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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

特集
子どもを取り巻く環境と生活習慣

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生体リズムと子どもの生活習慣

大塚邦明 東京女子医科大学東医療センター病院長

早寝早起と規則正しい生活が健康に良いことは経験的に知られている。また、ヒトのからだのはたらきには、24時間のリズムがあることもわかっていた。そして1990年代後半、「生体リズム」を発振している「時計遺伝子」が発見され、そのメカニズムが解き明かされつつある。生体リズムの観点から子どもの生活習慣を見直してみると、どんなことがわかるのだろうか。「時間医学」という新しい医学の領域を研究している大塚邦明先生に話をうかがった。

「時計遺伝子」のメカニズムはすべての生物に共通
大塚邦明 先生
大塚邦明 先生
1948年生まれ。東京女子医科大学東医療センター病院長、内科教授。医学博士。専門は時間医学、老年医学。九州大学医学部卒業。日本時間生物学会会長、日本自律神経学会会長を歴任。主な著書に『病気にならないための時間医学』(ミシマ社)『時間医学とヤヌス医学』(メディカルレビュー社)などがある。

 私たちのからだのはたらきには、いくつかの規則正しいリズムがあります。いちばんよく知られていて、遺伝子レベルの分子機構までわかっているのが、24時間のリズムです。夜になったら眠くなり、朝がくれば目覚める。体温も、夜は低くなり、朝から昼にかけて高くなる、ほぼ24時間周期のリズミカルな変動を繰り返しています。それ以外にも、90分のリズム、8時間のリズム、3.5日のリズム、7日のリズム、30日のリズム、1年のリズムなど、数多くのリズムをヒトは身につけています。これらを「生体リズム」といいます。

 このような生体リズムは、なぜできたのでしょうか。地球上の生物で、24時間のリズムをもっていない生物はいません。ということは、逆の見方をすれば、このリズムを獲得できなかった種は子孫を残すことができず、絶滅したのではないかと考えられます。生体リズムを発振している遺伝子を「時計遺伝子」といいます。最近になってその分子機構が解明され、発振のメカニズムがわかってきました。時計遺伝子は「転写」と「翻訳」を経て時計タンパクをつくります。この遺伝子からタンパクへの周期的な繰り返しが生体リズムを生み出しているのです。しかもそのメカニズムは、地球にすむ生物のほとんどが、ほぼそっくりなこともわかっています。

 地球の歴史は46億年。生命が誕生したのは38億年前とされています。そして5億年前のカンブリア紀に、地球上の生物は急激に多様化しました。時計遺伝子のはたらきが、どの生物もほとんどそっくりであるということは、さまざまな生物が登場したカンブリア紀以前に、生物はすでにこの機構を身につけていたことを意味しています。つまり、生体リズムこそ、生命が生き延びるため最初に獲得した生理機能ではないかと推測されるのです。


私たちは地球の自転のリズムに同調して生きている

 ではなぜ24時間のリズムなのでしょうか。生命は太陽の光を温熱や照明として上手に利用する一方で、太陽光に含まれる紫外線や宇宙線など、遺伝子すなわちDNAを破壊しガン化させる有害な物質を避ける必要があります。細胞は常に細胞分裂を起こして入れ替わっています。細胞の核の中にあるDNAがまず複製され、それが正しく複製されているかどうかチェックする機構がはたらき、その後に分裂が始まります。複製がつくられる時期に光を浴びるとガン化する可能性がある。だから複製するのが夜、分裂するのが昼と、発ガンを抑えるように生体リズムが組み込まれたと考えられるのです。24時間の周期でもっとも安全なタイミングで細胞分裂するようにできているわけです。

 このように生物の体内には、地球の自転とほぼ同じ1日24時間のリズムが刻み込まれています。「ほぼ」同じというのは、正確には1時間ずれているからです。昼行性動物が25時間、夜行性動物は23時間。人体のリズムは地球の自転のリズムより1時間長い。1時間ずれている理由は、生体リズムが狂った時に元に戻すための調節の「のりしろ」、もしくは自動車のハンドルの「あそび」のような工夫と考えることができます。

 昼行性動物のヒトの場合、24時間のうちの活動開始の時間帯、すなわち朝から午前中までに光を浴びると、生体リズムの位相は1時間前進し、25時間が24時間に修正されます。一方、休息開始の時間帯、つまり夕方から夜間の前半にかけて光を浴びると、生体リズムの位相は1時間後退し、25時間から26時間になる。(夜行性動物が23時間なのも、このことが理由)一日のリズムの位相が夜の時間帯のほうにずれ、それを毎日繰り返せば、地球の自転リズムと生体リズムがどんどんずれていきます。その結果起こるのが、いわゆる「時差ボケ」です。だから、たとえば子どもがテレビゲームなどで夜更かしをして、夕方から夜にかけて光を長時間浴びる生活を続けていると、生体リズムが地球の自転のリズムとかけ離れ、時差ボケと同じ状態になり、不眠、疲労感、便秘、食欲や集中力の減退といった症候がみられるようになるのです。



  
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