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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
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研究員リポート
ICTの教育利用

第1回 「親子の学習に関する会話を増やすツール」としての携帯電話

Benesse教育研究開発センター 中野 真依 (2007/12/12更新)

  携帯電話やパソコンなどの情報端末の普及により「いつでも・どこでも」情報が手に入り、「離れた誰かと」コミュニケーションをとれる時代が到来している。携帯電話については、子どもを取り巻く社会不安を背景に子ども向けの普及が推進され、保護者と子どもが携帯電話をどのように取り扱うかが家庭教育上の大きな課題となっている。

 本研究員リポート第9回・第10回「携帯電話の普及と子どもの関わり方」で、小学生から高校生までの子どもたちにおける、携帯電話の普及状況や利用実態、意識や生活の変化、それに伴い保護者が感じているメリット・デメリットなどを報告したが、本稿では、携帯電話を「親子をむすぶ教育ツール」として効果的に活用するためのポイントについて、2回にわたり論じてみたい。

 これまでに行われた多くの調査で、保護者と子どもの日常の会話量が多いほど、子どもの学業成績が高くなることが示されている(図1)。

<図1> 親との会話(成績別・小学4〜6年生)

図1

*成績は、国語・理科・社会の自己評価の合計点により3等分した。
出典◎「第1回子ども生活実態基本調査」Benesse教育研究開発センター(2005)
調査時期◎2004年11月〜12月 調査対象◎小学4年生〜高校2年生 合計14,841人(有効回答数)

 しかし保護者にとっては、多忙な日常の中でさらに子どもとのコミュニケーションの時間を増やし、充実させることは困難である。本稿では、本研究員リポート第10回「携帯電話の利用目的」で示しているように、小学生にとっての携帯電話:「親子のコミュニケーションツール」という側面に注目して、親子のコミュニケーションの教育効果を高めるような携帯電話の活用ポイントを検討していく。

 保護者は通常、家庭で子どもが学習している状態を直接観察するか、子どもの学習成果物としてのノートやテスト結果を見ることにより評価し、褒める・注意する・促すといった関与を行う。このような教育的関与の効果を高めるためには、子どもの学習状態をより詳細に把握すること、子どもの理解状態に応じた適切なタイミングと方法で関与することが必要である。

 東京大学で開発された科学教育プログラム「おやこdeサイエンス」(BEATのサイトへ)では、3週間にわたり、保護者が子どもの学習に関与を行いながら、ともに科学の学習に取り組むことができる。同プログラムでは学習内容に対する親子の会話を誘発するツールとして携帯電話を位置づけ、子どもの学習進捗情報を親に通知する特徴的な機能「学習状況メール通知機能」を実装している。子どもは自分の携帯電話から実験の手続きなどを示すコンテンツを見ながら学習を進める。学習の段階ごとに子どもの学習データを携帯電話から収集、システム側で子どもの学習状態をリアルタイムに分析する。学習の区切りで保護者あてに携帯電話のメールを生成し、子どもの学習進捗情報と認知心理学に基づく適切な関与の仕方をアドバイスする仕組みである。(図2

<図2>

図2

 このシステムを使って学習をした親子では、学習内容に関するテストの総合結果は(図3)、学習の前後で子どもは31%から47%へ約1.5倍、親は57%から65%へ約1.14倍の統計的有意な向上を見せた。親子間コミュニケーションに関するアンケート項目「子どもとよく,理科の勉強のことを話している」のスコアも事前事後で有意に向上し、かつ、学習後の子どもテスト結果は少し弱いが統計的に有意な相関を示している。携帯電話は親子のコミュニケーションを支援し、子どもたちの理解の深まりに寄与していた可能性が明らかになった(山口ら, 2006)(中原ら, 2007)。

<図3> 学習理解度評価テストの正答率

図3

平均正答率(全20問) Wilcoxonの符号付き順位検定


 心理学者であるL.S.ヴィゴツキー(1962)は、知的な能力は他人との関わりあいの中から発達すると指摘した。ヴィゴツキーが提唱した「最近接発達領域(Zone of Proximal Development)」という概念によれば、子どもは、大人や仲間の支援や道具があればできる課題によって発達する。幼い子どもがひとりで自転車に乗れるようになるために、大人の支えや補助輪をつけて練習するようなものである。「おやこdeサイエンス」の、親子間のコミュニケーションや親子でともに取り組む実験による子どもの学習効果は、この「最近接発達領域」の考え方からも理解できるだろう。

 次回では、「おやこdeサイエンス」における保護者と携帯電話の関係、すなわち「保護者をより上手に子どもの学習に関与させる仕組み」についてもう少し細かく検討していきたい。

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