第47回 中学生の英語に対する苦手意識と必要感 ― 「第1回中学校英語に関する基本調査(生徒調査)」から
Benesse教育研究開発センター 福本優美子 (2009/8/5更新)
「もっと英語を勉強しておけばよかった」「英語を話せたら」と思ったことはないだろうか。いつの間にか英語に苦手意識を持ったり、どこかの段階でつまずいてしまったりした人は多いだろう。
学習指導要領の改訂により、2011年度から小学5、6年生で「外国語活動」が必修となり、2012年度からは、中学校での英語の時数や扱う語数が増えるなど、英語教育の拡充が進められている。このような変化を控え、現在の中学生の英語に対する苦手意識やつまずきの現状をとらえる必要があると考え、Benesse教育研究開発センターでは、中学生の英語学習の実態と英語や外国に対する意識を探ることを目的として、全国の中学2年生を対象に、「中学校英語に関する基本調査(生徒調査)」を実施した(時期:2009年1月〜2月、対象:2,967名)。
なお「中学校英語に関する基本調査」は、本調査(生徒調査)と、中学校の英語教員を対象とした「教員調査」の2つの調査で構成されており、中学校の英語教育について教える側と学ぶ側の両面から分析できるのが特徴である。本稿では、「生徒調査」の調査結果に注目して、主に中学生の英語に対する意識について考えてみる(「教員調査」は「研究員リポート第42回」を参照)。
図1は、英語の「得意」「苦手」についてたずねた結果である。6割以上の中学生が英語を「苦手」(とても+やや)と感じている。そして、図2によると、「苦手」と感じている生徒のうち、約1割は「中学校に入学する前」に、6割以上は中学1年生のうちに「苦手」と感じている。合計すると、苦手意識をもっている生徒のうち約8割の生徒が、中学1年生の段階で英語を「苦手」と感じていることになる。
また、生徒がどのような点に苦手意識を感じているかをみると、「文法が難しい」「英語のテストで思うような点数がとれない」「英語の文を書くのが難しい」などが7割以上と高かった(速報版 図2-6:英語学習でつまずきやすいポイント 参照)。
図1:英語の得意・苦手
図2:英語を苦手と感じるようになった時期
*「現在」は、本調査を実施した1〜2月(中2の後半)を示す。
*英語の「得意・苦手」について「やや苦手」「とても苦手」と回答 した1,833名のみを対象。
*「無回答・不明」は省略。
続けて、英語を勉強している理由をたずねたところ、「中学生のうちは勉強しないといけないから」「英語のテストでいい点を取りたいから」「できるだけ良い高校や大学に入りたいから」が7割以上と上位を占めた(速報版 図4-1:英語の学習動機 参照)。さらに、生徒が受けたいと思っている英語の授業については、「入試に役立つ授業」がもっとも高い(速報版 図4-2:受けたい英語の授業 参照)。また、将来、身につけたいと思っている英語力も、「英語でよい成績がとれるくらいの英語力」を選択する生徒が多い(速報版 図5-3:将来身につけたい英語力 参照)。
以上のように、中学生の多くは、英語に対する苦手意識を持ちつつ、大きな課題は目の前のテストや入試であることがよくわかる。
一方で、英語の必要性についてはどのように考えているのだろうか。外国や英語に関する将来の意識についてみてみよう。「大人になる頃には、今よりも英語を話す必要がある社会になっている」と感じている中学生は71.1%、「英語が話せなくても、将来、困ることはない」と感じている中学生は35.0%である。中学生の多くは英語の必要性を強く感じているようだが、必要ないと考えている中学生も約1/3存在する(図3)。さらに、自分自身が積極的に英語を使うことをイメージしている中学生は少なく、「将来、外国に留学したい」は20.4%、「将来、英語を使う仕事をしたい」は14.6%であった。
中学生は、英語に対する苦手意識を持ちながらも、将来、英語の必要性は高くなっていくという認識も持っているようである。しかし、実際に自分が英語を使うことに関しては、具体的なイメージを持てていないようだ。自分自身の将来と関連させて英語の役立ちを考えられなければ、苦手意識を持っている生徒はますます英語から気持ちが遠ざかってしまうだろう。
図3:外国や英語に関する将来の意識
将来、英語を使う仕事をするかしないかにかかわらず、苦手意識が原因で、中学生が英語や異文化に対して目が向きにくくなってしまうことは残念なことだ。また、早くから生徒の将来の選択肢を狭めてしまうのももったいない。6割以上の生徒が感じている苦手意識を少しでも緩和し、目先のテストや入試だけに左右されずに、英語や異文化に対する興味関心を少しでも持てるようにすることが重要だろう。
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