英語教育について

第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】

苦手にさせない指導方法とは ―「中学校英語に関する基本調査」をもとに考える―

中学校の英語の先生方にお集まりいただき、 苦手にさせない指導方法や今後の英語教育についての座談会を行いました。
実施日:2010年1月31日(日)

出席/北原延晃先生(港区立赤坂中学校)

小寺令子先生(文京区立第十中学校)
重松靖先生(国分寺市立第三中学校)
本多敏幸先生(千代田区立九段中等教育学校)
酒井英樹先生(信州大学)
モデレーター

出席者

「どこまで勉強すればいいのか」
英語という教科の特性が英語嫌いを生む?

酒井 モデレーターを務めさせていただく酒井です。よろしくお願いします。最初にBenesse教育研究開発センターの行った調査、「第1回中学校英語に関する基本調査(教員調査・生徒調査)」の結果をご覧になってのご意見やご感想をうかがいたいと思います。続いて、調査結果を踏まえ、具体的な実践の方法や新学習指導要領の導入によって近い将来、中学校の英語教育はどのように変わっていくのか、また、どのように進めていくのがいいのか、若い先生方へのアドバイスも含めてうかがえればと思います。まず、本多先生からお願いします。
本多敏幸先生(千代田区立九段中等教育学校)
本多敏幸先生
(千代田区立九段中等教育学校)
本多  拝見して最初に印象的だったのは、生徒には英語が国語に次いで嫌われていることです(生徒調査速報版 図2−8)。さらに英語の次が数学ということで、入試科目の3教科がワースト3に入っているんですね。これは、たぶん入試に必要だからやらなきゃいけないという意識がマイナスに働いているのではないかと思われます。それから、国語も英語もどちらも言語を扱う教科ですが、他の教科と違って到達点がはっきりしていない、ということがその原因の一つなのかもしれません。単語を100語覚えたとしてもその先には何千何百語とあるわけで、どこまで勉強したらいいのか、しなきゃいけないのかという思いがあるのではないでしょうか。
小寺  私は今3年生を教えていますが、たしかにどうしても「入試」という言葉は出てきますね。脅してはいないつもりですが「できないと困るよね」というような言葉を使ってしまいます。英語という教科の特徴を考えた場合、たとえば算数なら小学校プラス中学校の9年間で差がつくんですが、英語の場合、中学校の3年間だけで同じような差がついてしまうことがあって、苦手な生徒には、どうしても「どうせやったってできないや」というようなあきらめ意識が広がってしまうように思います。それから、「わからないことがあったときどうするか」、という質問でもっとも多いのが「友だちに聞く」です。「学校の先生に聞く」は4番目ですよね(生徒調査速報版 図2−2)。先生に質問したくても、教師のほうが忙しく、きちんと生徒に向き合って教える時間がないのでは、という感想を持ちました。

北原  「教員調査」の結果で「宿題としてどのような内容のものを出しているか」という質問に対して、予習として圧倒的に多いのが「教科書本文の書き写し」と「新出単語の意味調べ」(教員調査速報版 図1−9)。(授業で扱う前や生徒自身が理解する前に意味のわからない英文を書くことは意味がないので)無駄なことをさせてるな、と残念に思います。それから、教師の悩みに関して、「自分自身の英語力が足りない」と思っているのは、若い世代にむしろ多いということ(教員調査速報版 図2−2)。本人の求めるレベルが高いのかもしれませんが、私自身たしかに、若い教師たちの授業を見たりすると、もっと英語力があってもよさそうだ、と思うことはあります。

重松  私も英語嫌いの生徒の多さにはちょっとショックを受けました。反面、うれしい点としては、ふだんの授業の中で50%以上英語を使っているという教師が約5割と意外に多かったことです(教員調査速報版 図1−1)。ただ、その英語が単に"Stand up.""Open your textbooks."程度だったらちょっと違うような気もしますが。

次ページへ

(1/6)

第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】・目次へ