BERD 2008 No.12
【特集】
インタビュー
ケーススタディ
profile
田中博之
大阪教育大学教育学部教授
たなか ひろゆき

大阪教育大学教育学部教授。大阪大学人間科学部卒業後、
大阪大学人間科学部助手、大阪教育大学教育学部助教授等を経て現職。
専攻はマルチメディア教材開発、カリキュラム開発、教育工学。
主な著書に
『総合的な学習のカリキュラムモデルと実践スキル育成』(日本文教出版)、
『総合的な学習で育てる実践スキル30』(明治図書)など。
BERD
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「言語活動の充実」で育まれる21世紀型学力
──「言葉の力」の育成を学校現場でどう図っていくか──
田中博之/大阪府堺市立浜寺小学校

田中博之
大阪府堺市立浜寺小学校
 新学習指導要領では「言語活動の充実」が「各教科等を貫く重要な改善の視点」として盛り込まれている。
「言語活動」とはどのような活動のことなのか。
その活動を各教科・領域で展開するにはどのような工夫が必要とされるのか。
  21世紀に求められる学力として「言葉の力」を挙げている大阪教育大学の田中博之先生に話をうかがうと共に、「言葉の力」の育成に力を注いでいる堺市立浜寺小学校の実践をレポートする。
≪インタビュー≫
メソッドの確立と学校現場への定着が「言葉の力」を育てるカギを握る
田中博之[大阪教育大学教育学部教授]
新しい学習指導要領では全教科・領域で「言葉の力」を育てる
図表[1]田中博之先生の考える総合学力モデル  新しい学習指導要領で私が注目しているのは、教育内容に関する改善事項として、「言語活動の充実」が盛り込まれていることです。「言語活動の充実」は、「言葉の力を育てる活動の充実」と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
 私たちが生きている21世紀社会は、環境問題を初めとしたさまざまな問題が山積みになっています。そこで大切になるのは、論理的な思考や感性を働かせながら問題解決の方法を探り、自分の考えを自分の言葉で表現する能力です(図表1参照)。PISAでも読解力を「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義していますが、自己実現や社会参加のための重要な道具として、言語を活用できる能力を獲得することが不可欠となるわけです。ですから今回の学習指導要領に「言語活動の充実」が盛り込まれたことは、非常に意味のあることだと捉えています。
 新学習指導要領では、「言語活動の充実」を全教科・領域で展開するとしています。「言語活動」というと、一般には「国語科で行うべきもの」と考えがちです。しかし小学校低学年においては、生活科こそ地域の人との関わりなどから「言葉の力」を伸ばす絶好の機会です。同様に小学校中学年以降の理科や社会科等の科目においても、データを読みとって仮説を立て、それを仲間たちとの討論を通して検証していくことによって、「言葉の力」を鍛えあげていくことができます。
 もちろん「言葉の力」を育てる上で、軸となる教科は国語科です。国語科では語彙を増やして豊かに表現できる能力や、文章を的確に理解できる能力の獲得を目指します。
 しかし「言葉の力」は、単に言葉を学べば身に付くものではありません。例えば国語で「敬語の使い方」を勉強したとしても、活用する場面がなければ生きて役立つ学びにはなりません。そこで「総合的な学習の時間」でお年寄りに手紙を書かせる場面を設定すれば、子どもたちはお年寄りに少しでも思いを伝えようとして、国語で学んだばかりの敬語を懸命に使おうとするはずです。いわば国語科の学びが「言葉を通した言葉の力の育成」であるのに対して、他教科・領域の学びは「体験を通した言葉の力の育成」であり、「言葉の力の育成」においてはその両者が重要です。「言語活動の充実」に全教科・領域で取り組むことには、そうした意味があるのです。
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