスポーツへの嗜好性を形成する。また子ども期の芸術活動経験は、子どもの美的性向や文化的嗜好性、いわば文化資本の形成と蓄積に寄与する。つまり子どもたちが芸術活動を通じて、いかに文化的能力を獲得・形成していくかという問題である。

このような身体資本や芸術文化資本(片岡1998, 2001)が獲得される場は、主として家庭と学校である。たとえば親が絵画を好きであった影響で、幼いうちから子どもが美術に関心を抱き、芸術文化への嗜好性を「体得的」に獲得することがある。これは、家庭教育を通じた親から子どもへの「文化(資本)の相続」である。

また学校では、美術や音楽、体育の授業を通じて、「系統的」に学習することで身体資本や芸術文化資本を効率的に身につけることができる(ブルデュー 1990)。

しかしすでに述べたように、昨今では学校外教育の影響を無視できない。すなわち教育投資として概念化できる、習い事、おけいこごと、あるいは親や子の主体的選択として行われる学校外でのさまざまな活動経験を通じても、子どもの身体資本や文化資本は獲得されていく。

今回の調査では、親の教育意識や文化的嗜好性も明らかにしているので、世代間(母親から子どもへ)で繰り広げられている、身体資本と文化資本の伝達・相続の実態を明らかにすることもできる。さらに、スポーツ活動と芸術活動のジェンダー差がなぜ生じるかについても検討する。

<注>
1) 質問は、スポーツ活動は「この1年間で、お子様が定期的にしていた運動やスポーツはありますか(ありましたか)」、芸術活動は「この1年間で、お子様が定期的にしていた音楽活動や芸術活動はありますか(ありましたか)」であり、選択肢として示された多様な活動項目への親の回答を用いた。
2) 学校外教育の場としては、民間の教育機関や個人教室、ボランティア団体、公益法人・NPO、自治体などの諸団体が運営する教室や活動の場などがある。
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